多くの消費者がセルフ販売を求めるなら、そのデメリットを最小化して提供しよう! - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(74) - ブランスリー電子版


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連載/2023年8月号

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多くの消費者がセルフ販売を求めるなら、そのデメリットを最小化して提供しよう! - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(74)
 今回のアンケート企画は、「セルフ販売と対面販売」のテーマで実施しました。コロナ禍では、セルフ販売のパンの裸陳列が感染防止の観点から問題視され、パンの個包装を実施したり、蓋の開閉が片手でトレーを持ちながらでもできる透明の陳列ケースを用意したりと、数多くのベーカリーが飛沫の付着を防止する対策を実施しました。
 コロナ禍を経て、衛生面でより安心な対面販売に注目が集まったようにも見えましたが、アンケートの結果は、依然として、対面販売の支持率より、セルフ販売の支持率の方が圧倒的に高いことを示しました。
 ただ、コロナ禍で厳重な衛生管理が求められるようになったため、セルフ販売の店でのパンの陳列方法も大きな変容を遂げたと言えるでしょう。コロナ禍が終息した後も、コロナ以前の陳列方法に戻すのではなく、コロナ禍で成し遂げた様々な自己改革を、ポストコロナ仕様にさらに進化させて、引き継いでいくのが正解と言えるでしょう。
 コロナ禍で最も大きく変わったことのひとつは、パンを透明な袋で個包装するようになったことです。これは感染対策のひとつで、客の飛沫がパンに付着しないようにするのが主な目的です。
 しかし、コロナ禍以前は、衛生面の問題があるにもかかわらず、裸陳列が広く受け入れられていたました。それには相応の理由があると考えられます。
 考えられるのは、裸で陳列されたパンは、外見や質感を直接確認しやすいということです。パンの鮮度や状態をより直感的に判断できるという利点があり、焼きたてのシズル感も伝わりやすくなるでしょう。
 であれば、販売するパンは個包装して、パンのアイテムごとに一つの製品を見本として裸で陳列するというアイデアも検討の余地があるのではないでしょうか。すべてのアイテムについて行うのが無理であれば、主力商品だけもいいと思います。これも衛生上の問題はあるかと思いますが、見本のパンの横に試食を添えておくのも一つのアイデアかも知れません。
 消費者の間には、「包装したパンは新鮮ではない」という強い思い込みがあると考えられるので、「パンは粗熱がとれた後は、包装しておく方が品質維持のためにはいい」という事実を、客に地道に伝えていく努力も必要かも知れません。
 いずれにしても、 アイデアを生み出すときにポイントになるのは、どんな施策にもメリットとデメリットがあるわけですから、メリットを最大化し、デメリットを最小化することです。
 セルフ販売と対面販売のハイブリッド型のベーカリーも考えられるでしょう。店内にセルフ方式で客が自分でトレーにパンを取りながら選ぶエリアと、ショーケースに陳列されたパンを店員にとってもらうコーナーの両方を設ける方法です。客は自分の好みやニーズに応じて、セルフコーナーのパンを手に取るか、ショーケースに陳列されたパンを選ぶかを自由に選択できるというものです。
 セルフと対面の占有スペースの割合は、客の要望や店の様々な事情に合わせて決めればいいと思います。
 当然ですが、ここでも重要なのは、セルフ販売と対面販売のメリットを最大化し、それらのデメリットを最小化することです。セルフ販売と対面販売を組み合わせた売り場にすることで、それぞれのメリットをより大きくし、デメリットをより小さくできる可能性が飛躍的に広がるのではないかと思います。
 今回のコロナ禍で(まだ終息したわけではありませんが)、日本のベーカリーは、大変な苦労をし、その過程で多くのことを考え、大きな進化を遂げました。
 人類のこれまでの進化の歴史を振り返ってみても、地球の環境が激変し、生存が厳しくなった時に、大きな進化を遂げ、今日の繁栄を築き上げてきました。
 日本のパン業界も、今回の試練の中で成し遂げた進化を、次の時代の更なる繁栄に繋げられるようにしていかなくてはなりません。(RO)







原価計算女王
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