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食のトレンドを追う/2010年5月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
300円以下は当たり前!?激安弁当が続々登場 | |
昨年から目立ち始めた「激安弁当」。もはや300円台は当たり前で、200円台も珍しくない。気になる中身もメインのおかずの存在が目立ち、食べ応えのあるものが多い。激安弁当を激安たらしめ、また、安くてもおいしいお弁当にするためには、どんな工夫があるのだろうか。
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全国で買えるようになった「200円台弁当」 | |
西友、LIVIN、サニーなど、西友系列のスーパー全国372店舗で昨年4月から発売中の「298円弁当」(税込)が今年3月にリニューアルした。新ラインナップはサケの切り身を大きくした「新サケ弁当」、焼肉をプラスしておかずをボリュームアップした「ハンバーグ&焼肉弁当」、ご飯を従来の白飯から炊き込み鶏五目ごはんにした「鶏五目御飯と肉じゃが煮弁当」、「チキン南蛮弁当」の4種類。年配者に好まれるサケ弁から若者や男性に人気のガッツリ系、そして女性に支持の多い炊き込みご飯系と、バラエティ豊かだ。
西友では、もともと398~598円の価格帯の弁当を販売していたが、製造工程を変えることによって、新たに298円の弁当が実現した。 「既存の398円から598円の弁当は、最終加工と詰め合わせをスーパーの店頭で行っていました。298円弁当は、100%子会社の『株式会社若菜』で一括製造してから各スーパーへ運ばれます。この違いがコストダウンにつながりました」(西友広報室・荻野雄二氏) ごはんはしっかり180?詰めてあり、食べ応えへの心配はなさそう。「あらゆる年代のお客さまにご利用いただきたくて、ターゲットは絞りませんでした」(荻野氏)と言うとおり、年配層からサラリーマンまでさまざまな人に人気で、計画数量に対して1・5倍の売れ行きだ。今後は商品の動向を見ながらおかずや具材を検討し、他の惣菜についても、よりよいものを低価格で提供する「低価格路線」を進めていく。 |


激安にこだわるスーパーの「250円弁当」 | |||||||||||||
「ハンバーグは肉を挽くところから始めるなど、弁当は全て手作りです。手間を考えると利幅はほとんどないですね」(本店店長・中島眞ニ氏) 学食やクラブ活動、PTA活動など学校関係や企業からの大量注文も多いという。また、あまりの安さゆえ弁当業者から仕入依頼もあるそうだが、こちらは断っている。 筆者は仲間の分も含め、弁当3つ、巨大チキンカツ1枚を買った(合計892円・税込)。筆者の食べた塩サバ弁当は大きめのサバの切り身にから揚げが2つ、つけあわせに漬物と海藻という内容。梅干入りのご飯もたっぷり入っており、弁当ひとつで大満足だ。さらに三等分したチキンカツも食べ、お腹いっぱいになってしまった。 200円台の激安弁当市場は全国的にもヒートアップしており、テレビ番組でも特集されたが、全国チェーンの大規模店よりも地元に根ざしている小規模経営の店が多いようだ。「できるだけ安く提供したい」ということはもちろんだが、激安弁当には話題性のある集客コンテンツとしての役割、また「ついで買い」を導く役割などがある。 コンビニでも300円台の弁当やパスタなどが増えた。弁当類以外にも期間限定の値下げキャンペーンやドリンクとの「セット買い」で値下げになるキャンペーンなどが目につき、利便性重視だけではなく、低価格競争にも参戦を始めたようだ。 歴史ある「てらおストア」の激安弁当をはじめ、多くの激安弁当は、各店が工夫や企業努力をこらすことによって成り立っている。しかし、経済全体として見た場合、景気の冷え込みによる消費者の低価格志向に拍車がかかることにより、企業が一層、安価な商品を提供するため、人材を不安定な形で安く雇用せざるをえないというしくみを助長することになりはしないか、と激安弁当の存在に喜びながらも一抹の不安を抱く。(U) |

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