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| 連載／2023年6月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ChatGPTは、IT業界のGoogleによる専制支配を打破し、世直しをしてくれるか - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(72) | ||||
大規模な自然言語処理モデルの一つだということすが、その学習の過程を経て生み出されたＡＩモデルによるインプットからアウトプットに至るまでの処理の結果が、人間が自らの知識をもとに論理的思考を行った結果に匹敵することが頻繁に起こることがポイントだと言われています。 ＣｈａｔＧＰＴが、もしくはそれが打ち出した方向性が、今後世の中に与えるであろうインパクトについては、数多くの人たちが主にネット上でこれでもかと言わんばかりに解説していますので、私は、世界のネット空間（正確に言うと西側民主主義諸国のネット空間）がＧｏｏｇｌｅが支配する専制国家のようになってしまった皮肉に満ちた現実を少しでも是正してくれる起爆剤にならないかとの趣旨で文章を書いてみたいと思います。 私はＧｏｏｇｌｅの一極支配は好ましくないと思っている一人です。そしてＣｈａｔＧＰＴは、Ｇｏｏｇｌｅの検索エンジンが独占的に担ってきた役割を、そこにさらに数多くの利便性を追加する形で奪い取る可能性を秘めていると思っています。もしくは、複数の検索エンジンが一段高いレベルでシェア争いを展開する健全な状態に戻してくれる可能性を秘めていると思っています。 検索エンジンの市場では、ある時までＹａｈｏｏが独自の検索エンジンの開発を進め、Ｇｏｏｇｌｅと対抗していましたが、結局は敗北しました。Ｙａｈｏｏが独自の検索エンジンの開発をさらに進め、Ｇｏｏｇｌｅのそれに対抗できる独自のものを作り上げることはおそらく可能であったと思います。しかし、先に一定割合以上のシェアを取ったもの力は絶大で、Ｙａｈｏｏがそれを逆転させるには、Ｇｏｏｇｌｅが割いている何十倍もの労力を割かなくてはならなかったのだと推察します。採算が合わないと判断するのは至極自然の成り行きだったに違いありません。 ＣｈａｔＧＰＴとＹａｈｏｏが決定的に違い、Ｇｏｏｇｌｅの一極支配を崩す可能性を秘めた救世主である所以は、これまでＧｏｏｇｌｅの検索エンジンが対応してきた世界の人々の需要を、検索エンジンとは全く違う技術で満たせる可能性があることです。ＩＴ業界に活発な競争が再び起こり、以前のようなわくわく感が戻ってくる状況を、ＣｈａｔＧＰＴが実現してくれることを私は心の底から願っています。 ＣｈａｔＧＰＴを開発した米国ＯｐｅｎＡＩ社には、ＩＴ業界の覇者の座をＧｏｏｇｌｅに奪われた感が否めないＭｉｃｒｏｓｏｆｔ社が多額の出資をしていて、つい最近、Ｍｉｃｒｏｓｏｆｔ社が提供する検索エンジンのＢｉｎｇに、ＣｈａｔＧＰＴの機能を追加しました。Ｍｉｃｒｏｓｏｆｔ社が提供するブラウザ（インターネット閲覧ソフト）のＥｄｇｅで、Ｂｉｎｇを利用すると、右上にＣｈａｔＧＰＴのチャットボットが表示され、Ｂｉｎｇの検索機能と合わせて便利に使えるようになっています。 実はＧｏｏｇｌｅも、ＣｈａｔＧＰＴと同じようなＡＩの開発をすでに進めていたのですが、これまでのＧｏｏｇｌｅの最大の強みであった先駆者魂も、検索エンジンでの成功体験の呪縛からは逃れられなかったようで、その発表は控えていたようです。 ＣｈａｔＧＰＴのリリースで、Ｇｏｏｇｌｅの尻に火が付いたはずです。Ｇｏｏｇｌｅが真っ青になって危機感を抱くことが、今後のＩＴ業界の健全な発展を促す特効薬になると私は信じています。（ＲＯ） | ||||
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