「たかがパン、されどパン」。なんと味わい深い言葉なのでしょうか。 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(64) - ブランスリー電子版


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連載/2022年10月号

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「たかがパン、されどパン」。なんと味わい深い言葉なのでしょうか。 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(64)
 私はこれまで数多くのベーカリーを取材させて頂きましたが、それらのオーナーシェフの皆さんは、取材したくなるような魅力的なベーカリーを運営しているだけあって、パン作りへの想いは海より深く、日々パンの飽くなき研究に励んでいます。
 様々なチャンネルから情報を収集し、収集した情報から様々なひらめきを得て、日々新しいパンの開発に取り組んでいます。
 そして、自分が理想とするパンの世界をより多くの人に伝えるために、そのパンの世界に共感してくれる仲間を集め、表現手段である製パン技術を仲間に伝授し、最強のチームを作って、毎日仕事に励んでいます。
 店に足を運んでくれる客に対しては常に謙虚な姿勢で接し、その声を積極的に聞き、その内容を日々のパン作りにできる限り反映させようとします。
 店側の想いを一方的に押し付けるのではなく、その想いに客がどのような反応を示すかをつぶさに観察し、そこから客の想いを感じ取り、互いの想いをぶつけ合ったり、共鳴させたりして、新たな世界を切り開いていくクリエティブな活動を日々実践してます。
 あるベーカリーのオーナーシェフが「私たちにとってはパンは人生のかなりの部分を占めるが、お客様にとっては、パンは人生のほんの一部に過ぎない。それを忘れると、知らず知らずのうちにお客様に対して横柄になってしまうから気を付けなくてはならない」という趣旨のことを言っていました。
 客からすれば、単純においしいパンが食べたいから買いに行くだけであって、彼らは、パンを作ることを仕事とする人たちのようにパンのことをいつも考えているわけではありません。
 そのオーナーシェフはおそらく、「自分たちのパンに対する深い想いに誇りを持つのは当然だが、それを客に押し売りすることは絶対にしてはならない」という趣旨でそう言ったのだと思います。
 客が店と接するときにも同じことがいえるでしょう。客もそれぞれが自分の職業を持っているわけで、それぞれの職業の分野のプロとして、日々研鑽を積んでいるに違いありません。それぞれの分野で、彼らにも客がいて、日々その客と向かい合っているに違いありません。
 しかし、パン作りを職業とする人にとっては、客のそれぞれが大事にする世界は、深く関わったことのない馴染みの薄い分野になるわけです。
 前述のオーナーシェフは「お客様にとっては、パンは人生のほんの一部に過ぎないことを忘れると、知らず知らずのうちにお客様に対して横柄になってしまう」と言いましたが、オーナーシェフを、絵を描くことを職業にしている客に置き換えて、オーナーシェフをその客の絵のファン(客)だと仮定すると、「お客様にとっては、私の絵は人生のほんの一部に過ぎないことを忘れると、知らず知らずのうちにお客様に対して横柄になってしまう」というように書き替えられないでしょうか。
 すなわち、ベーカリーとその顧客が生産的ないい関係を築くためには、互いの大事にしている部分に想いをめぐらすことができる想像力が必要だということになるのかと思います。
 人は一般的に、自分が専門とする分野で一定程度以上に究めた仕事を成し遂げると、それが物差しとなって、他人が専門とする分野のことにも一定程度以上の理解が示せるといいます。
 その意味で、「俺のパンが分からないのか」などと平気で偉そうに言ってのけるパン職人や、ベーカリーに上から目線で理不尽なクレームをつけてくる客は、まだ未熟な人たちなのかも知れません。
 「たかがパン、されどパン」「たがが絵、されど絵」。両方とも、なんと味わい深い言葉なのでしょうか。(RO)









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