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特集/2022年10月号 |
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パンの取り寄せ・取り置きモールってどうですか?
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地域に焦点を当てた情報発信
現在登録中のECモールに対し、小野寺さんは一通り満足しており大きな不満はない。ただ要望として少し思う事がある。 「当店が出店しているECモールは、良いサイトだと思うのですが、できれば地方のベーカリーのパンももっと紹介してほしいと思っています」(小野寺さん) 同ECモールではインスタグラムを通じて登録ベーカリーのパンの紹介を行っているが、圧倒的に首都圏など都市部の店のものが多く、地方にスポットを当てた情報は少ないのだという。 「ECモールを経由して紹介してもらえれば、自分達が直接発信する情報とはまた違った効果を及ぼす事ができるので期待したいところです」(小野寺さん) 小野寺さんは「石巻といえばパン工房ふぃーるへ」と言って来店してもらえる店を目指してSNSを中心にさらに情報発信をしていけば、通販の利用客もさらに増えるのではないかと考えている。 そのためにも、セット商品を充実させ、地域の特産品を使った商品のPRにさらに力をいれたいと考えている。 近々、ふるさと納税のサイトにも登録する予定だが、楽天など大手のポータルサイトにもリンクが貼られるので効果的な情報発信ができるのではないかと考えている。 「今後はリピーターを増やす事も大事ですし、案内の仕方も考え直したいとも思っています」(小野寺さん) 通販を始めた事をきっかけにHPやSNS上のリンクを見直すようになった。あとはシュトーレンなど季節商品の企画にももっと力を入れれば注文数はさらに伸びるのではないかと考えている。 ただ、製造の体制は現在、小野寺さん一人のほか、雑務を含めて補佐的に手伝ってくれるスタッフが一人いるのみ。そのほか常時2、3人いる販売のスタッフにSNSの更新や、通販商品の梱包などの諸作業は頼めても、注文増に繋がるネット上の販促対策を考える事などにはなかなか手が回らないのが実情だ。だからECモールの営業担当者が色々と助けてくれるのは本当に助かるという。 「もともとは母を助けるため、それまでのキャリアを捨てて継いだ仕事でしたが、今ではパン屋になって本当に良かったと思っています。だから色々な人に当店のパンの事を知ってもらえるようにしたいですね」(小野寺さん) SHOP DATA 店名:パン工房ふぃーる@カフェ 住所:〒986‐0827 宮城県石巻市千石町2-2 電話:0225‐24‐6885 営業時間:午前8時~午後6時(カフェは午後9時) 定休日:水曜 品揃え:約70品目 スタッフ:製造常時2人(うち一人は補佐)、販売常時2人(土日祝3人) 店舗面積:売り場8坪、厨房12坪、イートインカフェスペース15坪 |

ECモールを利用するメリットを打ち出していく - ブーランジェリー レコルト | |||||||||||||||||||
兵庫県神戸市兵庫区のベーカリー 「ブーランジェリー レコルト」は、パンの取り置きと取り寄せができるECモールに昨年8月から登録している。オーナーシェフの松尾裕生さんは「コロナ禍でSNSが急速に広まったので、新しい販路と商圏を広げる手段を模索していました」と登録の動機を語る。 客がネット上で予約し決済した商品を店頭で受け取れる取り置き機能と、客が希望する送り先に商品を届ける取り寄せ機能の両方を兼ね備えているが、実際の注文は取り寄せのセット商品を希望するユーザーからのものがほとんどだという。 松尾さんはECモールには大きな期待を寄せているが、まだ当初考えていたような効果を得る事はできていないと感じている。 今後、宣伝を長期的に打つなどして、ECモールの一般消費者への地名度が上がってくれば、注文が増えていくのではないかと期待しているという。 情報が十分に広まっていない 同ECモールは全国各地から100店舗以上のベーカリーが参加。消費者とベーカリーをつなぐプラットフォームとしては情報量も多く、モール内の各ページもデザイン性、操作性ともに優れている。ただ一般消費者への宣伝や販売促進活動がまだ本格化していない感じがあるという。 「ECモールとして成長の余地は十分あるのですが、まだ注文はそれほど多くは来ていない状態です」(松尾さん) しかし初期費用が無料、毎月のシステム利用料も売り上げに対して一定の割合の額を支払えば良い仕組みになっており、余分な費用がかからないというメリットは大きいという。 松尾さんが10年前の2012年にオープンした「ブーランジェリー レコルト」は、元臨床検査技師の松尾さんが科学の理論に基づき徹底的に生地のおいしさにこだわったパンを焼く事を信念とした店で、ベーカリー激戦区の神戸の中にあって人気店へ成長。通常の店頭予約の場合、2カ月待ちになる商品もあるほどだが、参加するECモールでもそうした商品は即座に購入できるようになっている。 同店は神戸の人気ベーカリーとしてこれまで様々なメディアにも取り上げられた。しかしネット上だとどうしても、「レコルト」という店名で検索しないと同店が発する情報までたどり着けないことが多いのが松尾さんの悩みだったと言う。 「当店の名前を知らない人に当店の事を知ってもらい、全国のパンにこだわりを持つ人達と繋がりたいですね」(松尾さん) |
松尾さんはネットビジネスには非常に肯定的だ。その理由はコロナ禍で何かを買いたくても思うように買えない人に商品を提供できるからだ。 「買う事が難しくなってきた状況なら、その解決策としてネットを利用することはなんら問題ありません。さらに自由に行動できない状況がSNSを急拡大させる事につながったので、自分たちのパンに対するこだわりなど、今まであまり発進できなかった情報もより伝えやすくなりました」(松尾さん) 同店では自社HPでもネット販売を行っている。店の売り上げのうち店頭販売以外の外販が10%位だが、主に百貨店や高級スーパーへの卸売や自社HP経由の販売による売り上げが占め、自社HP経由での売上は、店全体の売り上げの5~6%を占めるという。自社HPでは現在「もったいないセット」という店のロスパンの詰め合わせセットのみを販売している。 「正直、商品をネット上で買いたいなら、店へ直接申し込めば買えます。だからECモールに出店する場合ば、なんらかの工夫が必要だと思うんです。何かあえてそこを利用するメリットを出していけたらと思っています。クーポンや割引価格での販売など、経済的なメリットをアピールすることも効果的かも知れません。私達がECモールに期待しているのは、遠方に住んでいる人など当店の事をまだ知らない人に、インパクトのある情報を伝えてくれる事です。プラットフォーム機能を持つECモールならではの情報発信に期待しています」(松尾さん) 業界への理解が深い運営者 同ベーカリーが参加するECモールの運営者はベーカリー業界との関わりが深く、登録店舗への対応は非常に親切で理解がある。 「参加するベーカリーへのサービスの良さという点では、他のECモールの運営者にはない良さがあると思っています。ベーカリー業界で働く人間に対してすごく理解がありますね」(松尾さん) 参加ベーカリーからの相談には親身になって対応してくれ、特に事務処理の負担を軽減してくれる事は大きいという。 「僕らは現場仕事が中心で、デスクワークをしている時間はあまりありませんので、常に注文が入っていないかどうかメールをチェックするというわけにはいかないんです。システムを導入するときの手続きだって一つでも面倒なものがあれば業務に支障をきたしてしまいます」(松尾さん) 手続きが煩雑になるという理由で、ECモールを介しての取り置き予約サービスや通販を開始することに二の足を踏むベーカリーは、特に小規模で個人経営であるほど多くなってくるのかも知れない。 その点で松尾さんが登録したECモールの業者は、非常に親切にナビゲートしてくれるので参入しやすかったのだろう。 また初期費用が無料ということはやはり大きかったと思われる。 「今の段階で注文は多くなくても、事務的な負担はなくお金もかかりません。だから将来を期待して登録は継続していこうと思っています。でもせっかくなので、いずれはここを通じて全国的な情報発信にもつながるような数多くの注文が取れるよう、運営者サイドにも頑張ってほしいですね」(松尾さん) SHOP DATA 店名:ブーランジェリー レコルト (boulangerie recolte)本店 住所:〒652‐0803 兵庫県神戸市兵庫区大開通7‐5‐16 電話:078‐599‐6436 営業時間:午前7時30分~午後6時30分 定休日:日曜、月曜 品揃え:平日約70品目、土曜、祝日約80品目 スタッフ:販売常時2~4人(土曜、祝日は3~4人)、製造常時6~7人 |
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