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| 連載／2020年12月号 |
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| お客様が喜ぶことは何かをいち早く掴み、そこに手を差し伸べられるかが勝負になる - 私の販売集大成ノート(3) | ||||
ポンパドウル町田店に勤務して二年が経過していた一九七九年、売上は好調な状況が続き販売業務も大きな問題はなく推移していた。 この年は、一九六九年十一月に横浜元町本店が創業して十年を迎えていた。月一度開かれる販売会議で新たに池袋と六本木への出店が発表された。出店の話は会社が成長している証と感じていた。新規の開店業務に魅力を感じていたのでマネージャーに志願した。他に何名かの候補者がいるので選定するとのこと。結果待ちとなった。 六本木は魅力ある市場だと感じていた 六本木は夜の街というイメージが殆どであったが、私はビジネスの街でありベーカリーも少なく魅力ある市場だと感じていた。一九七九年当時は今のような高層ビルはなく、十階建ての東京日産ビルが一棟あるだけで、低層ビルが多い街だった。二四六号線に面し地下鉄出入口隣の路面店。立地条件は悪くない。 購入の目的が手に取るように分かった 販売課長よりマネージャーとして決まったことと、二か月後の十月十日にオープンするとの指示があった。時間的にはかなりハードだった。困難なことはパートタイマーとアルバイトの確保だ。結果は予想どおり厳しいもので、パートタイマー二名とバイト二名のみ。いずれも計画の半分の数だ。当面は他店からの応援に頼らざるを得ないことを覚悟した。人員の安定は円滑な店舗運営に欠かせない。その後の宿題として残った。 店舗の内装も、オープン間際まで必死の作業が続いた。販売スペースは約十三坪。平均的な広さだ。 商品構成は基本的な品揃えに加えて、贈答用の焼菓子とデリカ商品の多さが際立っていた。贈答用の「デリシャスマロン」の売れ行きは予想以上であった。お客様は決まったように背広姿の二人組のビジネスマン。手土産として持参するのだろう。サンドイッチとサラダや飲み物のデリカ製品も予想以上の売上だ。明らかに昼食用と思われる製品だった。 昼時はお客様が店内に二重に回って並ぶ程の入りが続いた。夕刻六時近くに二回目のピークがやってきた。翌朝に召し上がると思われる製品が売れた。 お客様が喜ぶことに手を差し伸べる お客様の生活パターンを知ることが出来れば売れ筋製品が判り易くなる。お客様が喜ぶことは何かを掴み、そこに手を差し伸べられる。何をすれば喜ぶか、どのようにすれば喜びは倍以上になるか。そこを押さえて、出来ることは何かを考えて行動することが必要となった。 有名人の来店が楽しみの一つだった 外国人客が多いのも六本木店の特徴だった。中でも「ビーフかポークか」の質問が多い。イスラム教徒は豚の飼育環境が衛生的ではないと思っている。豚は「不浄の動物で絶対に食べない」という。 六本木という土地柄、有名人の来店は、販売員の楽しみの一つだった。想像以上に小柄で気が付きにくかった吉永小百合さん、ラフなスタイルでみえた若山富三郎さん、人気シンガーの桑名正博さん、往年のプロ野球選手の別当薫さんなど多くの方にご利用頂いた。 近隣にはレストランが多く、フランスパンの掛け売りが多い。フランスパン担当のメンバーは技術力があり安定した製品が提供できた。 十月十日にオープンして以来、売上げも予想していた以上の推移であった。ハードな毎日であったが、新しい土地で支持して頂いていることを実感した時、疲れも半減した。 販売員が観察の眼を持つことが必要 環境が異なれば、新たなマーケティングが必要となる。メンバーから日々の業務の中で気が付いたことや意外に感じたことを終礼で聞くようにした。これが非常に参考となった。同じ場面を見ても角度が違えば見え方も当然異なる。それが良いのだ。 六本木店に異動して、販売員は観察の眼を持つことが必要であると痛感した。様々な状況にアンテナを張り巡らせ、情報を収集し分析し整理して業務に活かすことを意識して行動した。 望月 康男 販売アドバイザー。1946年神奈川県川崎市生まれ。東京都町田市在住。趣味は、ドライブ、登山、ビデオ撮影、映画鑑賞。1978年9月、株式会社ポンパドウル入社後、町田店、六本木店、伊勢佐木町店の販売マネージャー。1985年1月販売課長。1989年6月販売部長。1996年12月取締役販売促進部長。2001年10月取締役広報宣伝部長。2007年2月〜2010年1月、株式会社ポンパドウル顧問。全店の接客、品質、クレンリネス、品揃えの改善点をアドバイス。株式会社ポンパドウルの成長期、成熟期に販売関連業務に携わる。 | ||||
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