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お店拝見/2020年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

「楽しみながらしたいんです」と田中さんはいう。 製造と販売の頻度を抑えた同店のやり方は、田中さんのこの思いからだ。 「今、パンを焼くのは週に1~2回なんですが、もし毎日やっていたら、忙しくなって楽しめるかどうかわからないと思います。流れ作業のようになってしまうのではないかと考えたりします」(田中さん) 田中さんには小学生以下の3人の子どもがおり、現在子育ての真っただ中。店舗販売を土曜日にしているのは、会社が休みの夫が子どもたちの世話をしてくれるからだという。そして翌日の日曜日は、家族と過ごす日と決めている。 同店のフェイスブックのアカウントでは、商品情報やイベント出店情報などの営業に関するものに限らず、田中さんの子どもの様子や、ある日の晩御飯のことなど、プライベートな内容もしばしばつづられている。 「店舗販売では、子育て中のお客様をかなりお見受けします。子どもに安心して食べさせたいという思いは皆さん共通だと思うので、当店のパンに使っている無農薬野菜や農家さんのことなども、SNSで発信しています。プライベートなことを載せているのは、作り手である自分の趣味嗜好を、知ってもらえたらという思いからです。もし何か共感していただけることがあったら、パンにも興味を持ってもらえるかなと思うんです。内容は、通販だけのお客様や、来店したことがない方でも、楽しめるものにすることを心がけています」(田中さん) 好きなことを続けていくために 田中さんは、子どものときから菓子作りが好きで、製菓製パン業に就くことを考えていたという。しかし実際は理系の学校へ進学し、その分野の会社に就職。しかし、休みの日はベーカリー巡りを楽しんでいた。そんな中「チクテベーカリー」と出合ったことを機に、会社勤めを4年で切り上げることを決断。 「客として通いはじめ、ちょっとずつお手伝いをさせてもらうようになって。それから正式に入社させてもらいました」(田中さん) 開業への意識は最初はなかったが、働いていく中で強くなっていき、オーナーとも話すようになっていった。店が休みの日は、厨房を借りて練習のためにパンを作らせてもらったという。同店では約2年働き、その後結婚。そして2008年、東京・品川区で開業した。 「店舗の営業は週3日。あとは派遣で事務の仕事を週3日していました。テナントだったので賃料を稼ぐためです。広告などはいっさい出さずに、宣伝なしに始めたので、決まった収入がないと厳しいなと思って」(田中さん) 東京では約1年間の営業となった。夫の転勤に伴い、北九州に移ったからだ。現在の店舗での営業は2011年からとなる。 先日オンラインで開催された「麦フェス2020」(新麦コレクション)に初めて参加し、目標数にほぼ近い数のパンを販売することができた。 「今まで注文のなかった方と繋がることができ、そうした方々に当店を知って頂くことができました。自分の製造能力を試すいい機会にもなり、店舗営業日を増やすことも検討していきたいと思えるようになりました」(田中さん) 店名:自家製こうぼパン ちまちま 住所:〒802‐0023福岡県北九州市小倉北区下富野1‐9‐28 電話:090‐7345‐2211 営業時間:午前11時~午後6時 定休日:土曜以外(営業は土曜のみ) 品揃え:約20品目 スタッフ:製造常時1人、販売常時1人 店舗面積:売り場約2・5坪、厨房4・5坪 年商:約150万円(通販と卸販売を含む) |

この記事の読みどころ
●店舗販売は、毎週土曜の週に一日に限っている。
●楽しみながらパンを作り、楽しみながら顧客と接する。 ●すべて手捏ねで、その触り心地で生地の状態がわかり、その後の工程で色々な調整ができる。 ●SNSで自分の私生活の出来事も発信し、顧客との共感を深める。 ※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。 |


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