人の流れが各地域に向く傾向に適応した商売の在り方を考える - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(37) - ブランスリー電子版


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連載/2020年7月号

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人の流れが各地域に向く傾向に適応した商売の在り方を考える - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(37)
 今回のコロナ禍では、人々の心理状態が変わり、行動パターンが変わり、全体としての人の流れが大きく変わると、あらゆる商売に、甚大な影響が及ぶということを、かつてないリアリティーを持って見せつけられた気がします。世の中が変わると、求められる商売も変わるということの極端な事例に、私たちは期せずして遭遇したと言えるでしょう。
 今回のこの極端な事例が教えてくれたことのひとつは、人が極端に集中することの危うさです。東京一極集中もそうだし、地方の大都市への一極集中もそうです。
 私が特に見逃せないと思っているのは、首都圏の通勤電車の混みようです。冷静になって考えてみると、あの状態はどう考えても常軌を逸しています。私たちは、慣れと脅迫観念から、あの異常な状態について、目をつぶり続けてきてしまったのだと思います。
 今回のコロナ禍で、人々は、不自然に人間が集中しすぎない方向に動き出したということはできるでしょう。
 例えば、人々の働き方です。通信の技術を駆使したウェブ会議の環境がこれほどまでに整っていることを、今回初めて知ったという人も多いのではないでしょうか。社員全員が朝9時に一斉に集合する必要が本当にあるのか、会社勤務と在宅勤務のシフトをうまく組んで会社の業務を遂行した方が、実は生産性が上がるのではないか、などという疑問が可視化され、多くの人がその検証に精を出している今の状況は、とても好ましいと思います。
 右肩上がりの経済成長が終わってからの日本は、その大成功の余韻に浸った状態で、時間だけが過ぎてしまった感は否めません。進むべき道について、心ある人たちが様々な提唱をし、実行に移してはきましたが、大多数の人たちは、「分かっちゃいるけど、やめられない」といったニュアンスで、かつての栄光にしがみついてきてしまったと言っていいでしょう。
 こうした状況を変えるきっかけの一つとなり得るのが、一極集中をバランスよく解消すること、そして人の流れを変えることだと思います。
 前述の人々の働き方は、人の流れを変えるために重要な役割を果たすことは言うまでもありません。会社に朝早い時間に全員集合というこれまでのスタイルから脱却して、時間と空間の広がりの中に、人とものをバランスよく配置するような会社経営に大きく舵を切ることが、現在の情報テクノロジーを持ってすれば、充分に可能であることを、私たちは今回、期せずして学んだと言えるでしょう。
 本誌の主な読者であるリテールベーカリーの人たちにとっては、今回の人の流れの大きな変化は、客数と売上を増やす方向への力をもたらしたといえます。客数が増えた中に、客層の変化を敏感に感じ取ったオーナーシェフの方々も多いのではないかと思います。
 こうした変化は、これから世の中が進んでいく可能性が高い方向、すなわち、人々が地元で過ごす時間が増えていく方向の中での変化であり、地域密着のベーカリーの品揃えやサービスの在り方も、それに合わせて変わっていかなくてはならないでしょう。
 一方で、都心のベーカリーは、都心への一極集中が緩和される方向の中での商売の在り方の再構築が、必要になってくるのかも知れません。(RO)









原価計算女王
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