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| 講習会／2020年4月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| スチコン＋ブラストチラー スイーツセミナー - ツジ・キカイ | ||||||||||||||||||||||||
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ツジ・キカイ（山根証社長）は2月18日、大阪市北区の同社堂島ラボで「スチコン＋ブラストチラー スイーツセミナー」を開催した。講師は、大阪市西区の洋菓子店「ｓｅｉｉｃｈｉｒｏ ＮＩＳＨＩＺＯＮＯ」の西園誠一郎オーナーシェフが務め、「タイムマネジメント」のテーマで、「タルト・シトロン」「キャラメルノワ」などを紹介し、それらの製造過程で、どうやって効率化を図っているかについての説明を行った。実際の製造実演は、西園講師の店のスタッフ３人が行い、西園講師は、製造実演内容の解説を行った。
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| 香りで製品を客の記憶に刻み込む | ||||
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| タルト・シトロン | |||||||
▽レモンクリーム 【配合グラム】 シトロンブロワイエピュレ‥５００ はちみつ‥‥‥‥‥‥‥‥２００ グラニュー糖‥‥‥‥‥‥２００ 凍結全卵‥‥‥‥‥‥‥‥５００ バター‥‥‥‥‥‥‥‥‥４２０ 【作り方】 ①バター以外の全材料を鍋に入れてかき混ぜながら沸騰させる ②（１）にバターを入れて、ハンドブレンダーでかき混ぜる ▽イタリアンメレンゲ 【配合グラム】 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥‥90 トレハロース‥‥‥‥‥‥‥‥90 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40 凍結卵白‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥90 【作り方】 ①基本的なイタリアンメレンゲを作る ▽仕上げ ①タルトシェルにレモンクリームを絞り入れる ②（１）の上にイタリアンメレンゲを絞って飾る（写真１） ③２１０度Ｃのスチームコンベクションオーブンで40秒〜１分焼成する | |||||||
| キャラメルノワ | ||||||||||
▽ソフトソルティキャラメル 【配合グラム】 35％生クリーム‥‥‥‥‥４９０ ハローデックス‥‥‥‥‥１６０ バニラペースト‥‥‥‥‥‥‥６ 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥４９０ トレハロース‥‥‥‥‥‥１２６ 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥適量 【作り方】 ①35％生クリーム、ハローデックス、バニラペースト、塩を手鍋に入れて、沸騰させる ②グラニュー糖、トレハロース、水を１８５度Ｃまで加熱して、濃いめのキャラメルを作る（写真２） ③（２）に（３）を合わせて裏ごしし、粗熱をとる ④（３）を密閉容器に移して冷蔵保存する ▽仕上げ ①タルトシェルにソフトソルティキャラメルを半分の高さまで絞り入れ、ローストしたアーモンド、くるみ、マカダミアナッツ、カシューナッツなどをバランスよくのせる（写真３、ナッツが落ちないように、必要があればさらにソフトソルティキャラメルを少量絞る） ②好みでクレーム・シャンティ―を絞る | ||||||||||
| フォンサージュの作業をメーカーに委ねる
西園講師のコメント 出来合いのタルトシェルを使うことで、時短につなげている。このタルトシェルの生地にはブルターニュのバターが使われている。シェルが薄いので食べやすい。油脂のコーティングがされているので、ムースとかシャンティーを入れても泣きづらい。うちでは、５種類をセットで販売している。出来合いのタルトシェルというと味の面でどうかな思う人もいるかも知れないが、他のタルトシェルよりは断然香りがいい。嬉しいことかどうかわからないが、お客様にはタルト生地がおいしいとよく言われる。シュクレやプリゼの空焼きよりも、ほろほろとした食感が際立つ。手作りでは中々仕込めないような食感になっていると思う。
そのまま使ってもいいが、１７０度Ｃで８分ぐらい焼き直すと、コーティングされている油脂が中に浸透していって、サクサク感が増し、タルト生地自体の強度も増す。アパレイユを流しても72時間はタルトの食感がキープできる。ショーケースに入れて他の生菓子と並べても遜色がないし、ギフトとしても使えるので、イベントシーズンには最適だ。 ただ、フォンサージュ（タルト生地を型に敷きこむ技術）が廃れてしまうのは問題なので、フォンサージュして作る手作りのタルトシェルと、出来合いのタルトシェルは使い分けている。 時短を追求していくと、昔からある基本的な技術を普段の作業に中で使わなくなるので、品揃えの中に、例えば、フォンサージュの作業を必要とする生菓子を必ず入れるようにして、技術が継承されるような工夫はしている。美味しさを維持して、しかも技術も高めていきながら、時短も実現していくのは難しい面もある。だから、普段の仕事の中に、パティシエとして必須の技術は落とさないように入れていきながら、ピエスなどより高い技術については、休みの日や仕事が終わってから、時間を割けるような環境を作りたいと思う。 |
| ガレットブルトンヌ | ||||
【配合グラム】 発酵バター‥‥‥‥‥‥‥８８０ 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 洗双糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥５１０ トレハロース‥‥‥‥‥‥‥‥90 メルヴェイユ（フランスパン用粉）‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥９００ ベーキングパウダー‥‥‥‥‥12 卵黄‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥３００ ディロンラム（ラム酒）‥‥‥‥80 【作り方】 ①発酵バター、塩、洗双糖、トレハロース、メルヴェイユ、ベーキングパウダーをミキサーボウルに入れ、白っぽくなるまで擦り混ぜるようにビーターで混ぜる ②（１）に卵黄とディロンラムを加えて混ぜる ③（２）の生地をシルフォーム（表面を網目状に加工したシリコン製の焼き型）に約50グラムずつ絞って、冷凍する ④型から外し、ひっくり返して平らな方に卵黄（分量外）を塗って、模様を描く ⑤（４）を１６０度Ｃのスチームコンベクションオーブン（ツジ・キカイのベイキープロ）で27分焼成する（ダンパー解放、火力８、風力１） | ||||
| ガレット・オ・ブール | ||||
【配合グラム】 メルヴェイユ（フランスパン用粉）‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥６７３ ベーキングパウダー‥‥‥‥‥15 カソナード‥‥‥‥‥‥‥４８５ 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥６ 発酵バター‥‥‥‥‥‥‥４５０ 加糖冷凍卵黄‥‥‥‥‥‥４５０ 【作り方】 ①メルヴェイユ、ベーキングパウダー、カソナード、塩をミキサーボウルに入れる ②溶かしたバターと卵黄を合わせて、 （１）加え、ビーターで混ぜ合わせる ③５度Ｃのブラストチラーで15〜30分休ませる ④（３）を分割して丸め、シルフォームに並べ入れて、上から軽く押さえる ⑤（４）を１７０度Ｃのスチームコンベクションオーブン（ツジ・キカイのベイキープロ）で17分焼成する（ダンパー解放、火力６、風力１） | ||||
| 材料選びで美味しさと効率を両立させる
西園講師のコメント ガレットブルトンヌの方は固形状のバターと粉とを混ぜて生地を作っていくが、ガレット・オ・ブールは、バターは溶かして粉に混ぜ込んでいる。両方とも、粉とバターを使っているが、仕込み方が違うので、食感が違ってくる。絞った生地をブラスチラーで型ごと冷凍することによって、すぐに型から外れるようになり、型から外して、すぐに卵を塗って模様を入れることができる。
時短のポイントは、発酵バターを使っている点だ。発酵バターは、すでにメーカーで発酵という工程が行われているので、厨房での作業が減り、「美味しいものを効率的に」という意味では優れた材料だ。 ガレットブルトンヌは、普通に作ると、生地を寝かせてのばして、抜いてから、もう一度寝かせてのばして、卵を塗るという作業になり、４〜５時間はかかってしまうが、このやり方だと、オーブンに入るまで１時間以内で済む。スチームコンベクションオーブン１段に28個のるので、４枚で焼くと１００個ぐらいは、仕込みから１時間ちょっとで焼き上がってしまうので、かなり時間短縮につながると思う。 ガレットブルトンヌは、寝かすことによる熟成の味よりは、バターそのものの味を楽しんでもらうようなイメージなので、いかに早く寝かせた場合と同じ状態が作れるかということにポイントを置いた。 |
| 効率化が美味しさの実現につながる | ||||
我々のスチームコンベクションオーブン「ベイキープロ」は、日々改良を重ねてきた結果、焼成時間が短くなるということが明確に言えるようになった。また、熱いものを冷やす機械のブラストチラーをあわせて使えば、作業時間がさらに短くなる。そして同時に美味しくもなる。効率をよくすることが、美味しさの実現につながるのだ。その点を強調しながら、今日は進めていきたいと思う。働き方改革を実現しながら、同時に美味しいものを作っていくということを実現できたら素晴らしいと思う。 | ||||
| コンベクションで焼けない菓子はない | ||||
西園講師の回答 最初は結構あった。パウンドケーキやクグロフなどの形が大きくて質量の多い焼き菓子は中々難しかったが、今は大丈夫だ。パウンドケーキの場合は焼成温度を１６０度Ｃぐらいに下げてやることで、いい状態に上がってくるようになった。生地量は１キロぐらいまではいける。焼き時間はデッキオーブンで焼くよりかなり短くなる。生地が７００グラムのパウンドで35分で出てくる。焼き時間が短くなるので、水分の飛ぶ量が少なくて済む。フィナンシェやマドレーヌなどの生地重量が少ないものは、とてもいい感じに焼き上がる。コンベクションというと焼き上がりの製品が乾いているというイメージがあると思うが、１９０度Ｃから２１０度Ｃの間で８分で出てくるので、焼き上がりの水分残留量は多い。その分、賞味期限は、脱酸素剤なしで14日と短めにしている。焼き上がってから、すぐに熱いうちにマイナス35度Ｃのブラストチラーに入れられるので、しっとりした状態で固定され、解凍したときに、その状態が完璧に復元される。 | ||||
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