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連載/2020年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
小売段階での冷凍は、ロスパン対策の決め手になるか - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(33) | |
本誌2月号で取材させていただいたパンのお取り寄せサイト「rebake(リベイク)」では、ベーカリーの売れ残ったパンでまだ2~3日は食べられるものを、同サイトの登録会員に販売しています。
同サイトと契約したベーカリーは、同サイトから予約注文を受け、ロスパンが出たときに、それらを冷凍し、セットとして梱包し、同サイトが指定した送り先に冷凍便で届けます。この場合の送り先は、同サイトに登録した消費者で、同ベーカリーのロスパンがほしいと同サイトに予約を入れた人ということになます。 同サイトと契約しているベーカリーはすでに300店ほどあるそうで、大きな流れになる可能性を秘めていると感じました。 面白いと思ったポイントの1つは、パンを冷凍して販売している点です。パンは販売された当日に消費されるとは限らず、翌日に消費され事もかなり多いということは、本誌が様々なテーマで定期的に行っているアンケート調査でも明らかになっています。本誌がこれまで取材したベーカリーの中には、「焼きたてが美味しいのは当たり前で、むしろ、焼いた次の日に美味しい状態を維持することの方が重要になってくる」との趣旨の発言をする人が多くいました。 また、パンを購入した当日に冷凍してストックする消費者も数多くいます。冷凍することを前提に大量のパンを購入する人もいます。ネット上には、パンの冷凍方法や解凍方法、リベイクの方法などの情報が溢れています。ですからベーカリーとしては、冷凍保存して解凍して食べたときの味や香りのことまで考えてパン作りをする必要があるのかも知れません。 「rebake」は、フードロス問題の解決策の一つとして、ロスパンを活かすことを考え、その手段として、冷凍という方法を採用しましたが、これはリテールベーカリー自身が顧客にパンを届ける手段としても考えてみる価値があるのではないでしょうか。 「パンの冷凍」というテーマにおいては、製造段階での様々な試みはベーカリーの側で色々と行われてきましたが、消費者へ販売する段階では、ベーカリー側の試みは、まだあまりなされていないような気がします。 一方で、購入後のパンの冷凍や解凍の方法は、消費者の側で様々な研究がなされ、ノウハウが蓄積されています。そうしたノウハウがさらに活かせるように、リテールベーカリー側で、最初からパンを冷凍して販売するというのも、ひょっとしたらひとつの新たな可能性なのではないかと思います。 実際に、「rebake」でも、パンの冷凍通販を始めるに当たってリテールベーカリーを勧誘する際に、オーナーシェフに、自分のパンを冷凍して食べてみることを勧めているといいます。そして、すべての種類のパンではありませんが、パンの種類によっては、パンの状態が許容範囲内と判断してもらえるケースが多いそうです。 自然環境保全の重要性が強く意識される現代においては、フードロスをいかに減らしていくかは、食に関わる仕事をするすべての人たちに課された大きなテーマになっています。そして、リテールベーカリーにとっては、小売段階での冷凍流通は、このテーマに対する新たな光明なのかも知れません。 (RO) |




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