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お店拝見/2019年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

レジカウンターの下には、本来は寿司ネタ用だというショーケースが設置してある。その中にずらりと並ぶのは、オリーブとドライトマトを自家製のアンチョビソースでマリネした「オリーヴカクテルアンチョビ風味」(税込700円)や、バジルやローズマリーなど5種類のハーブ入りのバター「プロヴァンスハーブバター」(税込570円)、タプナードやにんにく、アンチョビ、マスタードなどが入ったバター「タプナードバター」(税込570円)など、6種類のペースト類。まるでペースト類が寿司ネタのように思えてくるユニークな陳列風景だ。バゲットや食パンをシャリに見立て、何をのせようか、どのように食べようか、考える楽しさがある。 宮田さんは、「焼きカレーパン」(税込250円)と「つぶあんぱん」(税込230円)は、リクエストがあるまで作らなかった。対してハード系は、修業時代から常に作ってきたアイテムだ。だからこそ、「お客様にもっと、ハード系をいろいろな食べ方で楽しんでいただきたい」という気持ちが強い。 「この地域はハード系の食べ方をご存知の方が多いのですが、普通にバターを塗ってという食べ方から、日本人はなかなか抜け出せません。オリーブやタプナードなどをショーケースに並べることで、食べ方の提案になればと思っています」(宮田さん) 「オリーヴカクテルアンチョビ風味」と「プロヴァンスハーブバター」は自家製で、「リエット」(税込670円)と「白レバーペースト」(税込630円)は、手作りと食品添加物不使用の食材にこだわった料理を提供するダイニングバーから仕入れている。 反対に同ダイニングバーへ、同店から提供しているものもある。増粘剤不使用の小麦粉などだ。同ダイニングバーとの交流は、宮田さんが、その食材選びや、手間暇かけておいしく作る姿勢などに共感したことから始まった。 「無添加で作ることとか、増粘剤不使用の小麦粉や、地元の養鶏場でとれた新鮮な卵を選ぶことについて、こだわりなのかとよく聞かれますが、当たり前だと思ってやっていることです。卵白が余ったらメレンゲを作る、そういう当たり前のことと同じです。それに、自分の子どもにも、食べさせたいと思えるものでないといけません」(宮田さん) 店前を通る人に食べてもらいたい 現在同店の製造は宮田さんが一人で行っており、販売はパートを一人雇っている。 「最初は3~4人で作っていけたらと思っていました。でも、ほかの人に任せるのが嫌だということに気付いて、結局一人がいいと思うようになりました。販売のパートさんは主婦の方がほとんどで、お客様は世間話も楽しみながら買いに来てくれています」(宮田さん) 同店の厨房には、目線に合わせたガラス窓が取り付けてあり、売り場だけでなく、店前の外の通りも見えるような設計となっている。 「外を見ながら作りたいというのは、強い希望でした。最初に就いたベーカリーは、百貨店内だったので、工場が地下にあって、お客様の様子も何も見ることができなかったという経験があるから、なおさらかも知れません」(宮田さん) 約80品目のパンと菓子はすべて、奇をてらわず、日常のものであることを大事に作られたものだ。 「毎日ここを通る人に召し上がってもらいたい、いつもそう思いながら作っています。パンは、わざわざ遠くまで買いにいくものではないという考えがあります。ご近所の方にとって当店が、日常のものになるためのアプローチとして、奇をてらうことのない商品作りを大切にしています」(宮田さん) SHOP DATA 店名:bakery 南 住所:〒224-0032 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央13-1 電話:045‐482‐7696 営業時間:午前9時(土日祝は午前7時)~午後7時 定休日:月曜、第二火曜 品揃え:約80品目 スタッフ:製造1人、販売1人 店舗面積:厨房14坪、売り場7坪 日商:平日約10万円、土曜、日曜、祝日約15~18万円 |

この記事の読みどころ
●15年の修業で培ったベースを、客の反応を見ながら徐々に自分の色にそめていく。
●自家製のルヴァンを使うようになったのが、自分のパンが展開し始めるきっかけだった。 ●レジに設置した寿司ネタ用のショーケースに、パンに合う食品を展示し、パンの食べ方を提案する。 ※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。 |


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