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講習会/2016年10月号 |
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様々な食材をうまく使ったパン | |
森田俊介副理事長の話 日本食生活文化財団は、文化庁所管の唯一の食に係わる財団法人として1980年にスタートし、今年で36年目を迎えた。全国の食生活文化に携わる方々の社会的・文化的地位の向上と技術の伝承、後進の指導・育成に努めてきた。その努力が実り、日本の伝統的な和食が、ユネスコを通じて世界無形文化遺産として認められた。本日の西川講師は業界における活躍が認められ、平成27年度の食生活文化銀賞を受賞された。
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しば漬けコメ・パーネ | |
米粉ともち粉で作った生地に、刻んだしば漬けを、対生地10%、手で練り込んだ和風のパン。
【配合%】 米粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80 もち粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 グルテン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 粉乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥‥3 ルヴァンリキッド‥‥‥‥‥‥10 インスタントイースト‥‥1・4 太白ごま油‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥102 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥L2分H5分(太白ごま油投入)L2分H2分(捏ね上がった生地に、刻んだしば漬け適量を、手で混ぜ込み、番重に入れる=写真1) 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥25度C 一次発酵‥‥‥‥28度C85%30分 分割‥‥‥‥‥‥‥‥‥60グラム ベンチタイム‥‥‥‥‥‥‥30分 成形‥‥表面に粉をかけブール形 ホイロ‥‥‥‥‥28度C85%20分 焼成‥‥‥‥‥上火250度C下火220度C12分(スチーム注入) 西川講師のコメント 和の食材との組み合わせが良く合う米粉のパン。ネーミングは、イタリア語で「パンのような」という意味。このパンを世界に紹介するためには海外の人にも分かりやすい名前が大事と、大阪のポンテベッキオの山根大助シェフが名づけた。しば漬けコメ・パーネは、京都の菊乃井の料理長村田吉弘氏とテレビ番組でご一緒した時に考案したパン。このパンの生地はもち粉を加えることで、2日たってもモチモチした食感が持続する。 |

トマトとオリーブとチーズのガレット | |
パン・コンプレの生地で作る、ドライトマト、オリーブ、チーズがたっぷり入ったパン。
【配合%】 中力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80 全粒粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥‥2 インスタントイースト‥‥‥‥1 ルヴァンリキッド‥‥‥‥‥‥20 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥67 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥L2分H4分(捏ね上がった生地100に対して、セミドライトマト15、ブラックオリーブ15、ミックスチーズ10を、手で混ぜ込む) 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥25度C 一次発酵‥‥‥‥28度C85%30分 分割‥‥‥‥‥‥‥‥‥80グラム 成形‥‥‥‥‥‥‥‥ガレット形 ホイロ‥‥28度C85%30分(ホイロ後表面にオリーブオイルを塗り、パルメザンチーズをかける=写真2) 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火250度C下火220度C12~13分 西川講師のコメント 食材を贅沢に使ったパンで、フランス産のブラックオリーブとイタリア産のトマトキューブを使った。トマトキューブは水とオレンジジュースを同割にしたものを温め、その中に漬け込み使っている。ミックスチーズは、ゴーダ80%とモッツアレラチーズ20%を混ぜたリッチなもの。材料費が価格に影響しても、質の高い食材を使ったおいしいものは売れる。ドライトマト、オリーブ、チーズは、材料の形や味を残し、グルテンを傷めないように必ず手で混ぜる。 |

トーストモワティエ | |
コメ・パーネとパン・コンプレの生地を、同量合わせた生地で作る食パン。フランス語で「モワティエ」は半々という意味。
【配合%】 コメ・パーネの生地‥‥‥100 パン・コンプレの生‥‥‥100 【工程】 ミキシング‥‥2つの生地をミキサーボウルに投入して、L2~3分 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥25度C 一次発酵‥‥‥‥28度C75%30分 分割‥‥‥‥‥300グラム×2 ベンチタイム‥‥‥‥‥‥‥20分 成形‥‥‥‥‥丸めて型に入れる ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥28度C75%50分(ホイロ後表面に粉をふりクープを入れる=写真3) 焼成‥‥‥‥上火200度C下火220度C30分(スチーム注入) 西川講師のコメント 2種類の生地を同割で合わせることで、両方の良さを引き出すことができる。コメ・パーネにセーグル、食パン、ブリエの生地などを組み合わせると、合わせた生地によってモチモチ感が微妙に変わって面白い。この食パンはトーストだけでなく、ひじきの煮物、きんぴら、卵焼きなど和惣菜を挟んだサンドイッチにも向いている。 |
ベリーベリー | |
抗酸化力が注目されているボイゼンベリーを使ったパン生地に、ブルーベリーとクランベリーを混ぜたパン。
【配合%】 強力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥100 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 ボイゼンベリー果汁‥‥‥42・5 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥42・5 インスタントイースト‥‥0・1 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ L5分(バシュナージュ)MH25分H1~2分(捏ね上げ後、生地100に対して、ブルーベリー15、クランベリー15を、手で混ぜ合わせる) 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥24度C 一次発酵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥28度C75%30分(パンチ)30分(パンチ、パンチ後冷蔵5度C12時間) 分割‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥100グラム(綴目を上にして丸める) ベンチタイム‥‥‥40分~1時間 成形‥‥‥‥‥‥‥表面に太白ごま油を塗り綴目をつまんで丸める ホイロ‥‥‥‥28度C75%30分(ホイロ後表面に粉をふる=写真4) 焼成‥‥‥上火250度C下火220度C12~13分(スチーム注入) 西川講師のコメント 美しい色のパンに仕上がり、店が華やかになる。ボイゼンベリーはアントシアニンやポリフェノールが多く含まれ、健康志向のフルーツとして注目されている。前日に生地を仕込み、翌日焼くので作業工程が短縮できる。ボイゼンベリーの果汁と仕込み水は、合わせて使う。 |
ガレットフリュイ | |
ブリオッシュ生地に、ダークチェリーをトッピングしたガレット。
【配合%】 強力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥100 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥17・5 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1・6 インスタントイースト‥‥1・6 ルヴァンリキッド・・・・・・40 牛乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40 全卵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 加糖卵黄‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 無塩バター‥‥‥‥‥‥‥‥‥30 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥L2分M8分(バター投入)L2分M2分 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥25度C 一次発酵‥‥‥‥28度C75%30分 分割‥‥‥‥‥‥‥‥‥60グラム ベンチタイム‥‥‥‥‥‥‥30分 成形‥‥‥ガレット形に麺棒で丸く伸ばし、指で穴をあけ、バターを置き、ダークチェリーをのせ(写真5)、表面にグラニュー糖をかける ホイロ‥‥‥‥‥28度C75%39分 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火240度C下火200度C8分 西川講師のコメント このパンの生地は「ブリオッシュ・ムー」といい、「ソフトなブリオッシュ」という意味。ルヴァンリキッドを使うことで、生地に風味が出てソフトな食感のブリオッシュになる。捏ね上がって30分後には分割成形し、ホイロ30分で焼成できる時短の製法。ダークチェリーは、寒天入りのシロップに漬け込んだものを使用。寒天は様々な種類があり用途によってうまく使い分けると、便利な食材だ。この生地で「ガレットクーロンヌデロワ」を1月の公現祭(エピファニー)に因んだ商品として作り、販売している。 |
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