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講習会/2015年12月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

楽しく働いて楽しく生きる | |
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プレミアム食パン | |
2種類の北海道産小麦をブレンドし、生クリームの風味を生かした食パン。
【配合%】 北海道産小麦(キタノカオリ=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥70 北海道産小麦(レンガ=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30 洗双糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 はちみつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5 塩(シママース)‥‥‥‥‥1・8 脱脂粉乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 自家製ルヴァンリキッド‥‥‥5 インスタントドライイースト‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・7 生クリーム(37%)‥‥‥‥‥‥15 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥70 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥L3分LH12分HL1分 捏ね上げ温度‥‥‥‥24~25度C フロアタイム‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥30分(パンチ、パンチ後冷蔵) 分割‥‥‥‥‥200グラム×6 ベンチタイム‥‥50分(冷蔵の生地を17度Cに復温させる時間を含む) 成形‥‥‥‥‥モルダーに1回通した後、手成形して3斤型に入れる ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥‥36度C75%1時間~1時間10分(写真1) 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火220度C下火230度C35~40分 上野岳也講師のコメント 捏ね上げた生地を4度Cの冷蔵庫で一晩ねかせて作る、北海道産小麦の旨味がある食パン。種子島で作られている洗双糖の風味と、はちみつや生クリームを加えることで付加価値が付く食パン。ミキシングの工程では最初に水の半分を入れ、生地の様子を見ながら後半で水の半分を入れる。 |

きなこミルククリーム | |
プレミアム食パンの生地で作る、丹波の黒豆のきなこが入ったミルククリームを挟んだ菓子パン。
【配合%】 北海道産小麦(キタノカオリ=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥70 北海道産小麦(レンガ=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30 洗双糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥7 はちみつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5 塩(シママース)‥‥‥‥‥1・8 脱脂粉乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 自家製ルヴァンリキッド‥‥‥5 インスタントドライイースト‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・7 生クリーム(37%)‥‥‥‥‥‥15 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥70 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥L3分LH12分HL1分 捏ね上げ温度‥‥‥‥24~25度C フロアタイム‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥30分(パンチ、パンチ後冷蔵) 分割‥‥‥‥‥‥‥‥‥60グラム ベンチタイム‥‥‥‥‥‥50分(生地を17度Cに復温する時間を含む) 成形‥フィセルに成形して型入れ ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥36度C75%10~15分(ホイロ後表面に粉をふり、クープを入れる、写真2) 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火220度C下火230度C15分(焼成後、切れ目を入れ、▼きなこミルククリームを絞る) ▼きなこミルククリーム 【配合グラム】 丹波の黒豆のきなこ‥‥‥400 練乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥250 油脂(スイッツアー=J‐オイルミル ズ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥500 粉糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥125 【作り方】 ①ボウルに全材料を入れ混ぜ合わせる 上野岳也講師のコメント ミルククリームは、他にも苺を使った商品があり人気が高い。加える素材を変えて、季節感を出すこともできる。スイッツアーはスイス産の発酵バターをブレンドした、ミルク風味が生かされた油脂。 |

熟成バゲット | |
北海道産のもちっとした食感が特徴のバゲット。ライ麦と全粒粉を加え野趣な味を出している。
【配合%】 北海道産小麦(キタノカオリ=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14 北海道産小麦(E65=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80 北海道産ライ麦(江別製粉)‥3 北海道産全粒粉(江別製粉)‥3 水(コントレックス)‥‥‥‥10 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥62 インスタントドライイースト‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・15 ゲラントの塩‥‥‥‥‥‥2・15 モルト溶液‥‥‥‥‥‥‥0・4 サワードディレクト25‥‥‥‥5 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥L1分(オートリーズ30分)L1分(インスタントドライイースト投入)L1分(塩投入)L1~2分 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥24度C フロアタイム‥‥‥‥‥‥1時間(パンチ)1時間(冷蔵で一晩) 分割‥‥‥‥‥‥‥280グラム ベンチタイム‥‥‥‥50分(生地を17度Cに復温する時間を含む) 成形‥‥‥‥‥‥‥‥バゲット形 ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26度C75%30分(ホイロ後表面に粉をふりクープを入れる) 焼成‥‥上火245度C下火245度C25~30分(スチーム注入) 上野岳也講師のコメント 開店当初から国産小麦でバゲットを作ってきたが、10年近くの間に粉の変化もあり、それに合わせて配合を変えている。水の一部にコントレックスを使うのは、新人スタッフでも成形しやすい生地に仕上げるため。普通の水だけでもできるが、生地がダレやすくまとめにくい。朝と昼の2回焼成している。 |
ジュエリーレーズンのオレンジはちみつ | |
熟成バゲット生地に、ジュエリーレーズンとオレンジハチミツペーストを包んで編み込んだパン。
【配合%】 北海道産小麦(キタノカオリ=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14 北海道産小麦(E65=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80 北海道産ライ麦(江別製粉)‥3 北海道産全粒粉(江別製粉)‥3 水(コントレックス)‥‥‥‥10 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥62 インスタントドライイースト‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・15 ゲラントの塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2・15 モルト溶液‥‥‥‥‥‥‥0・4 サワードディレクト25‥‥‥‥5【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥L1分(オートリーズ30分)L1分(インスタントドライイースト投入)L1分(塩投入)L1~2分 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥24度C フロアタイム‥‥‥‥‥‥1時間(パンチ)1時間(冷蔵で一晩) 分割‥‥‥‥‥‥‥100グラム 成形‥‥‥‥細長い楕円形の生地に▼ジュエリーレーズン20グラムを散らし、その上に▼オレンジはちみつペースト20グラムを絞って包み込み、生地を棒状に伸ばして編む(写真3) ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥26度C75%30分(ホイロ後表面に粉をふる) 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火245度C下火245度C20分 ▼ジュエリーレーズン 【配合グラム】 ジュエリーレーズン‥‥‥1000 コアントロー‥‥‥‥‥‥‥100 【作り方】 ジュエリーレーズンとコアントローを混ぜ、味を染み込ませる(写真4) ▼オレンジハチミツペースト 【配合グラム】 油脂(ジェニュイン=J‐オイルミルズ)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥500 はちみつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥170 オレンジピール‥‥‥‥‥‥170 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥80 コアントロー‥‥‥‥‥‥‥‥少々 【作り方】 ①はちみつとオレンジピールをロボクープにかけ、ペースト状にする ②(1)に油脂、グラニュー糖、コアントローを加え、混ぜ合わせる 上野岳也講師のコメント 彩りのあるジュエリーレーズンとコアントロー、そしてオレンジハチミツのペーストの相性が良く、素材の味を生かしたバラエティーブレッド。熟成バゲット生地で、ベーコンエピやフィセルも作っている。 |
グラノーラ・ライ | |
自家製のグラノーラを配合したライ麦パン。イーストが少ないので、ほとんど膨らまない、クランチタイプのスナックパン。
【配合%】 北海道産小麦(E65=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥60 北海道産ライ麦(ライフラワー=江別製粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥40 自家製ヨーグルト‥‥‥‥‥‥20 はちみつ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥6 洗双糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 サワードライリキッド‥‥‥‥5 塩(シママース)‥‥‥‥‥‥2 インスタントドライイースト‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・04 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40 追加の水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 自家製グラノーラ‥‥‥‥‥100 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥L6分(▼自家製グラノーラと追加の水を投入)L30秒~1分 捏ね上温度‥‥‥‥‥‥23~24度C フロアタイム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥12~15時間(20度C前後) 分割‥‥‥‥‥‥‥‥150グラム 成形‥‥‥‥‥‥馬蹄形(写真5) ホイロ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥26度C75%1時間~1時間10分 焼成‥‥‥‥‥‥上火240度C下火210度C20分(スチーム注入) ▼自家製グラノーラ 【配合グラム】 オートミール‥‥‥‥‥‥‥700 五穀または十穀‥‥‥‥‥‥350 アーモンド‥‥‥‥‥‥‥‥175 パンプキンシード‥‥‥‥‥170 グレープシードオイル‥‥‥105 メープルシロップ‥‥‥‥‥210 洗双糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥70 塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥17・5 モハベレーズン‥‥‥‥‥‥210 クランベリー‥‥‥‥‥‥‥210 【作り方】 ①モハベレーズンとクランベリー以外の材料を混ぜて天板に広げ、210度Cのオーブンで時々かき混ぜながら焼成する ②(1)の中にモハベレーズンとクランベリーを加え、再度焼成する 上野岳也講師のコメント 栄養価の高いグラノーラを使ったパンを考え、ライ麦パンのバラエティーとして誕生した。ライ麦の生地は吸水を40%で仕込み、グラノーラを加える時に12%の水を入れる。生地が固いので、成形するのが大変な時は室温に置いて生地を緩ませるといい。 |
作りたいパンを自由に作る | |
上野岳也氏・祐子夫人の講演 川越の菓子屋横丁の一角に2006年にパン店を開業し、10年目に入る。実家は同じ川越市内で酒屋を経営していたが、私は家業を継ぐことなく会社勤めをしてきた。将来のことを考え、食の安全をテーマにした食関係の仕事をしたいと、パン職人の道に入った。自分たちのライフスタイルを建物にも生かし、漆喰の壁に国産のムク材を使って釘を打たない工法で伝統的な川越の町屋を再現した。パンのことは何も知らなかったので独学し、講習会などにも積極的に参加した。店を開店し自分が作りたいパンを自由に作り、お客様と会話しながら販売する楽しさは働く喜びになった。国産小麦100%のパン作りも、開業時から実践している。小さなパン屋を楽しく経営するには、大手やコンビニにはできない独自の経営をし、労働環境を整え、元気なスタッフと一緒に楽しくおいしいパンをつくる、という3つのポイントがある。
スタッフ全員参加の北海道研修旅行を毎年行い、その他にも世田谷パンまつりなどのイベントに参加し、地元店とのコラボレーション、「夏休みこども一日店長」のイベント、スタッフの家庭訪問や誕生会など楽しい企画を積極的に実施している。新年やお祭りの時期は1年で一番忙しく、一番人気の「みそパン」は500個以上売れる。製造体制が整っていないと、補充が間に合わない。そういう大変な仕事に対しても、スタッフたちはモチベーションを上げて頑張ってくれる。彼らの笑顔はお客様にも伝わり、お客様から励ましの声を多く頂く。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。