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連載/2015年11月号 |
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パンをおいしい食材と一緒に楽しもう - 一粒の麦から28(文・本行恵子) | |
パン関連商品を店に置く
ベーカリーの店頭で、パンを楽しむための食材を販売している店が増えています。店主が独自の目線で選んだ商品は、パン食メニューの提案にも繋がり、店の個性を感じさせます。 あるベーカリーではイベントで生産者と出会ったことをきっかけに、長野県の「自家製ジャム」、八街の「手作りピーナツバター」、房総のセグロイワシを半年間発酵させて造るアンチョビソース「セグロのクサレ」などを販売しています。 また、サンドイッチやタルティーヌなどに使う、スプレッド、ハム、ソーセージ、チーズ、ワイン(酒類販売業免許が必要)などを専用コーナーで販売する店もあり、扱う商品の種類は店によって違います。 神奈川県藤沢市にある創業45年目を迎えた「パイニイ」(松野恭也社長)でも、パンを楽しむ関連商品を豊富に取り揃え販売しています。 ケータリング部門もあるので、ちょっとしたパーティー向けの食材が揃い好評です。 また、西鎌倉で惣菜専門店「おそう菜PAINY」を経営し、季節ごとに変わる旬の素材を使った家庭料理が人気になっています。その中からパン食に合う惣菜を選び、本店でも販売しています。 松野社長は全国からパンに合う食材を集め、厳選した物だけを販売。そしてベーカリーレストランを35年前から経営し「パンのあるおいしい食卓」をテーマにパン食文化を定着させてきました。 ベーカリーが経営するシャルキュトリー 東京・世田谷区にあるリトルハピネス(箕輪喜彦社長)は、1988年にリトルマーメイドのFC経営からスタートしたベーカリーです。現在は「ブーランジェリーボヌール」6店舗と「レ・サンク・サンス」1店舗を経営し、順調に売上を伸ばしています。そして9月11日、念願であった手作りハム・ソーセージ・惣菜の専門店「シャルキュトリー・ボヌール」を、三軒茶屋にオープンしました。 箕輪社長は数年前にフランスを訪れた時、シャルキュトリーの豊富なメニューを味わい、自分の店でも作りたいと思いました。おいしい食材がベーカリーにあれば、パン食文化が広がりパンが売れることを実感したのです。フランスのシャルキュトリーにはハム・ソーセージだけでなく豊富な種類の惣菜が美しく並び、グルメの国にふさわしい食の宝庫でした。 今まで、店では仕入れたハムやソーセージでサンドイッチや調理パンを作っていましたが、トレーサビリティーが求められる今の時代、安心な食品作りに挑戦しようと決断しました。シャルキュトリーの知識はほとんどない状態からスタートし、現地の視察や専門家の話を聞きながら研究してきました。 一番のポイントは、シャルキュトリーの原材料となる良質の豚肉と、食肉加工技術経験者を探すことでした。様々な国産銘柄の豚肉で試作を繰り返し、たどり着いた豚が茨城県産の銘柄豚「あじわいポーク」でした。 生産者の農場と、食肉センターを製造スタッフ全員で見学し厳選した豚です。そして、長年加工肉会社で働いてきた加藤豊さんとの出会いがありました。 食肉を扱うシャルキュトリーの厨房は、当然のことながら完璧な衛生環境が求められます。機械設備も高額で投資金額はベーカリー開業の2倍近くかかりました。しかし自社経営のシャルキュトリーがあることで、より安心安全な食材を使うという付加価値を付けることができたのです。店舗の1階奥に食肉加工、2階では惣菜を作るキッチンを作りました。惣菜は料理研究家の斎藤かすみ氏の指導でメニューを考案し、作りたてのおいしさが味わえる品々です。 箕輪社長はパンのおいしい食べ方を提案できるシャルキュトリーに意欲を燃やしています。 ※シャルキュトリー=フランス語で、ハム・ウインナー・パテ・テリーヌなど主に豚肉の加工食品の総称で、それらを販売する店も表す。 本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。 |




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