小さな売り場に、強い思い - オリーブクラウン - ブランスリー電子版


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お店拝見/2014年10月号

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小さな売り場に、強い思い - オリーブクラウン
カラーボックスにパンを陳列。上面には、「パンドミ」(税抜250円)など食パン類や「バゲット」(税抜270円)など大型のパンが並ぶ
オリーブの木がシンボルツリーとなっている「オリーブクラウン」
ハード系と菓子パンが同居して陳列された ボックスもある
店長の長岡亜希子さん(中央)。娘の桜羅(さら)さん(左)は高校生で、夏休み期間は友人(右)と一緒に販売を担当している
2坪の売り場に工夫を凝らす
 神奈川県川崎市のJR南武線・武蔵新城駅の駅前商店街から、1本路地に入ったところに、売り場面積わずか2坪の小さなベーカリーがある。店長の長岡亜希子さんが1人でパンを焼く「オリーブクラウン」だ。開業して約1年半が経つ。
 パンは、4段のカラーボックスに陳列されている。1種類だけが並ぶボックスもあれば、3~4種類ほどのハード系と菓子パンの組み合わせが並ぶボックスもある。それぞれ異なる表情を持っていて、見た目にも楽しく、ボックスごとにじっと見入ってしまいそうだ。
 マスタードやオリーブオイルなど、パンに合う瓶詰めの食材や、自家製の「グラノラ」(100グラム税抜340円)は、壁に取り付けてある奥行8センチほどのコンパクトな棚に並ぶ。小さなスペースでも、工夫を凝らすことで、幅広い種類のアイテムの陳列を可能にしている。
 さらに、限られたスペースを無駄にしない工夫として、レジスターを設置していない。
「かなり場所を取ることになってしまうので、レジスターは置いていないんです。代わりに、タブレット端末を使っています。レジとほぼ同様のことができる無料のアプリがあるんですよ」(長岡さん)
 タブレット端末の画面を見ると、各商品の名前と価格が、カテゴリーごとに整理された形で表示されている。精算の際、商品を画面から探してタッチし、合計金額を出す。商品価格を覚える手間も要らない。
 一方、厨房は7坪確保した。2坪の売り場に対し、比較的広いと言える。
 「ずっと製造でやってきましたから、どうしても製造びいきになってしまうのでしょうね」(長岡さん)
 厨房で作業をしながら、笑顔で話す長岡さんの姿からも、この広さに満足していることが伺える。伸び伸びと、ストレスを感じることなく製造できる環境作りは重要なようだ。

自分がおいしいと思ったものを広めたい
 取材した8月、季節限定商品として並んでいたのは、粒で入っているトウモロコシの甘味が引き立つ「とうもろこしと米粉のバンズ」(税抜230円)と、フランスパン生地で枝豆、コチュジャン、ゴマ、チーズを包んだ「えだまめスティック」(税抜230円)。
 トウモロコシと枝豆は、新潟県の農家からの直送品で、昨年の夏も、これらを使ってパンを焼いた。
 「新潟にある夫の実家で、枝豆とトウモロコシを食べたとき、そのおいしさにとても感動したんです。東京で生まれ育った私にとって、それまで出合うことのないおいしさでした。この地域の皆さんにも、ぜひこのおいしさを味わっていただきたいという思いで、毎年作るようにしています」(長岡さん)
 トウモロコシと枝豆の下処理は手間がかかる。
 「段ボール箱にどっさり入って届くとき、作業のことを考えて、一瞬くじけそうになります。でも、農家の方とお客様のことを思うと、頑張る気力が沸いてきますね」(長岡さん)
 このほかにも、サンドイッチに使うタマネギやニンジンなどの野菜を、長野県の八ヶ岳にある岩岡農場から取り寄せている。同農場では、有機、無農薬で野菜を栽培している。
 「タマネギはスライスすると、すごくシャキシャキして、生でも甘味がありますし、ニンジンも味が濃いですね。農家さんとは、フェイスブックが縁で知り合ったのですが、実際に自宅で調理して食べてみたらおいしくて。自分でおいしいと思ったものや、これだと思ったものは、できるだけ多くの人にお勧めしたいと思う性格なんです」(長岡さん)



新潟県の農家から直送のトウモロコシを使用した「とうもろこしの米粉ぱん」(税抜230円)。サンドイッチのパンとしても利用
新潟県の農家から直送の枝豆を使用した「えだまめスティック」(税抜230円)
毎週火曜日の「オープンサンドセレクトの日」に提供している人気のサンドイッチ。8月のみ毎日提供。パンと具材は豊富に揃う中から選び、自分好みのサンドイッチをオーダーできる
ショーケースには、「自家製ピクルス」(税抜280円)、「ラタトゥイユ」(税抜300円)などのデリが並ぶ
黒糖チョコとくるみ入りの「黒糖くるみのカンパーニュ」(税抜250円)。ほのかな酸味と甘味、香ばしいナッツの食感にはまる人が多い
人気の「グラノラ」の材料は、オーガニックのオーツ麦やナッツ、クランベリーなど。ザクザクとした歯応えと、控えめな甘さが特長
客の要望にぴったり合ったサンドイッチを提供
 タマネギとニンジンがふんだんに使われたサンドイッチは、同店オリジナルの人気商品。サンドイッチは、オーダーを受けてから作る。これを「オープンサンドセレクトの日」と名付けて、毎週火曜日限定で提供している。8月の1カ月間のみ、毎日提供した。
 パンは、「プチバタール」(税抜150円)、「レトロバゲット」(税抜280円)、「パンドミ」(税抜250円)など約12種類の中から1種類を選ぶことができる。
 さらに、バターとマヨネーズはそれぞれ塗るか塗らないか、フレンチマスタードと粒マスタードは、どちらを塗るかを選択。そして具材は、オニオンスライスかキャロットラぺ、ハムかたまごをそれぞれ選ぶ。以上が基本セットで税抜400円。さらに、税抜で50円を追加すると、自家製ピクルスやタプナード、旬の野菜などから1つ、税抜で100円を追加すると、アボカドディップや蒸し鶏などから1つ、税抜で200円を追加すると、スモークサーモンやチリビーンズなどから1つトッピングできる。
 「お客様のご要望をすべて受けましょう、という思いで作っています。できあがるまで多少時間がかかってしまいますが、ご来店時の、その時の気分にぴったり合ったサンドイッチを提供したいんです。また、具材は気まぐれで、特別メニューもお出ししています」(長岡さん)
 サンドイッチの具として使う惣菜、デリは、ショーケースに並べて販売もしている。
 「自家製ピクルス」(税抜280円)、「チリビーンズ」(税抜300円)、「ラタトゥイユ」(税抜300円)の3種類だ。
 「食欲不振になりがちな夏期は、パン以外にも、おいしく食べられる何かを作りたいという気持ちで、昨年の夏から始めました。レシピは、飲食店に勤務していた友人から教えてもらったんです。友人が振る舞ってくれる料理はいつも、ワンランク上のおいしさなので」(長岡さん)
 今年の春からは、自家製の「グラノラ」の販売を始めた。
 「主な材料は、オーガニックのオーツ麦、アーモンドなどのナッツ、クランベリーなどで、そのほとんどが、普段パン作りで使っている材料です。食物繊維が豊富なので、整腸作用がありますし、ザクザクとした噛み応えが、満腹感を得やすいと思います。ハチミツで甘味を付けてあるので、牛乳を入れると、程よい甘さとなりますし、そのままでも、おつまみ感覚でおいしく召し上がっていただけます。特に、健康志向の高いお客様に好評です」(長岡さん)
 2坪という小さな売り場には、客の健康を気遣い、また、客の要望を叶えようとする長岡さんの強い思いが表れている。

SHOP DATA
店名:オリーブクラウン
住所:〒211-0045神奈川県川崎市中原区上新城2‐7‐19ダイアパレス116
電話:044‐740‐9655
営業時間:午前11時~午後7時30分(8月のみ午後2時~午後4時30分まで中休み)
定休日:不定休
品揃え:40~50品目
スタッフ:製造1人、販売1人
店舗面積:厨房9坪、売り場2坪
月商:約100万円







原価計算女王
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