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お店拝見/2014年4月号 |
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素材の使い手が編み出すパンの魔法 - ブレッドプラントオズ | |
「乳酸菌技術」が生み出す小麦の旨味
「魔法のようなパンを作る」と評判の職人がいる。「パンマニア」の間でも「どのパンを食べてもおいしくはずれがない」と評判のその店は東京・目黒区の駒沢通り沿いで、都内でも有数の高級住宅街が広がる中にあるベーカリー「ブレッドプラントオズ」だ。 2013年3月16日にこの店をオープンしたのは、本格的なフランスパンで有名なメゾンカイザー出身で、鎌倉の老舗ベーカリー、葉山ボンジュールでの修業経験もあり、パン職人歴17年の店長、大島剛志さん。大島さんの「魔法」が生み出したパンは、この店で1番人気のクロワッサンと、高い技術力を感じさせるバゲットから始まり、パンドミなどの食パンや、菓子パン、ドーナツまで広がる。 「魔法」の最大の秘密はメゾンカイザー時代に身につけた「乳酸菌技術」にあるようだ。「当店のパンは、ライ麦粉から種を起こし乳酸菌が活発に働く温度帯で発酵させたルヴァンリキッドと、ルヴァンリキッドとサワー種を掛け合わせた独自の固形酵母(種)の、2種類の自家製酵母(種)を使用しています。これらを使うことで小麦の持つ本来の旨味が時間が経つごとに引き出されるようになるのです」(大島さん) 「クロワッサン」(190円)に次ぐ人気で看板商品の「バゲットOZ」(300円)は、歯切れの良い軽やかな食感のクラストとしっとりやわらかいクラムが小麦の深い味わいを醸し出す。全粒粉、ライ麦粉、フランスパン専用粉のリスドォル、メゾンカイザーが製粉会社と共に独自に開発した「メゾンカイザートラディショナル」の4種の粉をブレンドし、20時間の低温長時間発酵をして焼成する、長年の研究と勉強の成果が凝縮された製品だ。 実は味の秘密は魔法などといった非科学的なものではない。大島さんが長い職人経験の中で身につけ、探し求め、緻密に理論を組み立て計算した科学が生み出したものだった。 メゾンカイザーと成長を共にする おいしいクロワッサンを焼きたくてパン職人になったという大島さんだが、もともとは実業団でラグビーの選手をしていた。しかし怪我がもとで続けることができなくなり、何か他に自分にできることはないかと探していたところ、縁あって飛び込みで葉山ボンジュールに就職することに。伝統的な職人集団の世界でかなり厳しかったそうだが、性に合ったのか、ここで職人として必要な様々なことを学んだ。5年たち少し違う世界をみようと考えていた頃、ブーランジェリーエリックカイザージャポンの木村周一郎社長と運命的な出会いを果たす。 当時は木村社長が日本法人を立ち上げて間もない頃で、日本でのメゾンカイザーは成長途上だったが、木村社長の人柄に魅かれ、その下で働くことに。11年間在籍し、メゾンカイザーと成長を共にした。マネージングシェフとして技術指導なども行なっていたが、2012年頃から、木村社長の勧めもあって独立を考えることとなる。独立にあたり、メゾンカイザー出身の職人として誇れるような店鋪を出したいと思ったが、店名からはあえて「ブーランジェリー」という言葉を外した。 「メゾンカイザーは『ブーランジェリー』としてフランスのパンの枠をしっかり守っています。でも自分は独立するにあたり、メゾンカイザーで得た技術を活かしながら、さらにその枠にとらわれず、独自のものを作っていきたいと思いました」(大島さん) 「永遠の師弟関係」にあるという木村社長の支援も受け、物件探しなどの準備を進め、住民の食に対する意識が高く、職人としての腕が思う存分発揮できると考えたこの地に店鋪をオープン。予算内で見つけた物件は意外に広く、すっきりと四角い形をしていたため、カフェのスペースも大きく広げ、モーニングやランチのメニューも充実させた。 |




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