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講習会/2014年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

財団法人日本食生活文化財団の森田俊介副理事長の開会の挨拶 1980年に設立された日本食生活文化財団は、文化庁所管の唯一の食に関わる財団法人として、全国の食生活文化に携わる方々の社会的・文化的地位の向上を期し、その技術の伝承と後進の指導・育成に努めてきました。また、同時に日本の伝統的食文化の調査研究の成果を普及させることにより、その継承・発展に努めることを目的として事業展開をしております。
樋口氏は長年における国内外での活躍と製菓製パン業界における優れた技術力が評価され、2013年11月8日に行われた平成25年度食生活文化賞の銀賞を受賞されました。講師から多くのことを学び、現場に生かして頂きたいと思います。 |

デニッシュ・ペストリー | |
北欧タイプのデニッシュ・ペストリー。発酵生地にバターをたっぷり折り込んだ贅沢な菓子パン。「カイングラ」「テビクス」「スパンダワー」の3つの代表的な成形方法で、様々な製品を紹介した。
【配合グラム】 強力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥2000 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥180 食塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40 カルダモン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2 マーガリン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80 卵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥480 生イースト‥‥‥‥‥‥‥‥140 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥740 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥L2分M1分30秒~3分 捏ね上げ温度‥‥‥‥10~13度C 冷凍‥‥‥‥マイナス20度C20分 折り込み‥‥‥‥‥‥3つ折り2回、冷凍庫で10分休ませ3つ折り1回 折り込み油脂‥‥‥‥‥‥‥ロールイン用バター対生地1800グラム 成形‥‥‥‥‥‥‥‥‥「カイングラ」は、折り込みが終わった生地を厚さ2ミリ、幅12センチ、長さ95センチにのばし、▼カスタードクリーム▼アーモンドフィリング▼バターフィリングの順番で絞り、その上に▼レーズンミックスを置く。筒状に生地をロールし、軽く平らにして左右に引っ張ってのばしプレッツエル形に編む。「テビクス」は、生地を厚さ2ミリ、幅20センチ、長さ30センチにのばし▼バターフィリングを塗り3つ折りにする。「スパンダワー」は、2ミリ厚の生地を8センチ×8センチの正方形にカットし▼バターフィリング▼アーモンドフィリングを絞り、四隅を折り込む ホイロ‥‥‥‥‥‥30度C75%40分(ホイロ後、「カイングラ」は、表面にスライスアーモンドをまぶしグラニュー糖をかける=写真1、「テビクス」は、表面に卵を塗りケシの実を付ける=写真2、。「スパンダワー」は、表面をしっかり押さえ▼ カスタードクリームを絞りスライスアーモンドをトッピング=写真3) 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火210度C下火180度C15~25分 仕上げ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥「スパンダワー」は、フォンダンで飾る ▼カスタードクリーム 【材料グラム】 牛乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1000 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥250 卵黄‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥180 薄力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥50 コーンスターチ‥‥‥‥‥‥‥‥50 バニラエッセンス‥‥‥‥‥‥‥少々 【作り方】 ①鍋に薄力粉とコーンスターチを篩って入れる ②(1)にグラニュー糖と卵黄を混ぜ入れる ③ (2)に沸かした牛乳を数回に分けて入れ、バニラエッセンスを加え、火にかけ焦げないように混ぜながら火を入れる ▼アーモンドフィリング 【材料グラム】 ローマジパン‥‥‥‥‥‥‥400 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥250 マーガリン‥‥‥‥‥‥‥‥550 アーモンドオイル‥‥‥‥‥‥適量 【作り方】 全材料を混ぜ合わせる ▼バターフィリング 【材料グラム】 マーガリン‥‥‥‥‥‥‥‥250 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥125 薄力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥125 レモンオイル‥‥‥‥‥‥‥‥適量 【作り方】 全材料を混ぜ合わせる ▼レーズンミックス 【材料グラム】 レーズン‥‥‥‥‥‥‥‥‥500 カルダモン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1 オレンジピール‥‥‥‥‥‥100 【作り方】 全材料を混ぜ合わせる 樋口氏のコメント 折り込みバターが多いので、消化を助けるスパイスのカルダモンを使う。デンマークのマルグレーテ王女に気に入ってもらったというオリジナル配合を紹介。 |

パン・ド・ミ | |
ストレート法で作るフランス風食パン。内相は白くきめ細かい。トーストやサンドイッチ、クロックムッシュに適している。
【配合グラム】 強力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥3000 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥30 食塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥60 バター‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥150 モルトエキス‥‥‥‥‥‥‥‥‥9 ビタミンC(15ppm)‥‥4・5 ドライイースト‥‥‥‥‥‥‥‥30 卵白‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥4 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1800 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥L3分M1分(バター投入)L1分M2分H4分 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥‥28度C 発酵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30度C70%1時間30分(パンチ)1時間 分割‥‥‥‥‥‥‥‥420グラム ベンチタイム‥‥‥‥‥‥15~20分 成形‥‥‥‥‥‥丸めて型に入れる ホイロ‥‥‥‥‥‥‥36~38度C75%40~45分(窯入れ前にクープを入れ、有塩バターをのせる=写真4) 焼成‥‥‥‥‥上火210度C下火250度C35~38分(スチーム注入) 樋口氏のコメント かつてオードリー・ヘップバーンがひいきにしていたパリにある「カフェ・ド・ラ・ペ」のサロンで出されるクロック・ムシュは、パン・ド・ミを使っている。配合に卵白を使うのは、歯切れをよくするため。ドライイーストは、35~36度Cの湯煎で13~15分予備発酵して使う。 |

スィート キューブ | |
ベーカリーで気軽に作れるイースト菓子のひとつ。プレーン生地と、プレーン生地にイチジクとマカダミアナッツを混ぜた2種類。
【配合グラム】 強力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥2000 グラニュー糖‥‥‥‥‥‥360 ワッフルシュガー‥‥‥‥360 天塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20 生イースト‥‥‥‥‥‥‥‥100 牛乳‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥720 卵黄‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥320 バター‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥500 【前処理】 ①配合の牛乳から400グラムを取り38度Cに温める ②(1)の牛乳に生イーストを加え溶かし、配合の強力粉から300グラムとグラニュー糖から30グラムをしっかり混ぜ合わせる ③(2)を室温で約15分発酵 【工程】 ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥L1分M1分(バター投入)L2分M3分(ワッフルシュガー投入) 捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥‥25度C ベンチタイム‥‥‥‥‥‥‥‥20分 大分割‥‥‥‥‥‥‥‥半分にカットし、半分は丸めて休ませ、もう半分には、いちじくダイス200グラムとマカダミアナッツ100グラム、キルシュ酒10グラムを混ぜ込む 成形‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥①天板にそれぞれの生地を広げ全体にのばし(写真5)、冷蔵庫で20分休ませ表面にラップをかけて、さらに40分置く②冷蔵庫から生地を取りだし5センチ×5センチにカットして、窯入れの前に表面に卵を塗る 焼成‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上火200度C下火180度C13分 樋口氏のコメント 基本生地にカボチャのパウダーを使って、季節感のある商品も簡単にできる。窯が空いている時間に焼き貯め、小袋に入れギフト向けの商品にもできる。また商品が少なくなってきた時、すぐに作ることができ日持ちもするので便利。 |
タルト・オ・フロマージュ | |
5種類のチーズを、贅沢に使ったタルト。サクサクした生地と様々な味のチーズが楽しめる。
薄力粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥450 バター‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥180 卵(Mサイズ)‥‥‥‥‥‥‥1個 水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥45 【作り方】 ①冷蔵庫で冷やしておいた薄力粉に、バターをスケッパーでカットしながら混ぜ合わせる ②(1)がサラサラの状態になったら、水と卵を合わせたものを加える ③全体に混ざりなじんできたら、ラップに包んで冷蔵庫で1時間以上休ませる 【アパレイユ配合グラム】(18センチの型3個と9センチの型3個分) カマンベール‥‥‥‥‥‥‥150 フルム・ダンベール‥‥‥‥240 マリボー‥‥‥‥‥‥‥‥‥150 コンテ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥120ミモレット‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥60 生クリーム(乳脂肪42%)‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥225 卵黄‥‥‥‥‥Mサイズの卵5個分 卵白‥‥‥‥‥Mサイズの卵5個分 【作り方】 ①カマンベール、フルム・ダンベール、マリボー、コンテ、モレットの5種類のチーズをサイコロ状にカットする ②(1)に、生クリームと卵黄を混ぜ合わせたものを加える ③卵白でメレンゲを作り、(2)に加え、さっくり混ぜる 【仕上げ】 ①冷蔵庫で休ませたパート・ア・キッシュを2ミリ厚に伸ばす ②タルトリングを天板の上に置き、(1)の生地をかぶせ型に敷く ③(2) にアパレイユを入れる(写真6) ④(3)を上火170度C下火220度Cで30~40分焼成する 樋口氏のコメント チーズはそのまま食べてもおいしく、パンやワインと一緒に食べてもおいしい魅力的な素材。あまり手をかけないで、チーズ本来のおいしさを楽しみたい。他の素材との組み合わせや、ひと工夫で簡単に作ることができるタルト。小さなサイズにして、アペリティフとして提供してもよい。 |
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講師のプロフィール 「小川軒」(東京・代官山)に勤務後、デンマークに渡り、「トリアノン」(コペンハーゲン王室御用達製菓製パン店)で修業。その後、仏パリの「メゾン・フェイユー」に勤務。帰国後「ロイヤルコペンハーゲンジャパン」「御殿山ヒルズホテルラフォーレ」などを経て、現在、西洋料理の店「明治の館」(栃木県日光市)で取締役工場長兼商品開発室長として活躍。また大阪あべの辻製菓専門学校、エコール・キュリネール国立で客員教授を務める。
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