記事の閲覧
<<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
お店拝見/2003年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
顧客が求めるうまいパン - 天然酵母パンの店 サンセリテ | |
埼玉県狭山市のサンセリテは、「顧客が求める
他のどの店よりうまいパン」を作ろうと、地道に励んできた。2代目の高田知明さんは、一つひとつの製品について顧客を頭に描きながら、試行錯誤を重ねてきた。「ただ待っているだけではだめだ」と、近くの工場や高校などへの外販にも力を入れている。 |

ゆったりとした店内。どこかレトロな感じがする | |
入店すると12坪ほどの店内の中央に平台が2つ配置されている。平台どうしの間隔が十分あってゆったりとした感じだ。
店舗正面のガラス張りの面には、3段の陳列棚。下の段から上の段にいくにしたがって、奥にさがっていく階段のような作りになっているので、商品が見やすい。 店内は横への広がりを強く感じさせ、実際の面積より、広く感じる。どこかレトロな感じがして、ほっとさせる雰囲気がある。 サンセリテは1978年創業で、社長の高田知明さんは、2代目。 中学生の頃から父や母が忙しく働く姿を見てきた。父親が職人とやり合う姿も見てきた。ベーカリー経営の大変さは十分にわかっていた。「大学在学中もベーカリーを手伝っていることの方が多かった」と高田さんは振り返る。 高田さんは大学卒業後、ルノートルで3年半修行を積んだ。25歳のとき、家業を継いだ。 フランスパン、ドイツパン、デニッシュ…。ルノートルでの経験から高田さんは「うまいものを出していれば必ず売れる」と思っていた。 サンセリテは、「モンブランデニッシュ」(製法を22ページに掲載)が130円、「クロワッサン」が90円、「シュトーレン」(製法を23ページに掲載)が800円などと、価格がかなりリーズナブルだ。 高田さんはいつしか「顧客が求める他のどの店よりうまいパンを作らないと売れない」と思うようになっていた。 |

パンへのこだわりは人一倍強い。ハード系は高い方が売れる? | |
パン作りへのこだわりは人一倍強い。例えば、シュトーレン。「数多くのシュトーレンを試食してみて、おいしいと思うものが1つだけありました。その味に改良を加えながら、毎年試行錯誤を重ねてできたのがウチのシュトーレンです」と高田さんは胸を張る。店頭に並べるのは焼き上げてから1週間たってからだ。そうしないと本来のおいしさが出ないのだそうだ。「シュトーレン独特のしっかりとした歯応えがあって、しかもみずみずしい」といった印象の製品に仕上がっている。価格は生地重量300グラムで、800円。北海道産小麦の粉やホシノ天然酵母を使う。
「カレーパン」(120円)も高田さんの自信作だ。しっかりとした歯応えの生地の中に、自家製のカレーフィリングが入っている。表面に付いたパン粉のぱりっとした食感が心地いい。同じくホシノ天然酵母と内麦を使用。 高田さんは最近の顧客の購買傾向について「昔は菓子パンなどは高いものの方が売れるという側面がありましたが、今は値頃感がないと売れません。一方で、ハード系のパンは、ある程度高い方が売れる傾向が出てきたと思います」と話す。 |

1時間で4万円の売り上げ。「ただ待っているだけではだめだ」
サンセリテは、近くの工場や高校などへの外販の割合が高い。店頭小売と外販の割合はおよそ6対4だという。
ある大手化粧品会社の工場には、サンセリテのパンの売り場がある。トレーもトングもある。昼には飛ぶようにパンが売れる。「昼休みの始まりを告げるチャイムと共に従業員がどっとなだれ込んできます。お昼休み1時間で4万円の売上があります」と高田さん。 夕方は、注文を受けたパンの配達に走り回る。大手化粧品会社の工場を含め、多くの配達先がある。 高田さんは「これからはただ待っているだけではだめだと思います。こちらから積極的に働きかけていかなくてはなりません。外販は投資も少なくてすみますからね」。 新たな可能性に挑戦する探求心も人一倍強い。地元産の川越芋から起こした酵母で「川越芋のパン」を開発。不定期だが、現在も販売しているという。 「川越芋を蒸かしてスライスしたものを乾燥させた状態から種を起こしたらうまくいきました」 薄くのばした菓子パン系の生地を中が空洞になるように焼き上げて、新しいソフトクリームのカップとして大手企業に売り込んだこともある。 |

デニッシュで作るモンブラン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
モンブランデニッシュ
バリバリとした食感の層のハッキリとしたデンマーク・デニッシュにマロンクリームをたっぷりと絞った製品。1つ130円。 【配合%】
【工程】
※大分割後、氷温庫で2時間以上休ませる。 ※ホイロ後、全卵を塗り、天津甘栗あんを入れる。 ※焼成後、上面に生クリームを絞る。さらに、マロンクリーム(マロンペーストとマロンクリームを1対1で合わせたもの)をモンブラン用口金で絞り、紛糖をかける。 ※バター5%または、デニッシュ2番生地を10%配合すると食べやすくなる。 |
これしか買わない熱心なファンも多い | ||||||||||||||||||||||||||||||||
北の大地の食パン
もちっとした食感がポイントの食パン。「これしか買わない熱心なファンも多い」(高田さん)という。1斤180円。 【配合%】
【工程】
※ホシノ丹沢酵母は、夏は6%、冬は8%配合する。 |
1週間エージングしてから販売 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シュトーレン
ある有名ベーカリーの配合に、手を加えて改良したシュトーレン。「味はどこにも負けません」と高田さんは自信をみせる。1週間エージングしてから販売している。1つ800円。 【中種配合グラム】
【中種工程】
【本捏ね配合グラム】
【本捏ね工程】
▼焦がしバター
▼バニラシュガー
|
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。