夕方以降の焼きたてパン - ブランスリー電子版


ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
特集/2013年7月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


夕方以降の焼きたてパン




夕方の焼きたてパンを「夕焼けパン」としてPR
店長の河内克利さん
焼き込み調理パンは午後4時以降も15種類ほど、焼きたてが揃う
サフラン柏の葉店
作り始めてから20分ほどで提供できる「じゃがべえ」(190円)
夕方以降も焼きたての惣菜パンを充実させる
 千葉県に6店舗のベーカリーと1店舗の菓子店を展開する「サフラン」(小川佳興社長)の、同県流山市にあるベーカリー「サフラン柏の葉店」は、70台の駐車場を完備する郊外型の人気店。5月の大型連休中、「黄金のメロンパン」(160円)がテレビ放映されたことも手伝って、さらなる賑わいをみせている。
平日の夕方4時、閉店時刻の4時間前だが、店内には、焼きたてのパンが続々と並べられていく。それら焼きたてのパンをト
レーにのせて会計を済ませ、サービスのコーヒーと一緒に購入したパンをイートイン席で楽しもうという客の姿も目立つ。
 店内の壁には、「16時頃に、焼きたてを。『夕焼けパン』」と書かれたポスターが掲示されている。
 「数年前、夕方の売り上げを強化しようということで、『夕焼けメロンパン』や『夕焼けロール』と名付けた商品を販売していました。遅い時間にパン屋に行っても、自分の欲しいパンがなかったり、品薄で選べなかったりというイメージを持たれている方が多いので、夕方限定のパンを販売することで、夕方でも焼きたてのパンがあるということをアピールしました」(販売担当山根弘嗣さん)
 こうした「夕焼けパン」の販促効果もあり、夕方以降でも楽しみに来店する客が定着していったのだろう。
 午後4時以降、厨房から運ばれてくる焼きたてのパンの中には、焼き込み調理パンなどの惣菜系のパンも多い。しかし、これらが売上げのピークを迎えるのは、夕方よりむしろ朝や昼時のはずだ。
 「夕方以降もよく売れるのは、食パンや甘い菓子パンですが、夕方以降も昼間と変わらないように充実した品揃えを目指しています。温かい調理パンが常にあるように、様子を見て昼間より少数ずつ、焼きたてを出していきます」(店長の河内克利さん)
 フランスパン生地に具をのせて焼き上げた「バジルトマト」(190円)や、食パン生地にじゃがいも、コーン、チーズなどをのせて焼き上げた「じゃがべえ」(190円)など、焼き込み調理パンは、20種類ほどある。夕方以降も、そのうちの15種類ほどは焼きたてを出すようにしている。



「天然酵母バゲット」(180円)に、パストラミとレタスをサンドした「天然酵母のバゲットサンド」(280円)
「チーズゴロックムッシュ」(140円)は、あとは焼成するだけ、という状態で冷蔵保存されている。そのため、7~8分焼成するだけで焼きたてが提供できる
閉店時刻が近くなると、客が買い物をしやすいよう、売り場は半分ほどに縮小し、商品をまとめて陳列する
短時間で焼きたてが出せるような段取り
夕方以降の焼きたてパンは、様子を見ながら少数ずつ出している。これは、ロスを出さないためにも大事なことだという。そのため、作り始めてから店頭に並べるまでを、いかに短時間で済ませるかが重要となってくる。
 フランスパン生地を使う「バジルトマト」は、作り始めてから20分で完成する商品。フランスパン生地は冷蔵庫から取り出し、適当な厚さにのばし、トマトなどの具材をのせて焼成する。この工程内では発酵は行わずに済むので、20分という短時間で仕上げることができる。「じゃがべえ」も「バジルトマト」と同様に、食パン生地に具をトッピングして焼成するまで20分ほどだ。この2つの製品は焼き込み調理パンの中でも人気の高いもので、「バジルトマト」は特に女性に人気があるという。
さらに、作り始めてから7~8分、焼成するだけで出せる製品もある。ほうれん草やチーズ、ベーコン、きのこなどの具がのったタルティーヌ風の惣菜パン「チーズゴロックムッシュ」(140円)だ。
 作り方はこうだ。同店の石窯で焼成した、全粒粉を25%配合したハード系のパン「田舎パン」(360円)を3センチほどの厚さにスライスし、その上に具材をすべてトッピングし、オーブンで焼き上げる。
すべての工程を通して行った場合、かなりの時間を要してしまうことになるが、具材をトッピングした段階で冷蔵庫に保存し、あとは焼成するだけという状態にしておくことで、7~8分で提供することができるのだ。
同製品は、夕方以降だけでなく、朝開店してすぐの慌ただしい時間帯にも、焼きたてをすぐに提供できる商品として活用されている。
このほか、夕方以降でもすぐに作りたてを提供できる惣菜系のパンとしては、サンドイッチがある。
石窯で焼いた「天然酵母バゲット」(180円)に、パストラミとレタスをサンドした「天然酵母のバゲットサンド」(280円)だ。
 「まな板を使わなくても作ることができるよう、具をバゲットに挟むだけで完成するようにセッティングしているんです。夕方は、厨房の片付けも始めていかないといけないので、こうした製品があると助かりますね」(山根さん)

閉店時刻が近くなると、販売に集中する
 店内の厨房と売り場を隔てる窓ガラスに、「サフラン柏の葉店夕市開催 全日19時より 対象商品全品20%オフ」という張り紙が、さりげなく掲示されている。閉店する1時間前から開催されるセールの告知だ。
最終の窯入れ時刻は、午後5時から6時の間。そのため、7時から8時までは、集中して販売を行っていく時間となる。
 「遅く来店していただいても十分な品揃えがあるように、6時頃まではどんどん焼いていきますが、それらがロスにならないように、最後は集中して販売していきます。いつもより多めに残っていたら、試食用に回していきます。試食していただいて、次回来店していただいたときに、その商品を買っていただければという考えで行っています」(山根さん)
 閉店時刻が近付いてくると、陳列スペースを半分ほどに縮小する。入り口から近い方のスペースに、すべての商品をまとめ、客があちこち見て回らずに済むようにするためだ。ショーケースは、ドリンク用以外に、入り口寄りにあるサンドイッチ用と、奥にあるデザート用と2台あるが、閉店時刻が近くなると、入り口寄りの方にデザートもまとめて陳列する。夕方以降も買い物がしやすい店にするため、売り場の使い方も変えているのだ。

サフラン柏の葉店
住所:千葉県流山市青田93‐1
電話:04‐7156‐7101
営業時間:午前6時半~午後8時
定休日:第2、第4木曜
品揃え:230~300品目
スタッフ:製造7~8人(平日)、11~12人(土日)、販売5~6人(平日)、8~9人(土日)
店舗面積:厨房約35坪、売り場約35坪
日商:平日60万円、土日120万円



閉店時まで焼きたてのクロワッサンが買える店
午後3時には、午後7時に焼成予定のクロワッサンの成形が行われていた
右は看板商品の「クロワッサン」(210円)。同じ生地で作る「パン オ ショコラ」(240円、左)も人気で、1日数回に分けて焼成し、焼きたてを提供するようにしている
フランス国旗と青色の外壁が目印の「レ・サンク・サンス」
店長の本地昌谷さん
午後7時から9時までが第2の来店ピーク
 東京・世田谷区の東急田園都市線・三軒茶屋駅から世田谷通り沿いに7分ほど歩くと見えてくる小さなフランス国旗。このフランス国旗と紺色に近い青色の外観が目印の、ブーランジェリーパティスリーの「レ・サンク・サンス」は、フランスの伝統的製法を基軸に、パンと菓子を作る店だ。
 同店が開店する時刻は朝8時。それから長い1日が始まって、13時間後の夜の9時に閉店する。
 「ピークはやはり昼時です。最も多いのが主婦の方で、あとは近隣のオフィスで働く会社員の方なども目立ちます。また、ピークは昼だけでなく、夕方以降にもあります。7時から閉店する9時までの間ですが、会社帰りの方が多くいらっしゃいます」(店長の本地昌谷さん)
 最寄駅の三軒茶屋駅は、渋谷駅から電車で4分と近い。しかし古くから東京の下町として栄えてきたこともあり、小さな商店や住宅が多く立ち並び、住みやすい町として知られている。駅周辺には、24時間営業のスーパーが数軒あることからも、夕方以降の人の流れが多いことがわかる。
 夜、仕事を終えて家に帰る人々が、つい立ち寄りたくなる同店の魅力の1つとも言えるのは、「クロワッサン」(210円)が、焼きたての状態で買えることだろう。
 「クロワッサン」は、平日は40個、土日は80個を売り上げる同店の看板商品だ。
 「7時以降も『クロワッサン』を目当てに来られる方は多くいらっしゃいます。売り切れていると分かると、出て行かれてしまうこともありますので。また、『クロワッサン』を買われる方は、バゲットやお菓子なども一緒に購入されることが多いです」(本地さん)
 「クロワッサン」の最終窯入れは、午後7時。窯入れ前に発酵をとる必要があるので、7時に焼き上げるために、午後3~4時に何個焼くかを判断しなければならない。
 「その日の売れ行きを見ながら判断するしかないですが、『クロワッサン』は当店の看板商品ですから、ある程度強気で出すようにしています。売れ残ってもいいというくらいに数を設定して、閉店するまで陳列しているようにしています」(本地さん)
 売れ残った「クロワッサン」は、ピスタチオの緑色が目を引くクロワッサンザマンドの「ピスターシュザマンド」(380円)にしたり、ラスクなどに2次加工したりする。そのまま廃棄することはない。
 「クロワッサン」の生地を使って作る「パン オ ショコラ」(240円)と「クロワッサンソーセージ」(290円)も1日に数回焼き上げ、焼きたてを重視して提供している製品。
 焼き上がったばかりの「パン オ ショコラ」のプライスカードには、「焼きたて」と書かれた赤い札が付けられていた。これら2製品の製造作業は、「クロワッサン」を作る工程の中に無理なく組み込めるという。



左から2つめの「サンドイッチアルザシアン」(380円)は、夕方以降も焼きたてで並ぶ製品
「サンドイッチアルザシアン」の断面。粗挽きソーセージ、ジャガイモ、酢漬けキャベツをサンド。焼きたてはチーズがとろけてよりおいしい
「マカロンショコラ」(180円)や「フラン」(250円)などの菓子類が並ぶショーケース。昼時はサンドイッチが並ぶ
売り場の両サイドに菓子類、正面にパンが陳列されている。トングやトレーの用意はなく、菓子類、パンともに対面販売
焼き込み調理系のパンや、菓子類の充実を図る
 「クロワッサン」のほかにも、夕方以降焼きたてを重視して提供している製品として、「サンドイッチアルザシアン」(380円)などの焼き込み調理パンがある。
 「サンドイッチアルザシアン」は、ゴマやケシの実、オーツ麦、亜麻仁などを練り込んだパン「プチセレアル」(140円)の生地を使って作るドッグパンに、キャベツの酢漬け、ジャガイモ、粗挽きソーセージをサンドし、チーズやマスタードをトッピングして焼き上げた製品。温かい状態だと、とろけたチーズと、ソーセージやパンが一体となって、よりおいしく食べられる。
 「昼どきは『バゲットカンパーニュ』(300円)を使ったサンドイッチを4種類出しているのですが、作りたてがおいしいので、午後2~3時頃には売り切るようにしています。夕方以降は、バゲットサンドは作らず、その代わりに、『サンドイッチアルザシアン』のような焼き込み調理系のパンを、少数ずつ焼いて、夕方でも、焼きたてを買っていただけるようにしています」(本地さん)
 「サンドイッチアルザシアン」に使うドッグパンは、冷蔵保存していつでも取り出して使えるように準備している。朝、「プチセレアル」を焼くときに一緒にまとめて焼いておいたものを、冷蔵庫にストックしておくのだ。作るときには、冷蔵庫からドッグパンを取りだし、切り込みを入れ、具材をサンドして4~5分焼成する。作り始めてから出来上がるまで10分もかからない製品だ。
 ピザ生地にトマトソースとハーブ類をトッピングして焼き上げた「うす焼きプロヴァンスピザ」(310円)も、作り始めてから短時間で出せる製品だ。ピザ生地は薄くのばすので、焼成時間も短くで済む。酒に合うので、夕方以降の売れ行きも良い。
 菓子類もよく売れるという。ブーランジェリーパティスリーの同店では、フランス菓子も充実している。フランスブルターニュ地方の伝統菓子「ファブルトン」(200円)のほか、「フラン」(250円)などのタルト2種類、「マカロンショコラ」(180円)などのマカロン5種類などをラインナップ。さらに、「サブレナチュール」(500円)などの焼き菓子もある。
 「閉店間際に来店されて、サブレを買っていかれる方もいらっしゃいます。あとは、パンと一緒に、食後のデザートとして菓子を買われる方も多いと思います」(本地さん)
 菓子類の製造は、夜7時に最後の「クロワッサン」を焼成した後、その余熱を利用して主に行っている。160~180度Cに温度が落ちた頃、サブレやマカロンなどを焼き、さらに120度Cくらいに落ちたら、ラスクを焼成する。また、菓子類は日持ちがするので、パンが品薄になったときにも店頭に何もなくなってしまうという事態にならずに済む。このように、菓子類の存在も、営業時間の長い同店にとって欠かせないが、看板商品の「クロワッサン」の焼きたてが、夕方以降も手に入るということこそ、同店の最大の魅力となっているといえるだろう。

レ・サンク・サンス
住所:東京都世田谷区若林1‐7‐1 プチピエール三軒茶屋1F
電話:03‐6450‐7935
営業時間:午前8時~午後9時
定休日:なし
品揃え:60~70品目
スタッフ:製造3人、販売1~2人
店舗面積:厨房10坪、売り場6坪
日商:平日9万円、土日16万円

原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. 業務用冷凍パン通販サイトをオープン - パンフォーユー
  2. 美味しさと計画生産 - ツジ・キカイの山根証社長
  3. 直営店事業にも注力 - ダイユーの星野社長と吉田専務
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら