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シリーズ 小さなパン屋さん/2012年12月号 |
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く、焼きたてパンの提供は難しいと考えられているが、アプリコットでは難なくクリアしているという。そのポイントは売場のサイズにある。同店が1日に店に出すパンは約30種類。1アイテムの個数を12個程度にしぼることで、売り切ってはすぐに次に焼きあがったパンを並べる。そのサイクルを確立している。 「店全体が見渡せるサイズなので、作業しながら常に売場のパンの動きが観察できるんです。売れ行きが遅いとわかった品はどんどん入れ替えていきます。そうしている内に、午前中に焼くべきもの、昼、午後に出すべきものがわかり、客足に適した流れも掴めました」。客は地元の顔見知りが多いため、来店者とは話し込むことが多い。それが作業の手が止まる理由になってもいるが、客足やメニュー構成などをその場で掴むポイントにもなっているのだ。小ぶりな店舗を長所として生かしているのだ。 一方で、課題もある。現在、毎日ほぼ売り切って閉店しているが、売り切れのため客を手ぶらで帰してしまうこともある。遠方から来てくれる客も増えており、店としては順調だが、「アプリコットのパンが食べたい」と来店する人の期待に応え切れないのは、残念である気持ちが強い。 「地域の皆さんに支えられてやっているお店だから、できるだけその期待に応えたいんですよね」と後閑さん。会社員の出勤後開店し、帰宅前に閉店する現在の営業時間では、当然会社員の需要は取り込めない。 そういった経緯も背景に、注文製のテイクアウトサービスにも力を入れている。現在はピザの注文を受付中だ。「売上も、もっと伸ばしていきたいですし」と今後の展開に思考を重ねている。 また、月6~7回のペースで開催されるパン教室との並行営業について、後閑さんは、「パン教室は確かに集客や固定客を掴むきっかけになっています。でも一方で、パン教室より味を落とすことはできないんですよ。だから、原材料については、妥協できません。そこは販売価格との兼ね合いで、工夫が必要です」と話す。しかし、そこを後閑さんは店の特長とも考える。「おいしくて食べ飽きない、家庭料理のような温かな食事をしてほしい。それがうちのコンセプトです。いいパンをつくることで、結局はお客様が喜んでくれるんですよね」。 同店では、パンと焼き菓子以外に後閑さんお気に入りのジャムや食用オイルも販売している。オイルの特性や扱い方、料理での使い方なども気軽に教えてくれる。元気で明るく、パンや食事の知識も豊富な後閑さん。「あのお店に行くと、楽しい話や食事についていい話が聞ける」。そんなところも、この小さなパン工房の魅力になっている。 店名:小さなパン工房 apricot 住所:横浜市鶴見区矢向4-1-13 電話:045-718-5906 営業時間:午前10時~午後6時 定休日:日曜、月曜、火曜(臨時休業有り) 品揃え:パン30品目、菓子5品目 店舗面積:売場2・5坪、厨房3・5坪 スタッフ:製造1人、販売6人(1日2交代) 日商:平日3万5000円、日曜、祝日5万円 |


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