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レポート/2012年11月号 |
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東京スカイツリーにちなんだパン
今年5月、東京スカイツリーが開業し、東京の新名所が誕生した。東京スカイツリー内の商業施設、東京ソラマチや、近隣の商業施設では、スカイツリーにちなんだ「ご当地限定商品」のリリースが盛んだ。その中にはパンや菓子の商品も多数あり、多くのヒット商品が誕生している。
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東京ソラマチ2階で、同施設開業と同時にグランドオープンした「ポンパドウル東京スカイツリータウン・ソラマチ店」。同店は、「634(MUSASHI)あんぱん」と「東京スカイツリータウンバゲット」の2つの限定品を製造販売している。
「634あんぱん」は、スカイツリーが建つ下町の墨田区で愛されてきたあんパンに、スカイツリーに象徴される新しさを加えて開発した商品。名前はスカイツリーの高さ634メートルにちなんでいる。同商品は、「あんバター」や「塩こしあん」のほか、フィリングを変えることで、「メロンパン」「カレーパン」「ジャムバター」「栗」「カスタードクリーム」の商品名でバラエティー化が図られている。いずれも1個150円。直径約8センチの小ぶりサイズで、昔ながらの味わいを残しながら、新しさも加えられている。 「一番の人気は『あんバター』です。ダントツの人気で、休日は80個以上出ますし、平日でも平均50個程度売れています」とマネージャーの坪井康浩さん。「634あんぱん」はスカイツリーの主要客層である40代~60代のミドルからシニアの心を掴んでいる。「当店のコア世代とも重なるため、得意分野です」(坪井さん)。また、酒種仕込みのポピュラーなパンであることも特徴だ。「当店の通常のあんぱんは、フランスパンに近い生地を使った独自の製品です。当店のファンの方にとっても、まさにスカイツリーだけのオリジナル商品という特色があります」と坪井さんは語る。 もう一つは「東京スカイツリータウンバゲット」(1050円)だ。こちらはスカイツリーをかたどった約634ミリのフルーツバゲット。レーズン、クランベリー、クルミ、オレンジスライスを練りこんだ生地 を、フランスパン生地で包み込んで焼き上げている。1回8本限定で、1日約4回、朝10時半から2~3時間おきに焼成している。「開店当初は行列ができていました。外見が目をひき、面白がられていたようです」と坪井さん。 2品とも、お土産品として専用の袋や箱も開発した。あんぱんの箱は5個入りのため、「5つ買うと専用の箱が付きます」という声掛けも売上増に一役買っているという。スカイツリーが大きくプリントされたバゲットの袋も好評だ。 東京ソラマチには4店のベーカリーがあるが、他店との差別化について坪井さんは「お土産ではなく、その場で食べるために購入するお客様が多いのも特徴なので、小ぶりのあんぱんは成功でした。また、『カップde』シリーズという車のドリンクホルダーに入るサイズのカップ入りのパンセットも売れています。思わぬ需要でしたし、近隣の花火大会の日には『カップde』シリーズの製品が1日300個程売れました」と話す。 さらに、「工房を併設し粉から手作りしているのは当店だけです。観光地ですがリピーターも増えつつあるので、地元の日常用のベーカリーとしても根をはっていくつもりです」。 土産需要だけでなく、観光地での飲食用としても利用される限定品。製品のポテンシャルを引き出すべく、今後も製品開発に加え、売場作りなども工夫していく計画だ。 【ご当地限定商品のPOINT】 ■ご当地カラーにオリジナリティーを加える ■土産物以外の需要に対応できる商品だと、売上の底上げが可能 |

下町のパン屋さんの新東京土産 | |||||||||||||||||||||
富夢富夢 東向島店
店名:富夢富夢 東向島店 住所:東京都墨田区東向島5-3-7 1F 電話:03-3610-1651 定休日:無休 |
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東京・墨田区にベーカリー2店舗を展開するトムトム(関口守哉社長)は、2011年11月14日から、東京スカイツリーの形をしたパン「東京スカイツリーブレッド」(700円)を販売している。この商品は、ブリオッシュ生地にメープルシートを折り込み、特注の焼き型で焼成したもの。先端のゲイン塔はビスケット生地を細い棒状に成形したものを、購入した人が差し込んで完成させる。専用の箱を用意し、主に土産用として発売された。スカイツリーの開業に先駆けて発売した格好だが、スカイツリー開業後は、売れ行きが急進したという。
「東京スカイツリーブレッド」は、現在、東京ソラマチ内の『すみだまち処』という名店街で、土産品として販売されている。加えてトムトムの東向島店と吾妻橋店でも販売している。 「スカイツリー開業直後は大ヒットして、東京ソラマチでの販売だけで、1週間で百数十本に達しました。その後、6月まで高水準が続き、8月頃には落ち着きました。現在は、月70本程度を東京ソラマチでの販売用に納品しています。吾妻橋店でも初夏は1日10本以上売れていました。東向島店では1日6本、月180本以上販売するのが目標ですが、現在月100本超という推移です」と東向島店店長の亀田和祐さんは話す。 亀田さんは同商品の企画途中に配属され、主にレシピ開発に携わった。折込みシートは様々なものを試し、最後に「味わい深くてほんのり甘い、誰にでも好かれるカナディアンメープルがよい」と判断を下した。 「自信作ですし、愛着もあります。毎日レポートを出させて全店確認していますが、売れ行きの波はあまりなく、売上が伸びるポイントが何かはまだ観察中です。お土産品は、やはり通常のベーカリー商品とは異なる商材ですね」(亀田さん) 同商品は、子供を中心に好評で、「面白い」「珍しい」などの感想が寄せられるという。特に、ゲイン塔部分のビスケットを自分で差し込んで塔を完成させる仕様が好かれている。「ゲイン塔を差し込んだ完成品を写真に撮って送ってくれるお子さんもいます」と亀田さん。同商品がテレビや雑誌に出て以降、地方発送用のまとめ買いや予約も増え、「東京土産」として浸透している。 しかし、「間もなく発売1年になるので、それに向けたテコ入れが課題です」と亀田さんは話す。新たな卸し先を開拓していたところ、土産物としての格を期待する声に行き当たった。現在はカジュアルなデザインのパッケージで包装しているが、これを高級感のあるデザインに変更することで、土産物としての印象を変えることも検討中だ。 「ご当地品は通常商品と異なった需要が望めるアイテムですが、大きなヒット商品にするのは簡単ではありません。日々売上向上のアイデアを研究しています。しかし、そのことで改めて売場での商品の見せ方や、スカイツリーの模型を売場に置いてお客様の需要を喚起するといった販売の工夫を学びました。両国国技館で行われる11月のビジネスフェアでこの土産品を販売しますが、前年よりも売上を伸ばすために秘策を練っているところです」 【ご当地限定商品のPOINT】 ■パッケージ刷新によるイメージチェンジでロングセラー化も可能 ■売り場づくりにより、路面店舗でも地域土産の需要喚起ができる |
ほかにもあります!東京ソラマチのパン | |||||||||||||||||||||
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