2012年第3回ibaカップミュンヘン大会応援講習会(ドイツパン・菓子勉強会) - ブランスリー電子版


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講習会/2012年10月号

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2012年第3回ibaカップミュンヘン大会応援講習会(ドイツパン・菓子勉強会)
講師を務めた明石克彦氏
講師を務めた倉田博和氏
 ドイツパン・菓子勉強会(倉田博和会長)は、8月28日、東京・渋谷区の日本製粉東部技術センターを会場に「2012年第3回ibaカップミュンヘン大会応援講習会」を開催した。同講習会は、ドイツ・ミュンヘンで9月に開催の国際製パンコンクール「ibaカップ」の日本代表選手、大村田氏(マイピア店長)と渡辺裕之氏(タンドルマンオーナーシェフ)を壮行する目的で開かれた。両選手は、受講者らの前で、コンクールの規定作品を7時間で仕上げてみせた。これは2選手が行う国内で最後のトレーニングでもあった。同時進行で同勉強会元幹事の明石克彦氏(ベッカライ・ブロートハイム)と会長の倉田博和氏(デイジイ)が、それぞれパンと菓子のデモンストレーションを行った。
 また同日午後6時からは、東京・新宿区の新宿パークホテル内にある「お菜家」で壮行会を行った。



ゾンネンブルンメンブロート(明石氏)
ゾンネンブルンメンブロート
写真1
 ヒマワリの種のパン。コンプレ生地の中に、ヒマワリの種、ラインザーメン(亜麻仁)、白ゴマを入れた穀物の旨味がたっぷり詰まったパン。

【配合%】
Fナポレオン(フランスパン用粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30
紫牡丹(強力粉)‥‥‥‥‥‥‥40
パン酵母生‥‥‥‥‥‥‥‥2・5
塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥1・9
モルト‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・5
▼前処理生地全量‥‥‥‥‥‥‥60
水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥48
発酵種(前日のフランスパン生地)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥20
ヒマワリの種‥‥‥‥‥‥‥‥‥14
ラインザーメン‥‥‥‥‥‥‥‥6
白ゴマ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8・5
【工程】
ミキシング‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥L4分(発酵種投入)M5分
(前処理生地投入)L3分M7分
捏ね上げ温度‥‥‥‥‥‥26度C
フロアタイム‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥1時間(パンチ)30分
分割‥‥250グラム、60グラム
ベンチタイム‥‥‥‥‥20〜25分
成形‥250グラム分割生地はナマコ形、
60グラム分割生地はカットしたままの
状態(いずれも表面に卵白を塗りヒマワ
リの種をトッピング)
ホイロ‥‥‥28度C75%40〜45分
焼成‥‥60グラム分割生地は240度C
15分〜、250グラム分割生地は28分〜
(スチーム多めに注入)
▼前処理生地
【配合%】
グラハム粉‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15
ライ麦全粒粉(中挽き)‥‥‥‥15
熱湯‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥30
塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・4
【工程】
 グラハム粉とライ麦全粒粉と塩に熱湯を加え混ぜ合わせ、冷蔵庫に入れ冷やす。
 ※同じ生地を使った「長ネギとベーコンのグラハムロール」(写真1)も紹介。発酵終了の生地2000グラムに、炒めたベーコン300グラム、長ネギ300グラムを巻き込んでカットし、型に入れ240度Cで22〜23分焼成(スチーム注入)。途中で窯から出し、シュレッドチーズをトッピングし、さらに2分焼成。
 明石氏のコメント 1986年、ドイツに行く飛行機の中で食べた、思い出のヒマワリの種のパン。重くて酸っぱくて固いというドイツパンのイメージを覆し、食べやすく美味しい味だった。将来店を開いたら作りたいと思っていたパンの一つで、開業から5〜6年たって作り始めた。グラハム粉とライ麦の粗挽き粉を熱湯処理することで、穀物の甘味が出る。この時に入れる塩は、雑菌の発生を抑制する目的もある。前処理し
た生地をフランスパン生地に混ぜればコンプレ生地ができる。ミキシングはかけ過ぎないように注意。分割しただけの小型パンや、炒めたベーコンと長ネギを巻き込んだバラエティーブレッドは、ドイツパンを身近に感じてもらえるよう考案した商品。




リュスティック(冷蔵、明石氏)
リュスティック(冷蔵)
写真2
 水分が多く生地をあまり練らない製法で作る、長時間低温発酵の味わい深いパン。

【配合%】
Fナポレオン‥‥‥‥‥‥‥‥‥60
メルベイユ(フランス産小麦粉)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥40
セミドライイーストR(サフ)‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・2
塩‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥2・1
モルト‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥0・3
水‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥69〜75
【工程】
ミキシング(スパイラル)‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥L4分H1分〜
捏ね上げ温度‥‥‥‥22〜23度C
フロアタイム‥‥‥‥27度C75%
40分→パンチ後5度Cの冷蔵庫で15
時間〜→室温に戻し生地温度が18〜
20度Cになったら1時間30分
(パンチ)15分。最後のパンチの時に、
半分に生地を分け、マカダミアナッ
ツを対生地15%折り込む(写真2)。
分割‥180グラム、230グラム
ベンチタイム‥‥‥‥‥20〜30分
ホイロ‥‥‥‥27度C75%50分〜
焼成‥‥‥‥‥‥‥上火270度C下火
240度C7〜8分、その後上火245
度C下火220度C15分
 明石氏のコメント オーバーナイトの生地で翌朝すぐに作業が始められる利点と、わざわざフランスパンを仕込まなくてもこの生地でバゲットができる利点があり、リテールベーカリーに是非取り入れてほしい製法のパン。この製法で作るフランスパンは、一般的な配合で作るバゲットに比べ味わい深いパンになる。オーバーナイトで熟成させた生地はすぐに作業に入らず、生地温度を18度Cくらいにもどしてから分割を行うことがポイント。マカダミアナッツを生地に入れる場合、均等にナッツが入るよう全体に広げながら折り込む。番重から生地を台の上に移す時、スケッパーで丁寧に生地をはがしながら台にそっと置くこと。番重を立てたままにして、生地を台に置くと、そこでパンチと同じ作業をしたことになる。



ミュルプタイク(倉田氏)
ミュルプタイク
写真3
 ドイツの焼き菓子の一つで、マジパンローマッセを使った香ばしいサブレ。日持ちがするので、時間がある時に作り置きできる

【配合グラム】
マジパンローマッセ‥‥‥‥375
無塩バター‥‥‥‥‥‥‥‥375
ショートニング‥‥‥‥‥‥375
上白糖‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥562
全卵‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥5個
メルベイユ(フランス産小麦粉)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥937
ベーキングパウダー‥‥‥‥‥‥7
【作り方】
①マジパンローマッセをボウルに入れ、無塩バターとショートニングを合わせビーターにかける
②(1)の中に、上白糖を加えさらに混ぜ合わせる
③(2)に全卵を加え、ホイップする
④(3)にメルベイユ、ベーキングパウダーを入れさっくり混ぜ合わせる
⑤生地をビニール袋に入れ、冷蔵庫
で冷やす
⑥(5)の生地を5ミリにのばしてリーフ型で抜き、天板に並べる
⑦表面に葉脈の筋を付け、卵白をぬ
り(写真3)、200度Cの窯で15分焼成する
 倉田氏のコメント ベーカリーの焼き菓子としてとり入れてほしい製品。マジパンローマッセを入れることで、香ばしい高級感のあるサブレになる。マジパンローマッセは、焼き菓子では使う頻度が高い材料。サクサクと口溶けが良く飽きが来ないので、店では定番商品としてロングセラーになっている。ギフト商品にも向いているので、秋の繁忙期になる前に準備をして作り置きしておくと良い。生地は冷凍保存ができる。作業する時道具をうまく使うことが、きれいに早く作るポイント。サブレの型抜き作業は、生地を型で抜いたら型から生地を指で天板に落とす。こうした流れるような動きでやると、効率よくできて速い。

オープストシュニッテン(倉田氏)
オープストシュニッテン
写真4
明石講師の実演に熱心に見入る受講者ら
 洋酒に漬けたドライフルーツがたっぷり入った、シュガーバッター法で作る焼き菓子

【配合グラム】
アンシャンテ(薄力粉)‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥500
ベーキンパウダー‥‥‥‥小さじ1
無塩バター‥‥‥‥‥‥‥‥225
ショートニング‥‥‥‥‥‥175
グラニュー糖(卵白用)‥‥175
グラニュー糖(卵黄用)‥‥175
全卵(殻付き)‥‥‥‥‥‥525
洋酒漬けフルーツ‥‥‥‥1000
生クリーム‥‥‥‥‥‥‥‥125
ラム酒‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥75
【作り方】
①無塩バターをビーターにかけしっかりクリーム状にし、ショートニングを加えさらにビーターを回す
②別のボウルに卵黄とグラニュー糖を入れてクリーム状にする
③別のボウルに卵白とグラニュー糖を入れてメレンゲを作る
④(1)の中に(2)を加えて混ぜ合わせ、洋酒漬けフルーツを加え混ぜる
⑤(4)の中にアンシャンテ、ベーキングパウダーを入れさっくり混ぜる
⑥(5)の中に(3)のメレンゲを3回に分けて入れ、2回目を入れるとき生クリームとラム酒も一緒に加え手で混ぜる
⑦(6)の生地を型の半分まで入れ、種を抜いてマジパンローマッセを絞り入れたプラムをのせ、その上から生地を入れ、トッピングにクルミ、チェリーを飾る(写真4
⑧190度Cの窯で30〜33分焼成する
⑨仕上げに表面にラム酒のシロップを塗る
 倉田氏のコメント 手軽に購入できる焼き菓子が売り場に豊富にあると、パンと一緒に購入してもらえ、売り上げにも反映する。生地の作り方のコツは、ビーターにかける時、無塩バターをしっかりクリーム状にしてからショートニングを加えること。またきめ細かいしっかりしたメレンゲを作るコツは、卵白を冷やすこと。ボウルやホイッパーに水分、油脂、塩がついていると泡立ちが悪い。プラムの前処理は湯に浸けて水分をしっかり切ってから種を抜く。洋酒漬けのフルーツはいろいろなお菓子に使える。3回目にメレンゲを加えるときは、泡が消えないようにやさしく混ぜる。

ibaカップへ向けて万全の態勢を整える
 講習会の終了後、ibaカップ日本代表選手の大村田氏と渡辺裕之氏から、大会に向けての意気込みが語られ、参加者たちから声援が送られた。また監督を務める山粼豊氏が、2011年の日本代表選手選考からコンクールまでの経緯と現地でのスケジュールを紹介した。
 日本代表選手の大村田氏の話 ここまでくる間に何回も応援講習会を開いていただき、感謝です。残された時間を有効に使って、細かい部分の手直しをしたい。ドイツの材料を取り寄せ練習してきたので、現地でも問題なくできると思う。経験豊富な山崎監督や井上コーチが同行されるので、良い結果を出したいと思う。応援していただいている皆さんや、店のスタッフや家族の期待に応えたい。
 日本代表選手の渡辺裕之氏の話 2011年10月に代表に選ばれてから今日まで、大村氏と共に頑張ってきた。時間制限と持ち込みなしという条件の変更で、もっとパンを作りたいと思っていたが数を減らし絞り込んだ。今年は世界杯のコンクールで日本がパン、菓子ともに優勝しているので、自分たちも続きたい。ここまで来たら悔いのないように戦いたいと思う。自分たちが目指す作品作りに、ベストを尽くしてきます。
 山崎豊監督の話 11日に現地に向けて出発し、バインハイムの学校で最後の仕上げをする。まだ両選手が、阿吽の呼吸で作業するまでに至っていない。お互いの進行状況を把握しながら、仕事をすることが大切。当日は8時半に集合し、30分間機械の説明を受ける。最新のコンピューター制御の機械が用意されているので、問題はないと思う。そして9時〜16時までの7時間で競技が行われ、30分で決められた展示スペースに製品をディスプレイする。この時間内で作品を完成させ、清掃まで終わらせなければならない。フレッシュな材料は現地で調達するが、無い場合も想定し対応できるよう考えている。現地入りすれば覚悟もでき、力を発揮してくれると思うので日本からも声援して頂きたい。
 井上克哉コーチの話 選手のトレーニングにずっと立ち会い、いろいろアドバイスしてきた。今回からルールが変更になり厳しくなったので、修正するのに時間がかかった。店を空けるのでそれぞれ留守中のことも気になると思うが、大会では試合のことだけ考えて力を出し切ってほしい。
 倉田博和会長の話 作品全体のまとまりは良くなってきたが、細かな部分に気を配る必要がある。本選では、果物やハーブの使い方、置き方なども採点される。色やデザインの工夫も大切。仕上げのナパージュは、早く丁寧にすること。見て、食べて美味しく感じる作品に仕上げてほしい。最後のトレーニングは現地で行うことになるが、ベストを尽くしてほしい。
日本代表選手の渡辺氏(右)と大村氏(左)
ibaカップで日本チームの
監督を務める山崎豊氏
 講習会の終了後、ibaカップ日本代表選手の大村田氏と渡辺裕之氏から、大会に向けての意気込みが語られ、参加者たちから声援が送られた。また監督を務める山粼豊氏が、2011年の日本代表選手選考からコンクールまでの経緯と現地でのスケジュールを紹介した。
 日本代表選手の大村田氏の話 ここまでくる間に何回も応援講習会を開いていただき、感謝です。残された時間を有効に使って、細かい部分の手直しをしたい。ドイツの材料を取り寄せ練習してきたので、現地でも問題なくできると思う。経験豊富な山崎監督や井上コーチが同行されるので、良い結果を出したいと思う。応援していただいている皆さんや、店のスタッフや家族の期待に応えたい。
 日本代表選手の渡辺裕之氏の話 2011年10月に代表に選ばれてから今日まで、大村氏と共に頑張ってきた。時間制限と持ち込みなしという条件の変更で、もっとパンを作りたいと思っていたが数を減らし絞り込んだ。今年は世界杯のコンクールで日本がパン、菓子ともに優勝しているので、自分たちも続きたい。ここまで来たら悔いのないように戦いたいと思う。自分たちが目指す作品作りに、ベストを尽くしてきます。
 山崎豊監督の話 11日に現地に向けて出発し、バインハイムの学校で最後の仕上げをする。まだ両選手が、阿吽の呼吸で作業するまでに至っていない。お互いの進行状況を把握しながら、仕事をすることが大切。当日は8時半に集合し、30分間機械の説明を受ける。最新のコンピューター制御の機械が用意されているので、問題はないと思う。そして9時〜16時までの7時間で競技が行われ、30分で決められた展示スペースに製品をディスプレイする。この時間内で作品を完成させ、清掃まで終わらせなければならない。フレッシュな材料は現地で調達するが、無い場合も想定し対応できるよう考えている。現地入りすれば覚悟もでき、力を発揮してくれると思うので日本からも声援して頂きたい。
 井上克哉コーチの話 選手のトレーニングにずっと立ち会い、いろいろアドバイスしてきた。今回からルールが変更になり厳しくなったので、修正するのに時間がかかった。店を空けるのでそれぞれ留守中のことも気になると思うが、大会では試合のことだけ考えて力を出し切ってほしい。
 倉田博和会長の話 作品全体のまとまりは良くなってきたが、細かな部分に気を配る必要がある。本選では、果物やハーブの使い方、置き方なども採点される。色やデザインの工夫も大切。仕上げのナパージュは、早く丁寧にすること。見て、食べて美味しく感じる作品に仕上げてほしい。最後のトレーニングは現地で行うことになるが、ベストを尽くしてほしい。

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