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レポート/2012年9月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
東京スカイツリー開業、変わる街並み、変わらぬ伝統
東京・墨田区に5月22日開業したばかりの東京スカイツリー。高さ634mを誇るスカイツリーのお膝元には、昭和を色濃く残す向島がある。かつて花街として賑わったこの街は、スカイツリー開業で大きく変わった。新しいカフェやギャラリーなどが次々とできて、店の数は10倍に増え、若いアーティストが注目する街となった。変化していく街並みの中で、50年以上も前から続く老舗、季節の生ジュースとくるみパンの店「カド」がある。現在は二代目マスターが店を営む。先代の味を守りつつ、それを活かし、進化させていく二代目の心意気。幼少の頃から見てきた街の変化やスカイツリーが及ぼす影響などについての二代目の本音に迫る。
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ただ体にいいものを作り続けること | |
生ジュースの店として知られている「カド」だが、くるみパンも美味しいと評判だ。「活性ジュースとくるみブルーベリーパンのなすとモッツァレラサンド」(750円)は、人気のセットメニューで、活性ジュースには、蜂蜜、アロエ、セロリ、グリーンアスパラ、フルーツなどが入っている。
くるみパンのテイクアウトもできる。くるみパンは種類が豊富だが、シンプルなものが売れると言う。一番人気は「くるみレーズンクリームチーズ」。 「先代の頃は、パンは仕入れていましたが、生ジュースに合うパンを追及した結果、自家製のくるみパンにたどり着きました」と宮地さん。 手作りのくるみパンは独学で学んだ。店に来る客は高齢者も多いので、柔らかく噛みやすいパンを作ることにもこだわった。パンを店で作るとなると、機材などの投資費用もかかるため、母親と喧嘩したこともあったという。しかし、いくら費用がかかってもパンにはこだわりたかった。 「先代との喧嘩はつきものですよ。二代目は先代と比べられ、風当りが強いのも事実です。二代目はみんなそうだと思いますよ。親は頑固ですし。先代のこだわりは、体にいいものを作るということでした。ただそれだけです。その意志だけは継いで、自分なりに変えていくんです。変えたことで、来なくなる人もいますが、新しい人もやって来きます。二代目がうまく進化させることが使命だと思っています。二代目がやるべきことを怠ってしまったら、そこでおしまいだと思うので」 |

よそから来た木でしかない | |
宮地さんはスカイツリーができたことによる影響について次のように語ってくれた。
「スカイツリーは、よそから来た木としか思えないですね。まわりの住民もそう思っている人が多いと思いますよ。スカイツリーが下町の木になるには少なくとも10年以上はかかるんじゃないかな。実際、スカイツリーができたからと言ってそれほど変化を感じてはいません。外国人などの観光客が来て、店に立ち寄る人は少しは増えたとは思うが、店をやっていく上であまり大きな影響はないですね。ただ、最近は中国の方が多く、中国人のマナーの良さに驚かされます。文化度が高くなっているなと思いますね」 美術館巡りと自転車が好きだという宮地さん。店を継いでから長期の休みを一度も取ることなく働き、週に1日しかない休みを利用して、仕事への鋭気を養う。 「自転車を早く走らせるより長距離を走る方が自分にはあっている」と宮地さんは言う。「カド」は50年余り、数々の時代の風雪に耐えてきた。人や街の流れが変わろうと、先代からの伝統を守り、これから先の時代も変わらず二代目は走り抜けていくのだろう。 SHOP DATA 店名:カド 住所:東京都墨田区向島2-9-9 電話:03-3622-8247 営業時間:午前11時~午後9時 定休日:月曜日 |

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