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特集/2012年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

時間が経ったときの味も大事 | |
高田知明オーナーの話
「デニッシュコロネ」は、少し甘めの練乳風味のマーガリンシートを3つ折り2回折り込んで、ザクザクの食感にしている。コロネ型に巻いて焼成する。普通のコロネのようにやわらかくないし、かといって硬くもないのが特徴だ。クロワッサンみたいにさくさくという感じでもない。まさに、「ザクザク」という表現がぴったりだ。中にたっぷりと入れたクリームの滑らかさと生地のザクザク感の対比がポイントだ。もう10年近く販売しているが、常に売上上位に入っている。「大人が食べても美味しく食べられる」というのもセールスポイントだ。生地は調理パンと菓子パンの中間ぐらいの生地だ。 「ソフトプレッツエル」は、自分で買いに行ったときに、目の前で作っているのを見て、300度Cで焼いていて、重曹液に漬けていて、焼き上がったものを澄ましバターに漬けていることなどがわかったので、それをベースに、ホシノ酵母などを使って、もっと美味しいものを作ろうということで開発した。ホシノ酵母を使うと、味の深みとしっとり感が出る。多分イーストは通常の半分ぐらいだ。捏ね上げ温度はうちの場合は低めにしている。低く上げて長い時間一次発酵をとった方が、風味も残る。開発段階では油脂なしだったが、焼成後何日か経ってから自分で食べてみて、やはり油脂を入れた方がいいということになった。 「カボチャとブリオッシュのキッシュ」は、「庶民感覚のキッシュ」がコンセプトだ。キッシュというと高級で大きいというイメージがあると思う。ボリュームがあってちょっと食べるのが大変な気もする。「カットもの」ではなく、「1個もの」がいいと思った。「パングランプリ東京2010」でグランプリをいただいた製品だ。 女性の心をいかにとらえるかがポイント お客様は買ってからある程度時間が経ってから食べることが多いので、時間が経ったときの味や食感にも配慮しなくてはならない。イートインで食べてもらえるのはほんの一部で、ほとんどの場合は、家に持ち帰って食べる。土日とかだったら、買って帰ってすぐに食べてもらえるかも知れないが、平日だったら子供が帰ってから食べることも多いだろう。食パンだったら翌朝焼き直して食べるかも知れない。そういうこともトータルに考えてパン作りをしたい。同じパンを焼きたてのときと、時間が経ったときに、それぞれ試食してその味と食感を確かめておきたい。 ソフトプレッツェルなどの流行の商品をとり入れるときは、後追いになるので、オリジナルより圧倒的に美味しいものを作らなくてはならない。あと、流行ものは早く導入しなればならない。「チョコリング」のときもすぐに名古屋に買いに行って食べて、開発に取り掛かった。うちの色を出すために、くるみの生地を使って、「クルミの国のチョコリング」として発売したが、今でも人気商品の座をキープしている。 今回紹介した3製品とも客層は似ていて、子供を持つ30代の主婦を中心にした女性だ。うちの商圏は古い大きな団地が近くにあるせいか、年配者が多いが、最近はその子供の世代の方々が、団地の周りに家を建てて世帯を構えることが多くなっている。新商品を出すと、まず手を出すのは女性だ。世代は若い層からシルバー層まで幅広い。場所柄、高いパンは売れないので、「庶民派」を打ち出している。 ShopData 店名 サンセリテ 住所 埼玉県狭山市狭山台3‐11‐2 電話 04‐2957‐8934 営業時間 午前7時~午後7時 定休日 水曜日 品目数 90 スタッフ 製造常時6人、販売常時3人 店舗面積 売り場12坪、厨房30坪 日商 約50万円 |


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