記事の閲覧
<<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
講習会/2011年10月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
特選実習セミナーパンコース-東京製菓学校 | |
東京製菓学校(中村勇校長)は7月20、21日の両日、東京・新宿区の同校で特選実習セミナーを開催した。
講師を務めた同校のパン科教師、高江直樹氏は「経済情勢の低迷に加え、際立った流行のないパン業界において、ドイツパンやハード系製品はまだまだ将来性がある」と述べ、ルヴァンリキッドを活用したチャバッタなどを実演した。 さらに、高江氏は「作業の合理化を追求すると、一つひとつの製品ごとに作るのではなく、『枝分かれ』のできる製品作りが重要だ」と述べ、ミルクハース生地でペストリーを作ったり、ドイツパン生地で食パンやフォカッチャを作るなど、1つの生地から複数のアイテムへの展開方法を紹介した。 |

ミルク ハース | |
牛乳のみで仕込むのでコクがある。クラムはふわふわ、クラストはこしのある食感
【配合%】 強力粉………………………………70 超強力粉……………………………30 生イースト…………………………3 砂糖…………………………………3 食塩……………………………2・1 バター………………………………5 ショートニング……………………5 牛乳…………………………………64 ルヴァンリキッド…………………20 【工程】 ミキシング…L3分M3分(バター、ショートニング投入)L1分M4分 捏ね上げ温度…………………26度C 1次発酵…27度C75%1時間(パンチ) 分割……………………350グラム ベンチタイム……………………20分 成形………………ラグビーボール形 ホイロ…………………………28度C80%50分(ホイロ後クープを入れる) 焼成………………………………………220度C17分(スチーム注入) 高江氏のコメント 牛乳のみで仕込んでおり、油脂も多いのでコクがあっておいしい生地だ。中はふわふわとやわらかいが外側はしっかりとした食感で、歯切れがいい。チーズだけでなく、惣菜系として応用がきくと思う。材料原価は、58・8円。 |

ミルクハースペストリー(クランベリーロール、 ジェノヴァ、シトロンの3種) | |
発酵バターの風味がよく、デザート系だけでなく惣菜系にも向く
【配合%】 強力粉………………………………70 超強力粉……………………………30 生イースト……………………3・5 砂糖…………………………………3 食塩……………………………2・1 バター………………………………5 ショートニング……………………5 牛乳…………………………………60 ルヴァンリキッド…………………20 【工程】 ミキシング…L3分M3分(バター、ショートニング投入)L1分M4分 捏ね上げ温度…………………26度C 1次発酵…27度C75%30分(発酵後マイナス5度Cの冷凍庫に一晩おく) 大分割………………1800グラム 折り込み油脂…バター500グラム 折り込み………………………………………3つ折り1回4つ折り1回(生地の最終の厚みは3~3・5ミリ) 成形……………………………クランベリーロールは生地表面に▼クランベリーフィリングを塗り、ロール状に巻き込み(写真5)、3~4センチの厚みにカットする。ジェノヴァは5×12センチの四角形にカットする。シトロンは10×10センチの正方形にカットして三角形に折り、切り込みを入れて開き、外側部分を合わせる。接着面に卵液を塗る(写真6) ホイロ………………28度C80%70分 焼成前のトッピング………………………………………クランベリーロールは卵液、アーモンドスライス、グラニュー糖をトッピング。ジェノヴァは卵液、▼ジェノヴァフィリング25グラム、半分にカットしたプチトマト、パルメザンチーズ1グラムをトッピング。シトロンは卵液、▼レモンクリーム30グラムを絞る 焼成…220度C17分(スチーム入) 仕上げ…ジェノヴァはイタリアンパセリを飾る。シトロンはナパージュを塗りピスタチオアッシェ、グラスアローで飾る |

チャバッタ(チャバッタフロマージュ、チャバッタ、グリーンピースのチャバッタの3種) | |
ルヴァンリキッドを配合したやわらかく、老化の遅い、風味の良いチャバッタ。サンドイッチに最適
【配合%】 フランス粉…………………100 インスタントドライイースト…0・3 モルト………………………0・2 食塩…………………………2・1 オリーブ油………………………5 ルヴァンリキッド………………30 水…………………………………65 水(バシナージュ用=差水………………………………5~10 【工程】 ミキシング……………………(オリーブ油投入)L3分M5分(バシナージュ)M3分(ミキシング後、3等分に生地を取り分け、チャバッタフォロマージュに黒胡椒0・2%、ダイスチーズ30%、グリーンピースのチャバッタにグリーンピース30%をそれぞれ練りこむ) 捏ね上げ温度………………24度C 一次発酵…1時間(パンチ)30分 分割……………………………………200グラム(分割後、コーングリッツを上面にまぶす=写真7) ホイロ……………28度C30%40分 焼成……………………………………250度C13分(スチーム注入) 高江氏のコメント 液状の油脂であるオリーブ油を入れているのでよりやわらかい食感になっている。ルヴァンリキッドを入れると、食感と風味がよくなり、老化を遅らせることができる。焼いた翌日でも、ある程度おいしく食べられる。サンドイッチにする場合は、オリーブ油と塩を合わせたものやマヨネーズを塗ってもいい。パンチは生地を「ひっぱって下ろす」やり方で、少し強めにやる。参考までに、原価はチャバッタフロマージュが59円、チャバッタは22・6円。 |
ロッゲンミッシュブロート | |
ロッゲン食パンやフォカッチャロッゲンに展開できるドイツパン
【配合%】 ▼サワー種…………………………50 ライ麦粉(粉)……………………40 フランスパン用粉…………………35 生イースト………………1・8~2 食塩………………………1・8~2 水………………………………55~60 【工程】 ミキシング………………L5~6分 捏上温度………………………26度C 1次発酵………28度C30%5~10分 分割…………………900グラム(ロッゲン食パンは900グラム、フォカッチャロッゲンは150グラム) ベンチタイム………………0~5分 成形……………ブール形にしてライ麦粉をたっぷりとふった籠に入れる(写真8)。ロッゲン食パンはナマコ形にして食パン型に入れる。フォカッチャロッゲンは楕円形にのばす ホイロ………………28度C80%50分(ホイロ後籠から取り出してクープを入れる=写真9、フォカッチャロッゲンはホイロ後、オリーブ油15グラムを刷毛で塗り、角切りのブラックベーコン30グラム、ピザチーズ20グラムをトッピングする=写真10) 焼成……230度C40~50分(スチーム注入)、ロッゲン食パンは上火200度C下火250度C50分~(スチーム注入)、フォカッチャロッゲンは250度C15分(スチーム注入) ▼サワー種 ■1日目(1番種) 【配合%】 ライ麦粉(中挽粉)…………100 プレーンヨーグルト…………100 水………………………………100 【工程】 26~28度Cで24時間発酵させる ■2日目(2番種) 【配合%】 ライ麦粉(中挽粉)…………100 1番種…………………………100 水………………………………100 【工程】 26~28度Cで24時間発酵させる ■3日目(3番種) 【配合%】 ライ麦粉(中挽粉)…………100 2番種………………………………10 水………………………………100 【工程】 26~28度Cで24時間発酵させる ■4日目(4番種) 【配合%】 ライ麦粉(中挽粉)…………100 3番種………………………………10 水………………………………100 【工程】 26~28度Cで24時間発酵させる ■5日目(初種) 【配合%】 ライ麦粉(中挽粉)…………100 4番種………………………………10 水………………………………100 【工程】 26~28度Cで24時間発酵させる 高江講師のコメント 生地がべとつくので扱いが難しく、ドイツパンをある程度作り慣れている必要がある。成形は難しいので、食パン型などのように、型に入れて焼成すると簡単だと思う。ベンチタイムは、グルテンが少ないため生地を回復させる必要がないので原則としてはなくていいが、小麦粉比率の高いものは15分程度取る場合がある。ホイロはサワーの味を生地に馴染ませるため。焼成は、大量の蒸気がポイントとなる。グルテンのないライブレッドを窯伸びさせるためだ。手順は、オーブンをはじめ高温にしておき、窯入れ後大量の蒸気を入れて温度を下げ、2分後にダンパーを5分ほど開けて蒸気を逃がす。後はしっかりと焼きこむ。生地自体が濃い味なので、ジャムやディップなども濃い味のものを合わせた方がいい。こうした食べ方の提案は積極的にした方がいい。原価はロッゲンミッシュブロートが93・9円、ロッゲン食パンも93・9円、ロッゲンフォカッチャは89・7円)。初種を作る際は常に一定温度を保つことが重要。温度変化により、種の組成が変わり、風味と味に大きく影響するからだ。ライ麦粉の粒度により、出来る種の風味も変わる。粉状だと、比較的酸度が高くなりやすいが安定する。細挽、中挽だとまろやかだが扱いが難しい。pHについては、pHが高いと本捏時は生地がまとまりにくいが、pHが低いと締まった生地になり、吸水が増す傾向がある。 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。