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食のトレンドを追う/2011年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
お米でパンを作るホームベーカリー「GOPAN」の可能性 | |
日本の伝統的主食であるお米からパンを作ることができるホームベーカリー、三洋電機のライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン)」。その役割、魅力、能力は、パン業界にとって黒船となるだろうか。
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米農家には嬉しいブーム。地産地消・食育の役割も | |
「お米への注目が喚起されて嬉しい」「いろんなお米から作ったパンを味わってもらえるのがいいチャンス」「店頭で、GOPANで作った米パンを試食してもらいたい」など、お米屋さんからの反応が大きかったという。お米の美味しさを楽しむ地産地消の取り組みにもなり、減反政策を強いられている米農家にとっても嬉しいブームだろう。全国の農産物イベントではひっぱりだこで、GOPAN製米パンの試食イベントはひっきりなしに行われている。ユニークな取り組みでは、島根県とJA全農県本部が、GOPAN利用者に県産米「きぬむすめ」を無料で送り、味や感想を尋ねるキャンペーンを行っている。
昨年10月に開催された、21カ国が参加したAPEC新潟でも、ブース出展を行った。米食文化のアジア圏からの要人が多いだけに「もちもちしていておいしい」「すぐ買いたい」という上々の反応。インターネット上では、料理レシピの人気サイトのクックパッドと共同でレシピコンテストも行われ、「柿ピーGOPAN」「牛丼パン」「おいなりパン」などGOPANを手に入れた消費者が積極的にユニークなレシピを投稿し、盛り上がりを見せている。 ところが、クックパッドのウェブサイトで「ゴパン」と検索すると、炊いたご飯を材料にして、GOPANではない既存ホームベーカリーでも米パン作りが可能であることがわかった。「GOPANがなくても『ゴパン』が作れる」と、利用者によってさまざまなレシピが紹介されている。大手家電メーカーの最先端の技術のさらに先をいく消費者の好奇心と知恵に驚いた。 |

業務用GOPANの開発が日本の食料事情を変える? 家庭で楽しむのに限らず、広く米パンを市場に流通させる「業務用GOPAN」については現在検討中という。米の消費拡大につながり、小麦アレルギーの人もパンが食べられるという点から、学校給食などで利用するのも大きな意義があるだろう。政府も、米(粉)パン普及に乗り出し、現在、鳥取県では学校で米パンが給食に出されることもあるそうだ。
米を材料としたパン作りを大きく発展させることで、食料自給率の上昇はもちろん、メイド・イン・ジャパンの新たな食の提案を世界に発信できるのではないだろうか。(U) ◆米の利便性を柔軟に取り入れては◆ ブランスリー編集部の話 パン業界としては、ホームベーカリーの普及や米パンがパンに変わることに対しては楽観的なようだ。実際、GOPANの普及でベーカリーのパンが売れなくなる、という声はあまり聞かない。底辺が広がるという意味で、全体としてはプラスになるのではないだろうか。パン業界の中では米を原料としたパンはまだまだ注目度も浸透度も低く、米粉でパンを作ることに抵抗感のある職人もいるだろう。パンのバラエティーが少し広がった、ぐらいの感覚で、気軽にとり入れてみることも手かもしれない。 |

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