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食のトレンドを追う/2011年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
大人も夢中!「工場見学」 | |
「工場見学」といえば、小学生時代の社会科見学を懐かしく思い出す。しかし最近は、「お金をかけずに楽しめるレジャー」として、大人の娯楽ツールとしても注目されている。
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「製造ライン見学+おみやげ」はもう古い? | |
工場見学が面白い。人気企業の工場見学は、抽選が行われているほど。インターネットでは、子ども向け、大人向けそれぞれに全国の工場見学情報が充実している。テーマパークなどに比べてお金がかからないため、旅行プランに組み込みやすい点も魅力になっているのだろう。
一方で、製造工程を見学し、最後におみやげをもらうという形はすでに古く、企業にとってはさらなるひと工夫が必要のようだ。インターネットの「gooランキング」で人気上位にあるビール工場、菓子工場、飲料水工場では、以下のような取り組みをしている。 ビール工場、ウイスキー蒸溜所、ワイナリー、天然水工場など全国の工場で、無料試飲を楽しめる工場見学を受け入れているサントリー。山崎蒸溜所(大阪府)では、毎年1月末から2月末のバレンタインシーズンに合わせてお酒とチョコレートの楽しみ方を伝える「シングルモルト&ショコラセミナー」を行い、年々人気が高まっている。 全国12カ所で工場見学を受け入れているキリンビールは、仙台工場敷地内のレストランで地産地消メニューを提案するなど、土地柄を生かしたイベントを開催。 グリコの「グリコピア神戸」では、ポッキーとプリッツの製造工程見学の他、「3Dシアター」や「グリコのおもちゃ」の展示など、子どもも大人も楽しめる趣向がこらされている。 工場見学は、企業のオリジナリティを見せるための、イベントスペースやテーマパークとなりつつあるのだ。 |


全国のホテルも積極的にプランに取り込む | |
工場見学を集客ツールに利用するのは、工場を持つ企業だけではない。日本全国のホテルもまた、積極的に工場見学を宿泊プランに盛り込んでいる。いずれも、リーズナブルな料金設定や限定の特典などサービスが豊富だ。
ホテルニューオータニ佐賀は、今年3月31日まで「佐賀de学ぶ宿泊プラン~ものづくりの工場見学~」を実施中。味の素佐賀工場、ヤクルト本社佐賀工場、大塚製薬佐賀工場のいずれかを見学する。1泊朝食つき6500円(3人1室)からで、1万3500円からの2食つきプランでは、夕食に「地産地消の佐賀スペシャルメニュー」を用意。さらに、レイトチェックアウトやランチ10パーセント引きチケットなどの特典もある。 「モノづくりの面白さを伝えたい、というテーマと、たまたま当ホテルから車で30分圏内に大手メーカーの工場が複数あったため、このプランができました。以前から積極的に地産地消に取り組んできたので、地元の産業振興の役に立てればという意味もあります」(ホテルニューオータニ佐賀宿泊課、中野健一氏) 同プランは、基本的にはシニア層をターゲットにしているが、高校生の修学旅行や、夏休みの子どもの自由研究のためにファミリーで利用する例などもあるそうだ。リーズナブルな価格も人気の一因だ。 新横浜グレイスホテルの「大人の社会科見学プラン~工場見学~」は、キリンビール キリン横浜ビアビレッジ、味の素川崎工場、日産自動車横浜工場、東京電力横浜火力発電所など横浜・川崎エリアにある工場のひとつを見学するプラン。宿泊料金は、1泊朝食つきで4300円(4人1室)から。 また、食品メーカーではないが、昨今の「鉄道ブーム」を利用したプランもある。 大阪市の京阪電車が、昨年、ホテル京阪と琵琶湖ホテルとの共同で企画した、期間限定の「寝屋川車両工場見学付きホテル宿泊プラン」は、親子連れを中心に大好評。たびたび追加販売される人気企画だ。 京阪電車の寝屋川車両工場での車体点検や整備風景の見学、車両への乗車体験などに参加できる。 さらに、工場見学は、企業の株主優待にも取り入れられている。これまでは、商品券や自社製品などを株主にサービスするところが多かったが、各企業のよさをアピールしつつ、株主の興味を引く内容を考案する中で「工場見学」が生まれたようだ。 メーカーにとっては、一部ではあるが、製造工程を公開することによって「クリーンさ」や「企業・商品の強み」をアピールできる。また、現在の目の肥えた消費者もまた、企業および製品をよく知り、吟味できる機会となる。双方にとってメリットある仕組みなのだろう。(U) |
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