記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 食のトレンドを追う／2010年9月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| サラリーマンのモチベーションを上げる、社員食堂の工夫 | |||||||||||||
| |||||||||||||
| 昼は社員食堂、夜はイベント会場 | ||||
社名の由来は、「カフェに集う人たちが創りだす新しい動き」。楽しい空間の中でクリエイティブなことを生み出そう、という社風が、社員食堂「ｃｏｐｏｎ ｎｏｒｐ（コポン・ノープ）」に象徴されている。ちなみに、名前の由来は、「ｎｏ ｐｏｐｃｏｒｎ（ノー・ポップコーン）」のつづりを入れ替えたもの。 ｃｏｐｏｎ ｎｏｒｐでは、映画の試写会イベントなども行われる。 「映画を見ながらポップコーンを食べるのではなく、きちんとした食事をしてもらいたいという意味で、こんな名前になりました」（ｃｏｐｏｎ ｎｏｒｐアシスタント・マネージャー平湯耕路氏） 夜間は同社が配給したりＰＲを行う映画を上映し、映画を見ながらゆっくりと食事ができる大人の空間としての顔も持つ。 昼間の社員食堂の利用は限定１０名まで。社用で出かける社員も多いため、１０名という人数はちょうどいいそうだ。１食５００円で、ビュッフェスタイルの食事を楽しめる。飲食店が連なる場所から遠いため、休憩時間を有効に使えるという利点もある。 「コンビニの食事やファストフードばかりだと栄養が偏ってしまいます。安価で栄養バランスのよい食事を提供し、この場所での食事が楽しみになることで、イキイキと仕事をしてもらいたい、という会社の福利厚生に対する考え方なんです」（ｃｏｐｏｎ ｎｏｒｐキッチン担当の高梨裕彰氏） 人気メニューを中心に和・洋・中さまざまなジャンルの料理を、旬の野菜を取り入れて提供する。取材日は、グリルチキンのシーザーサラダ、フレッシュトマトとモッツァレラのカプレーゼ、自家製ピッツァ、ナスのアマトリチャーナ・リングイネ、スズキのアクアパッツァ、デザートにミックスベリーのブラマンジェと、本格的なイタリアンのコースを堪能した。縦長のテーブルを社員が囲み、お互いに近況報告や注目の映画の情報交換などを語らいながら食事をする。ダイエットなど気にせず、女性もおかわりをしていた。 「オープンキッチンからお客様や社員たちが喜んで食事をしている姿を見るのが楽しみで、もっとおいしい料理を作ろうという励みになります」（高梨氏） 社員用メニューとは別になるが、一般客も予約してランチやディナーの利用が可能だ。広く宣伝はしていないが、「あまり知られていないことが、逆に男性が女性を食事に誘うとき、穴場の店を知ってるんだよ！ というアピールポイントにもなるようですよ（笑）」（平湯氏） | ||||
| レシピ本がベストセラーヘルシー＆満腹社食 | |||||||||||||||||||
話題のヘルシーレシピを提供する食堂は、もとは同社の肥満解消のための施設「ベストウエイトセンター」の食堂だったが、施設閉鎖とともに１９９９年に本社の社員食堂に鞍替えした。 食堂自体のスペースは大きくなく、１日５０〜６０人が利用する。１食５７０円で、メニューは１種類の日替わりの定食のみ。理由は、３名の調理スタッフで仕込みから全て行い、エコを心がけて食材の管理を徹底し、残り物を出さないためでもある。 日替わり定食は、メイン、副菜２品、汁物、ご飯の５品で５００キロカロリー前後。「塩分ひかえめ」「夏バテ予防」など、２週間ごとにテーマに沿った定食が出る。１００〜２５０グラムの野菜を摂取でき、塩分は１食３グラム平均だ。 しかし、味気ない低カロリー食ではなく、調理の工夫で肉類や揚げ物も出す。例えば、肉類は豚肉の赤身や鶏肉のムネ、ササミなど脂身の少ない部分を使用する。魚を揚げるときは、キッチンペーパーで魚の水気をしっかり取り、粉が多量につかないようにして油の吸収を最小限にする。調味料や油は必ず計量スプーンではかる。焼き物は油を使わずなるべくオーブンで。酸味やスパイスを効かせたり、だしをしっかりとることで塩分が少なくてもおいしく味わえる。 野菜は固めに茹で、歯ごたえと食べごたえ、そして野菜本来のおいしさを出している。 「以前、外食と弊社社食とで咀嚼数を比べる取材がありました。外食では約７００回、弊社の定食では１２００回ほどだったそうですよ」（タニタ広報室・横田洋子氏） 実際に定食を食べてみたが、薄味ではあるが味気なさはない。むしろ、だしをしっかりとっていたり、丁寧な下ごしらえがなされていることがわかる。野菜の甘さや肉のおいしさなど、素材自体の味も楽しめる。量も適量で、お腹いっぱいになった。 「私も最初は、お味噌汁の味が薄いかなと思いましたが、すぐに慣れました。食事の概念が変わり、外食をしても『野菜をたくさんとろう』というメニュー選びになりましたね」（横田氏） 食事中の社員からは「４月に本社に異動してきて、８月初旬現在で３キロ体重が減った」「野菜をたくさん食べるため、風邪をひきにくくなった」などの声があった。１２キロ減量したという男性社員もおり、同社には、ぽっちゃり体型の社員はいても、肥満の人はいないとのこと。レシピは１週間に１度ホームページでも紹介している。 「弊社は、消費（運動）と摂取（食）のバランスを大切に、両面からのダイエットや健康づくりを推奨しています。この食堂のレシピを『摂取』の部分の参考にしてもらえたら嬉しいです」（横田氏） カフェグルーヴ、タニタともに「お昼の時間が楽しみで、仕事を頑張れる」という声があり、福利厚生の充実が社員に及ぼす影響の大きさを認識した。社員の健康と福祉を真摯に考えた社員食堂は、愛社精神と貢献度を高める重要なカギなのだろう。（Ｕ） | |||||||||||||||||||
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
