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いろいろ、エッセイ/2009年12月号 |
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「お客様都合の陳列」が出来ているか-武市 多美夫(パンを売り続けてきた男) いろいろ、エッセイ(36)
◆ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏は、「偉い学者とは、いかに多くのことを知っている人ではなく、知らないことがいかに多いかを知っている人のことを言う」と、学生に説いた。 奥深い言葉と感銘した。「学者」を「社長」や「上司」に置き換えて読むと、さらに解り易くなる。 ◆パンの売上がこの先どうなってしまうのか、という危機感を通り越して何時かどうにかなる、という諦めに近い雰囲気を最近多く感じる。 ◆私が尊敬する食品会社の社長と久しぶりに話す機会があった。 流れを変える方法は三つあるという。一つは、こちら(私)が変わること。二つ目は、そちら(あなた)が変わること。三つ目は、そこから逃げること、つまり関わりを断つ方法であるという。 ◆ほとんどの人が、そちら(あなた)を変えようとするが、その方法は好ましくないと社長は断定した。何故ならば双方打ち負かすことがメインとなり、戦うことだけが意味を持ち泥試合にはまり込むだけだからという。 望ましい方法は、こちら(私)が変わることと社長は力説する。 話を聞いて頭で理解したつもりだが、いざその場に出会ったら、こちら(私)を変えられるか確信は持てなかった。今でもそう思っている。 ◆三つ目の、その場から逃げる方法が最近多いという。自分ではなく誰かが遣ってくれるはず、という勝手な思い込みがエスカレートして、あなたが遣るべきに変わり、無関心のオンパレードになるケースが増えているという。 ◆俺が遣らなきゃ誰が遣る、と意気込んだ雰囲気を期待するのは時代錯誤らしいが、売上低迷のこの時、俺が遣らなきゃ誰が遣るという意識を持たなければ回復などあるはずがない。 ◆売上低迷が続いたある食品スーパーが社員の意識改革を徹底して行った。あなたがではなく、私が変わることを経営陣は最低規準として従業員に強く求めた。 意識が変われば行動が必ず変わる、という経営陣の強い信念は現実の姿として現れた。売上昨年15%アップという予想をはるかに超えた結果を生みだしたのだ。 ◆売上を上げる多くの方法を知っているだけでなく、未知の方法がまだまだあることに気付き、果敢にチャレンジすることが今ほど求められている時はない。 |



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