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| 特集／2007年12月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 顧客の理解を得ながら慎重に - ベーカリーの値上げの現状
小麦粉や油脂、乳製品、ドライフルーツなどパンの原材料の多くが軒並み値上げされ、リテールベーカリーでも、値上げせざるを得ない状況になっている。どのような形で値上げを実施し、また、実施しようとしているかについて、リテールベーカリーのオーナーらに話を聞いた。
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| 定番商品の上げ幅は特に慎重に決める - ポラリス[東京・三鷹市]
東京・三鷹市のベーカリー、ポラリスでは１１月７日に値上げを実施した。同ベーカリーは今年９月にオープンしたばかりで、オープン時にはすでに多くの原材料が値上げされていたことから、最初の値付けを、値上げされた原材料費を考慮して行った。しかし、その後もさらに原材料の値上げが続いたため、１１月７日に値上げを実施した。値上げ幅は平均すると約４％だという。全商品一律の値上げではなく、商品ごとに値上げ幅を検討した。
約１週間前から、「輸入食材、小麦粉、ドライフルーツ、乳製品などの値上げが続いているため」と値上げの理由を書いたはがき大のポップを何枚も用意し、店内の各所に貼り出して告知した。 オーナーの小倉孝樹さんは「お客様の購入頻度が高い商品、例えばフランスパンや食パンなどは、特に気をつかいました。こうした商品には、お客様が感覚的に受け入れられる限界の価格というものがあると、私は思っています。例えばフランスパンのバゲットやバタールだったら３００円が上限です」という。 「逆にサンドイッチ系の商品などは、もともと、原価の割に売値が低かったので、適正な価格にするという意味からも少し値上げ幅を大きくしています」 |
| 定番商品の多くは価格据置に - ベルドール[大阪・富田林市]
大阪・富田林市のべルドールでは、今年１２月中旬から来年１月にかけて、値上げを実施する予定だ。食パンやクリームパン、あんパンなどの購入頻度が高い定番商品以外の多くは、材料を再検討してグレードアップし、新しい商品として、値付けを適正に行うことで対応するという。
購入頻度が高い定番商品のうち、食パン以外のあんパンやクリームパンなどは、値上げはしない予定だという。 「多くのお客様がついている定番商品は、なるべく値上げしないようにと考えています。ただ、食パンだけは、どうしても値上げせざるを得ず、１斤２０円程度上げるつもりです」（オーナーの奥光義さん） |
| ネット販売もあり、作業に手間が - アルル[東京・豊島区]
東京・豊島区の個性パン創造アルルは、１１月１７日の時点でまだ値上げは実施していないが、現在その準備中だ。
「店売りだけだったら、作業は楽なのですが、当店の場合はインターネット販売もしているので、結構大変な作業になります」とオーナーの林春二さんはいう。 「小麦粉から、油脂、ナッツ類、ドライフルーツ類、包材まで軒並み上がっているのでやはり値上げせざるを得ません。材料をもう一度検討して吟味し、正確な原価を計算して、決められた適正な粗利になるようにしたいと思っています。平均すると１０〜２０％程度の値上げになると思いますが、ものによっては値下げになるものもあるかも知れません。新聞、テレビなどで、値上げせざるを得ない状況はかなり報道されているので、お客様の理解は得やすいと思っています。『おたくはまだ値上げしないの』などと、お客様から言われることもあります」（林さん） 値上げする際の告知は、インターネット販売では、その理由と値上げの内容をわかりやすく告知し、店売りの方は、特別店内に貼り紙はぜずに、来店した顧客に直接口頭で説明するつもりだという。 |
| 仕入れ方法の再検討も - ルチア[千葉県・市川市]
千葉県市川市などにベーカリー４店舗を展開するルチアは１１月１日に値上げを実施した。それまでも、商品の入れ替えを積極的に実施し、入れ替えた新商品については、上昇後の原価から価格を決定してきた。
１１月１日の値上げでは、あんパンやあんドーナツなど従来からある定番商品の一部について５〜１０％の値上げを実施。 同ベーカリー社長の渡辺宏さんは「『２０円の値上げ』というと、お客様の印象としてはかなり上がったということになってしまうので、やはり１０円前後が限度だと思いました」という。 値上げする日の２週間前から、レジのところに、値上げを実施することと、その理由を書いたポップを置いて、顧客に告知したという。 １２月１日には、まだ値上げしていない食パンなどの定番商品についても、値上げを予定している。 「これからは、いいものを安く提供するためには、仕入れの方法も再検討していかなくてはならないと思います。いい材料があったら、それを大口で少しでも安く仕入れて、その材料を活かすための、全店共通の商品を開発する、ということも大事になってくると思います」（渡辺さん） |
| 値上げした商品は付加価値を上げる - パンドナノシュ[神奈川県・茅ヶ崎市] | |
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神奈川県茅ヶ崎市のパンドナノシュは、１０月１３日にリニューアルオープンした際に、一部商品の値上げを実施した。
値上げした商品は、菓子パンなどで、コンビニなどでも品揃えが充実している商品群だ。食パンやバターロール、フランスパンなど、同ベーカリーが「うちでしか買えない品質」と自負する商品については、値上げを見送った。 値上げした商品の値上げ幅は平均して１０％程度。 同ベーカリーオーナーの関谷勝美さんは「移転してのリニューアルオープンと同時だったので、いいタイミングだったと思います。リニューアルと同時に出した新商品は、直近の原価を考えて値段を決めているので、問題ありません。値上げと同時に、原材料自体の見直しもしました。材料をさらにいいものにした商品も多くあります。例えば、クロワッサンは、折り込み油脂をシートバターから発酵バターに変えました。値上げしたら、お客様にとっての価値がその分上がるようにと心掛けました」と話す。 |
| ２年前以前から販売している商品に限定 - 高原のパン屋さん[長野県・南佐久郡]
長野県南佐久郡の高原のパン屋さんでは、今年１２月１日に値上げを予定している。
「ここ２年ぐらいで出した商品は、価格をすべて高めに設定してあるので、値上げせず、それ以前からやっている食パンや菓子パン、焼き込み調理パンなどを、値上げしようと思っています」とオーナーの品田宗久さんはいう。 値上げ幅は平均して１０％前後。１００円前後の商品は１０円、２００円前後の商品は２０円の値上げを考えているという。 |
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