トラディショナル・ブレッドを提供する - ポラリス - ブランスリー電子版


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お店拝見/2007年10月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


トラディショナル・ブレッドを提供する - ポラリス

パンの売り場は、照明が落としてあって、パンだけに光を当てることで、独特の雰囲気を出している。
住所:東京都三鷹市下連雀4-15-41
電話番号:0422-76-1588
営業時間:午前10時~午後7時
定休日:年中無休



パンの美術館のような雰囲気

カフェでは、パンが食べ放題の「ランチブッフェ」が人気だ。


フォカッチャ生地に様々なトッピングを施した商品は、かなり頻繁に焼き上げる。


小倉孝樹さん(右)と店長の松村徹さん。松村さんは「店の雰囲気に負けないようなパンを作っていきたい」と話していた。


厨房は、レジに並ぶ客から見えるようになっている。
 JR中央線・三鷹駅南口を出て、商店街を10分ほど歩き、商店もまばらになり始める場所に、ポラリスはある。通りから少し奥まったビルの入り口に「Polaris」のロゴ。ガラスばりの壁にはモノクロのパンの写真のパネルが何枚も掲げられていて、「美術館」のようでもある。中を覗き込むと、カフェで楽しそうにパンを食べている人たちの姿で、「ベーカリーカフェ」とわかる。さらに、その奥のスペースには、パンがたくさん並んでいて、「ベーカリー」でもあることがわかる。9月8日にオープンしたばかり。総責任者は、東京・立川市で「ベーカリー・カフェ ムッシュイワン」の総指揮をとる小倉孝樹さん(取締役最高執行役員)だ。小倉さんにとって、ポラリスは、2店舗目の出店だ。
 「『ムッシュイワン』は、私の師匠で、パン作りの根本を教わった『福田のおやじ』(日本のパンの基礎を築いたとされる故福田元吉氏)から教わったた技術を実践し、後世に伝えていくことが目的の店です。今回オープンしたポラリスでは、その基本をベースにして、自分なりの新しい色を出していけたらと思っています。新しいことにチャレンジしていく場にしたいと思っています」
 ポラリスの陳列スペースでは、照明を落とし、パンだけに光を当てることで、劇場で舞台にスポットライトが当たっているような効果を出した。
 厨房とパンの売り場がそれぞれ約15坪、カフェが20席で約20坪。
スタッフは厨房が常時5人、売り場とカフェが常時3~5人の体制。初年度の売上目標は1億円だ。



マナー違反の客には毅然とした態度で

店舗正面のガラスばりの面には、パンのモノクロ写真のパネルが掲げられている。


故福田元吉氏が作っていたものを忠実に再現した「バタール」(250円、左)とライ麦粉を5%配合した「バタールポラリス」(290円)


ドライパイナップルとココナッツが入った「パイナップルココ」(210円)


ドライパイナップルとココナッツが入った「パイナップルココ」(210円)


「マンゴーメロンパン」(180円)。メロンパンは日替わりで違う商品が出る。


ドライトマトとオーリブを練り込んだ「ファルファンラポモドーリ」(200円)


店の一角にはワインがさりげなく陳列されていた。
 小倉さんは、パン作りは、粉の味と香りを引き出すことに尽きると感じている。
 小倉さんが師と仰ぐ故福田氏は、香りを引き出すために、小麦粉と種の研究に熱心だった。「1に粉、2に種、3に技術」が口癖だった。「いい粉を見つけて、その特徴を引き出してやることが大事だ」といつもいっていたという。
 「インターネットで、うちの店を批評しているブログなどをよく見つけます。この間、当店のパンについて『長時間発酵だからこういうパンになる』と書いていた人がいました。まさにその通りです。最近は多くのベーカリーが長時間発酵をとり入れていますが、発酵の根本がわかっているかどうかで違いが出てくるように思います。また、丸めや成形などの基本的な技術一つ一つが積み重なって、最終的なパンができるわけですから、我流でやっている人と、基本を叩き込まれた人との差は大きいのだと思います」
 ポラリスでは、長時間発酵による深い味わいの食事パンを強烈に打ち出し、さらにスイーツパン(ヴィエノワズリーや創作菓子パン)なども積極的に作っている。
 カフェのスペースでは、午前11時から午後2時まで、ランチブッフェを提供している。コーヒーと日替わりのスープ、パンがついて840円。パンは食べ放題だ。
 「子供だけでテーブルを占有してしまったり、走りまわって騒いだり、お母様が子供にパンを好きなだけ食べさせるためだけに来店したりするケースが見られたので、あくまで、ゆっくりとくつろげる空間を提供することが目的なので、カフェを利用する際のルールを書いた貼り紙を出しました。ほかのお客様に迷惑になるので、マナー違反をするお客様には毅然とした態度で臨むことが最良の策です。事実、貼り紙を出してからは、マナー違反のお客様はかなり少なくなりました」
 小倉さんは、立川のムッシュイワンで、パンについてのカルチャースクール的なイベントを定期的に開いてきたが、ポラリスでも積極的に行っていきたいと考えている。
 「例えば、ワインの先生をよんで、ワインと当店のパンを味わいながら、ワインについての知識を深めていただく『ワインの夕べ』みたいな企画をやっていきたいですね。それと、クラシック音楽の生演奏を聴きながら食事会なんかもいいと思います。地元の人たちとの交流を深めながら、食について共に勉強していけたらいいなと思っています」



陶芸の展覧会のよう

取材メモ ポラリスのパン売り場は、カフェスペースの奥にあり、照明をぐっと落して、陳列台に並ぶパンにスポットライトを当てている。ほとんどが陳列棚ではなく陳列台だ。普段慣れ親しんだベーカリーの売り場とは違った雰囲気で、趣味のいい陶芸の展覧会をみているような心持になった。通常のパンの概念に加えて、美術品が持つ「気品」「気高さ」のようなものが、陳列されているパンに付与されているように思えた。当たり前のこととして受け入れられてきたベーカリーについてのセオリーが、実は思考を停止させる障害になってはいないか、ということを再認識させられた。

原価計算女王
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