
陳列台には、約10品目のベーグルが所狭しと並んでいた。販売は対面で行う。

7種類の穀物とイチジクが入った「セブングレインハニーイチジク」

ポピーシードを表面につけた「ポピー」

ベーグル自体の味わいがストレートに伝わってくる「プレーン」

岩塩をトッピングして焼いた「岩塩」
稲木さんは大学を卒業して、企業に就職したが、どこかで「自分が本当にやりたいこと」を探していた。あるとき、ふと頭に浮かんだのが、大学生活の最後に行ったアメリカ旅行中に、ニューヨークで初めて食べたエッサベーグルだった。
稲木さんの中で、鮮烈なイメージが浮かび上がった。
「再びニューヨークに行って、エッサベーグルで働いて、技術を覚えて、日本で自分のベーグル専門店を出す、というイメージが、自分でも信じられないくらい鮮明に浮かんできたんです」(稲木さん)
お金を貯めて、再びニューヨークへ向かった。もちろん目的地はエッサベーグル。女性のオーナーと話をして、1年後にまた来たときに働かせてもらう、という約束を取り付けた。
「エッサベーグルでは、とてもよくしていただきました。皆さん、もう何十年と経験を積んでいる職人さんなのに、『ここはこうした方がいい』とか『こんなやり方でやったら、もっとうまくいった』などと、常にいろいろなことを考えています。畏敬の念が自然と沸いてきました」(稲木さん)
自分の店を出すに当たっては、材料にこだわった。国産の小麦粉を使うことにした。それに合う酵母ということで、ホシノ酵母を採用した。
「ニューヨークとは、水も粉も違います。日本の材料を厳選して、教わったエッセンスをベースにしながら、自分なりのベーグルを作っていこうと考えました。出店するに当たっては、色々な人に助けていただいて、本当に感謝しています」と稲木さんは振り返る。
マルイチベーグルでは、仕込む生地は大きく分けて4種類。「プレーン」と、きびやアマランサス、ライ麦、コーンミールなど7つの穀物と、はちみつが入った「セブングレインハニー」、シナモン、レーズン、はちみつが入った「シナモンレーズン」、ブルーベリーとはちみつが入った「ブルーベリー」の4つだ。
アイテム数は、プレーンのベーグルに岩塩をトッピングした「岩塩」(200円)や、ポピーシードをまぶした「ポピー」(200円)、セブングレインハニーの生地にイチジクを練り込んだ「セブングレインハニーイチジク」(250円)などおよそ10品目。
「今後の抱負ですか。やりたいことはたくさんあります。それらをこの小さなスペースでどうやって実現していくかをいろいろと考えています」