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業界アンテナ/2007年5月号 |
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日本固有の発酵種「ホシノ・ルバン」
昨年4月に、スタートを切った新生ホシノ天然酵母パン種。このほど、町田第二場を新設し、生産力の増強を図るなど、業績は好調だ。新体制になってからの新たな動きや、今後の展開などについて、川又研三社長と、土田耕正技術部長に話を聞いた。
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広がるパン種の応用範囲
――昨年4月に新体制になってから、ほぼ1年が経ちますが、何か新しい動きはありましたか?
川又 創業者の星野昌氏、星野益男前社長が長い間培ってきた技術やお客様との信頼関係をベースに、いろいろなパンへのパン種の応用などが加わって、可能性が広がったと思います。 お蔭様で、ホシノ酵母の出荷量も伸びていて、生産能力を強化する目的で、このたび、町田第二工場を新設しました。本社工場からほど近い場所です。もともと食品加工工場だったところで、建物の造りがかなり頑丈です。 ――町田第二工場の概要を教えてください。 川又 2階建てで、延べ床面積は800平方メートルです。1階が工場で、2階が事務所になっています。生産能力は、ずいぶん大きくなりました。パン種の製造方法は、従来とまったく変わっていませんが、衛生管理の部分が以前にも増して向上したと思います。また、パン種の品質がさらに安定したと思います。 ――ホシノ酵母パン種の需要が伸びているとおっしゃいましたが、その理由をどのように分析していますか? 川又 一般の人たちの間で、ホシノ酵母の認知度が上がってきていると思います。自分でホシノ酵母を使ってパンを焼いている人が、パン屋さんに行って、ホシノ酵母のパンを見て、購入して食べ、また自分で作る、という好循環が生まれているのではないかと思います。 また、昔からのユーザー様の使用量も増えていますね。理由のひとつには、2年前に発売したホシノ小麦粉種が浸透してきたことがあると思います。 ホシノ小麦粉種は、小麦粉と合わせて発酵させ、流動性のある発酵種を作るための製品です。「ホシノ・ルバン」と呼んでいますが、これが非常に使いやすいんです。パン生地に20~30 %入れることで、ホシノ酵母のパンが持っている独特の旨みが簡単に出せるんです。 ホシノ・ルバンストレート法、ホシノ・ルバン中種法などいろいろな使い方があるので、商品のキャラクターに応じて使い分けが可能です。従来のホシノ酵母のユーザー様が、従来のホシノ酵母パンに加えて、このホシノ・ルバンを使った新しい商品を開発されて、販売されるケースも増えていると分析しています。 さらに、これまで、イーストの配合だけでやってきたベーカリー様が、私どもの酵母を使ったパンを品揃えに加えるケースも増えています。これまでのレシピにホシノ・ルバンを加えるだけでできるので、導入しやすいのが大きな理由だと思っています。 ――ホシノ・ルバンは画期的な商品なのですね。その特徴についてさらに聞かせてください。 土田 ホシノ・ルバンは、ホシノ小麦粉種の生種と小麦粉、水などを混ぜ合わせて、長時間発酵させて作る液種です。穀物酵母、麹、乳酸菌の作用で作り出されるホシノ酵母パンの独特の味がぎっしりと詰まっています。ルバン種にありがちな酸味が少ないのが特徴です。 このホシノ・ルバンを本捏ねの時に20~30%加えます。ストレート法や中種法などの配合・工程がありますが、いずれの場合も、焼き上がったパンに「熟成の旨味」が付加されるので、商品グレードアップのお役に立つものと思います。 十分に水和した発酵液であるホシノ・ルバンを入れると、パンの日持ちがよくなるというメリットもあります。また、製造時間を短縮し、改良剤などを入れなくてもいいパンができるので、無添加パンが作りやすくなるのもポイントだと思っています。 ――ホシノ・ルバンに向いているパンはありますか? 土田 食パンやハード系などの食事パンはもちろん、菓子パンやデニッシュなどあらゆる種類のパンに使えます。 デニッシュやクロワッサンなどの生地に使用すると、生地の伸びがよくなって、きれいな層が出るようになります。折り込みの作業性も向上します。 その他、丹沢酵母をべーグルに使用して成功されている店もあります。本家アメリカのべーグルとは、一味違った後味のいい、独特のべーグルができるんです。本家アメリカの本格的なベーグルは、おいしいのですが、日本人には少し食べづらいという側面があると思います。丹沢酵母を使うと、日本の食文化に適合したベーグルが出来るんです。 ――今後の新たな展開は何かありますか。 川又 まだ発表はできませんが、新商品を開発中です。 それと、ゆくゆくは海外の展示会などにも参加し、パン種の輸出も手掛けていきたいと考えています。 土田 フランスのルバン種、ポーランドから派生したといわれているポーリッシュ種、米国のフラワーブリュー法など、世界にはいろいろな発酵種がありますが、ホシノ・ルバンを日本の食文化から生まれた日本の発酵種として、世界に向けて発信していければいいなと考えています。 ホシノ天然酵母パン種 創業は1951年。麹を使用するなどして、日本の醸造技術をパン種製造にとり入れ、「ホシノ天然酵母パン種」の商品名で製造販売してきた。星野益男・前社長の時代に、フランスパン用や菓子パン用の種などを開発・発売し、販売量を伸ばした。2006年4月に、製パン製菓機械大手のレオン自動機が事業を引き継ぎ、新体制でスタートを切った。問い合わせの電話番号は、042‐734‐1399。 |


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