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業界アンテナ/2007年3月号 |
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商品に合った包装材の大切さ
ベーカリー運営に欠かせないもののひとつに、包装資材がある。店名やロゴが入った個性的なレジ袋は、販促のツールにもなる。
ベーカリーの包装資材市場の現状や課題について、ベーカリーや菓子店の包装材を専門に扱うサンパックエイティの伊藤昭社長に聞いた。 |

包装材は個性を演出する手段 | |
―――ベーカリーで使用する包装資材にはどんなものがありますか?
伊藤 素材別にいうと、まずPP袋があります。ポリプロピレンという素材で作った袋です。例えば食パン用の袋は、ほとんどの場合PP製です。PP製の袋は、製袋用の規格が、筒状になっていて、製袋する際にマチがつけ安いという特徴があります。食パンのように立方体や長方体の商品の場合は、食パンのサイズに合わせてマチをつければ、ぴったりと袋に収まるという利点があります。これに対し、OPPと呼ばれる素材があります。単価は少し高いのですが、透明度が高くフィルムの張りがあるので、クッキー、ラスク、焼き菓子などの商品の高級感を出したい場合に適しています。 ―――そのほかにはありますか? 伊藤 店のロゴなどを入れて、よく使用される、レジで商品を入れて渡すための袋があります。いわゆるレジ袋といっているものです。レジ袋には、持ち手の部分が楕円形にくり抜かれているアームバッグと、スーパーやコンビニなどで使用しているタイプのイージーバッグがあります。材質はフィルムが薄くても強度があるHDPE(ハイデンポリ)が一般的に使用されています。 アームバッグの場合、多少単価は高いのですが、フィルム自体に着色し、ロゴなどを印刷することで、お店のイメージカラーを作ることができます。 ―――ベーカリーが包装材を購入するルートにはどんなものがあるのですか? 伊藤 PPやOPPから包装材の材料を作るようなメーカーは、最小ロットがかなり大きいので、直接発注をかけることはよほど大規模なベーカリーでない限り無理です。そこで、間に入って在庫を持ち、小ロットでも買えるようにする業者が必要になってきます。こうした業務を行うのが、私たちのような会社であるわけです。問屋が、私たちのような包装材を専門に扱う会社とベーカリーの間に入って販売するケースもあるようです。 ―――ベーカリーの場合、包装材は、売上に対して何パーセントぐらいかけるのが目安なのでしょうか? 伊藤 それこそ、オーナーの考え方によるところが大きいのですが、平均的なところでいうと3~5%ぐらいのケースが多いのではないかと思います。 ―――サンパックエイティさんの商品やサービスのセールスポイントは何ですか? 伊藤 私たちは、なるべく小ロットで、いろいろな包装材をお届けできるようにと努力しています。また、ベーカリーの場合は、個性を大切にするケースが多いので、その要望を実現できるようにいろいろと提案をしています。 ―――具体的な提案内容は? 伊藤 既製品と特注品をうまく使い分けるということです。最も多いのは、レジ袋だけは、店名やロゴを印刷して、オリジナルのものを作り、それ以外は既製品で済ませるというパターンです。印刷をかけるとなると、3万枚ぐらいが一般的なロットなのですが、当社の場合は1万~1万5000枚のロットでも引き受けています。特に新規開店の場合は、パンがどれくらい売れるものかと、不安に感じているオーナーさんもいらっしゃいますから、なるべく負担を軽減できるようにさせていただいています。 よく、経費をできる限り抑えたいということで、レジ袋も含めてすべて既製品でやりたいという方がいらっしゃるのですが、そういう方には、せめてレジ袋だけは、オリジナルのものにすることを薦めています。そうしていただくためにも、私たちは、通常よりも少ないロットで印刷ができるようにさせていただいているんです。 ―――包装材を通して、多くのベーカリーと付き合ってこられた経験から、包装材にについて何か提言はありますか? 伊藤 商品に合った包装材を使っていただきたい、ということにつきます。以前あった話なのですが、生クリームや色鮮やかなフルーツで立体的に飾り付けたデニッシュを、フードパックに入れて持って帰ってもらっていたのを、ある日、一人のお客様から「過剰包装だ」といわれたらしく、包装材を袋に切り替えたんです。つぶれたケーキと同じことになって、瞬く間に、その商品の売れ行きが悪くなってしまったそうです。もし、経費節減という意味もあったとしたら、節約するポイントを間違えてしまったということだと思いますね。同じ包装材でも、ほかに節約するところがあったはずだと思うんです。これから店を出そうとする、特に若い人たちは、自分のパンに対するこだわりが強く、包装材にもこだわる人も多いと思います。店の内装などと同じく、包装材も、ひとつの表現手段であるわけですから、そうした人たちの要望にできる限り応えていけたらと考えています。 ―――包装材の新しい傾向はありますか? 伊藤 地方への宅配便での発送が多くなってきています。例えばPP袋でも、地方の場合、東京と比べてまだ価格が高かったり、最小ロットが多かったりして、送料を入れても価格的メリットが出るケースがあるみたいなんです。 ある特定の包装材を月1回とか2カ月に1回とかの頻度で、定期的に注文していただけるお客様が多くなってきました。納期的にも、お急ぎの場合、午後の受注でも当日に出荷いたしますので、大体翌日には到着します。 今後はこうしたニーズをシステマチックに吸い上げられるような仕組みを作っていきたいとも考えています。インターネットをうまく使えば、何か新しい仕組みができるんじゃないかなという気がしています。 サンパックエイティ ベーカリーと洋菓子店の包装材を専門に扱う。創業は1980年。顧客のほとんどが、小規模製造小売の業態で、「個性を包装材でいかにして表現するか」をテーマに様々な提案を行っている。顧客に在庫の負担をなるべくかけないようにと、できる限りの小ロットでの対応が売りもののひとつだ。問い合わせは、電話 03‐3718‐6562へ。 |



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