パンのネット販売 - ブランスリー電子版


ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
特集/2004年11月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


パンのネット販売

世の中はネット社会に向かってまっしぐら。否応なしに社会の仕組みをよくも悪くも変えつつある。ベーカリーの世界でも、普及したネットインフラを最大限に活用し、新たな商売の形を作り出そうという試みが目立ってきた。



ネットの力はすごいと感心した。パン好きが集まるネット空間 - パンダーチザンニコラ http://www11.ocn.ne.jp/~nicolas/

ドイツセット(右側の商品群)とヨーロッパセット(左側の商品群)


ドイツセットの中のフォルコンブロート、ベルリーナランとブロート、マンデルブロート
ネットコミが威力を発揮する。
「最初は、パンをネットで販売することには抵抗があったのですが、お客様からの要望が多くて、1年前に始めました。実際にやってみると、ネットの力はすごいなと感心しました」
こう語るのは、茨城県水街道市のベーカリー、パンダーチザンニコラの杉山洋春オーナーだ。
同ベーカリーでは、リュスティック、フリュイ、パンドミ、フーガスなどが入った「フランスセット」、ラスク、フォカッチャ、ソーダブレッドなどが入った「ヨーロッパセット」、フォルコンブロート、ベルリーナラントブロート、ゼーレンなどが入った「ドイツセット」の3セットについてネット販売をしている。価格はいずれも1200円。
このほか、月に1~2回の頻度で、「特別限定セット」を販売。こちらの方の商品は、そのときによって変わる。価格はセットの内容によって変わるが、2000~3000円。
杉山さんによると、口コミならぬネットコミが大きな力を発揮するのだという。
「パンが好きで、しかも自分のホームページを持っている人が多いようです。また、ホームページは持っていなくても、パン好きの人たちが集まるサイトの掲示板への書込みを楽しんだりしている人たちがすごく多いんだなと思いました」(杉山さん)
そうしたネット上のコミュニティーでは、情報がすごい勢いで伝わるのだという。「誰か1人が当店のパンを注文して、それを気に入っていただけると、その方がネット上でその情報を発信し、それが一気に伝わっていくんです。ただ、悪い評判はいい評判よりも更に早く伝わるので注意しなければなりません」。
同ベーカリーをインターネットで初めて知ってパンを何回か注文し、「ネットでは買えないパンも食べたい」といって遠くから実店舗にわざわざ買いにくる人もいるという。

特別限定セットが人気を集める。
ネット販売ではメールが顧客とのコミュニケーションツールになる。同ベーカリーの場合、注文を受けたことを確認するメールをまず出す。それに対して顧客が返事のメールを送ってくることが多く、それに対してさらに返信する。商品が顧客に届くとお礼のメールが送られてくることも多く、その返事のメールも必ず送る。「メールでお客様とやり取りしてきたのが良かったのかも知れないと思っています」と杉山さん。
パンダーチザンニコラの現在のネットでの月刊販売額は20~30万円。
特に「特別限定セット」は人気が高く、発売間隔が長くなると、「次はいつですか」と催促のメールが多く入ってくるそうだ。10月20日発送の特別限定セットは、4日間の受付期間で60セットの注文があったという。
毎週火曜日が、通販のみの日で、1週間分の注文をまとめてその日に焼き上げ、その日のうちにパッキングして発送する。「特別限定セット」がある週の火曜日はとにかく忙しい。



新たな販路を開拓しようと実験的に約1年前にスタート - パン屋ラスク http://www.panya-rusk.com/


商品が破損しないように厳重にガードされて送られてくる。


「お試しセットは」はシュガー、ガーリック、シナモン各1袋ずつ。


「シュガー&ガーリックセット」(シュガーラスク3袋、ガーリックラスク2袋、1785円)


左から、シュガーラスク、シナモンラスク、ガーリックラスク。
ニッチ商品が向いている
パン屋ラスクは、ラスクのネット販売に特化したオンラインベーカリーだ。新たな販路を開拓しようと実験的に約1年前にスタートした。
運営するのは東京・新宿にある「サンロイヤル四谷店」というベーカリーだ。
パン屋ラスク責任者の戸田昌宏さんは、ラスクに特化したことについて「ネット販売のセミナーに参加すると、インターネットにはニッチ商品が向いていると聞きます。品質保持の観点からも向いていると思いました。それと味です。実店舗でも販売しているのですが、評判がよく、自分で食べてとてもおいしいと思います」と説明する。
ネットで販売している商品はシュガーラスク(1袋399円)、ガーリックラスク(1袋399円)、アーモンドラスク(1袋420円)、シナモンラスク(5袋1890円)の4種類。販売はシュガー、ガーリック、アーモンドが1袋単位で、それぞれ5袋、10袋が入ったセットや、「シュガー&ガーリックセット」(シュガーラスク3袋、ガーリックラスク2袋、1785円 )がある。シナモンラスクは5袋単位。このほか「お試しセット」(シュガー、ガーリック、シナモン各1袋、1200円、送料込み)もある。
現在の売り上げは、月商10万円弱。少しずつだが伸びてきている。

梱包には最大限の注意を払う。
最も気をつかっていることのひとつは、梱包だ。ラスクという商品の性格上、配送の途中で破損しないかと心配だった。
郵便局のゆうパックを利用しているが、戸田さんは、さまざまな方法で商品を梱包し、実際に発送してどういう状態で届くかを何回も実験してみた。
「最初に実験したときは、ラスクが箱の中で粉々になっていました。何回かやっているうちに『これならまず大丈夫』という梱包方法が分かりました」と話す。
最近、メールマガジンを始めた。ホームページで購読を申し込んできた人や、懸賞サイトに参加して、応募を受け付ける際にメールマガジンの配信を希望した人などを対象としている。
「例えば、メルマガにクーポン番号を書いておいて、ラスクを注文していただく際に、その番号を入力すると何らかの特典があるというふうにすれば、お客様との交流も生まれるのではないかと思っています。とにかくお客様とのやり取りのツールにしたいと思っています」(戸田さん)

顧客との向き合い方が違う
実店舗とオンラインショップとの違いの一つは、顧客との向き合い方だ。
戸田さんは「ネットではメールがお客様とのコミュニケーションツールになるわけですが、実際は何か意見があってもメールを送っていただけるケースは多くありません。その点、実店舗ならば、言葉を交わさなくても、しぐさや表情などである程度お客様がどう思っているかが分かるのですが」という。
目標は月商100万円。「ネット販売のセミナーに行くと、とにかく100万円が最初の目標といいます。そこまでいけば、次の展開が多き広がってくるといいますから、とにかくそこを目指して頑張りたいと思います」



原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. 業務用冷凍パン通販サイトをオープン - パンフォーユー
  2. 美味しさと計画生産 - ツジ・キカイの山根証社長
  3. 直営店事業にも注力 - ダイユーの星野社長と吉田専務
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら