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| 連載／2022年6月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| パン屋で独立するなら居抜き、事業承継もいいかも知れません。その極意について考えてみました。 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(60) | |||||||
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今月号の特集は、「居抜き、事業承継でパン屋を始める」のテーマでの取材をしました。日本の全企業数に対する中小企業数の割合は、99％以上とされ、中小企業の動向が日本経済の未来を大きく左右するといっても過言ではありません。こうした中小企業が抱える問題の一つが、社長の高齢化に伴う後継者問題です。
これはリテールベーカリーの世界でも同じで、多くの店がそれなりの売上を維持しながら、後継者がいないという理由で、廃業を余儀なくされていると聞きます。 今回の特集では、それなりの優良店でありながら、営業を続けられなくなった店を引き継いで、自分の店としてリニューアルオープンし、独立を果たした若きブーランジェ２人の物語ですので、是非参考にしてください。 さて、仮に個人事業主として、リテールベーカリーを経営してきた人が、歳をとったなどの理由で、血縁者以外の誰かにそのベーカリーを引き継いでもらうときに、一番の問題となるのが、店に備え付けられた製パン機械や厨房設備をどのような扱いにするかだと、あるパン業界の有識者から聞きました。 いわゆるベーカリーの居抜き物件と言われるものですが、多くの場合は店を引き継ぐ人が買い取ることになるといいます。もし、スケルトンの状態の物件を借りて、一から製パン機械や厨房設備を自分で揃えるとしたら、たとえ中古の機械を中心に購入したとしても、それなりの費用は掛かるので、その半分や３分の１、あわよくば10分の１の価格で、厨房が完成するのであれば、かなりのメリットになるのではないかと思います。ただ、この場合は、機械が故障した場合などは、すべて自分で修理代などを負担しなくてはなりません。 ベーカリーの居抜き物件の場合は、店のオーナーと物件のオーナーが別の人物である場合と、同一人物である場合がありますが、製パン機械と厨房設備の所有権については、それが店を引き渡す立場の現オーナーのままということはほぼ皆無で、店を引き継ぐ立場の新しいオーナーが買い取るか、贈与を受けるかのいずれかだと思います。贈与を受ける場合は、製パン機械と厨房設備に資産価値が残っている場合は、贈与税が発生するかも知れません。 ベーカリーとして一定期間営業してきた店舗物件を引き継ぐもう一つのメリットは、そのベーカリーについているリピーターも同時に引き継げるということです。 ただ、ここで問題となるのが、前の店の雰囲気や品揃えをどの程度踏襲していくかでしょう。店のコンセプトや品揃えを全く変えずに、前の店がそのまま続いているという印象が、顧客に伝われば、前の店の客をそっくりそのまま取り込めるかも知れません。しかしそれでは、新しいオーナーの自己表現としては、満足のいくものにはならないでしょう。 私は、ここがポイントだと思います。つまり、スケルトンの物件を借りて、ゼロから店づくりをしていくのも十二分に楽しいと思いますが、世の中に対してすでに存在し、価値を提供している店を引き取って、すでにある価値と、自分が新たに創造しようとしている価値の両方を、その相互作用によって最大化するように仕向けて行く仕事は、もっと楽しいのではないかと思うのです。 個人事業主から個人事業主への事業承継は、法人の場合のそれと比べれば、それほど複雑なことはないと思われますが、機械設備を売れば、所得税が発生するでしょうし、機械設備の贈与を受ければ、贈与税が発生するでしょうし、その辺のところは、特に事業承継に限った話ではないのだと思います。ただ、経営承継円滑化法という法律があって、事業承継する際に税制上の様々な優遇措置などが用意されていますので、担当の税理士さんなどに相談してみるといいと思います。（ＲＯ） |
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