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特集／2017年3月号

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コンビニのパン徹底調査 - ライバルの現状を知ろう！

リテールベーカリーの競合のひとつとして、コンビニをあげるベーカリーのオーナーは多い。今回は、コンビニ大手２社のパンを調査してみた。

セブン‐イレブン

「金の食パン６枚入り」（税抜２３８円）

ミルク風味と甘味の強さが最大の特徴の「金の食パン６枚入り」

窯から出てすぐに販売できない欠点を補うための様々な工夫がみられる。レンジでの加熱の提案はそのひとつだが、未解決の問題もあるようだ。

金の食パン６枚入り(税抜238円)

ミルク風味と甘みの強さが最大の特徴

　２０１３年の発売と同時に、それまでの低価格路線を打ち破る商品として話題となった「金の食パン」（税抜２３８円）。
発売から４年の間でリニューアルは何度か行われているが、昨年から、フランス産発酵バターを使用するようになるなど、セブン‐イレブンの自主企画商品の中でも、ワンランク上を行く商品として、さらに磨きがかけられている。
　パッケージも、昨年のリニューアルで商品名を象徴する金色に変更された。実際、セブン‐イレブン店舗のパンコーナーで、その金色の袋は一際目を引き、商品に対する自信の強さが感じられた。
　袋を開けてみると、イースト臭はなく、ほのかにミルクの香りがする。使用材料は、小麦粉、乳製品、砂糖、乳等を主要原料とする食品、バター、発酵種、食塩、パン酵母となっている。
　そのまま焼かずに食べてみると、ややきめが粗くしっかりとした食感で、甘味とミルク風味が強く、食べ応えがある。角型でなく山型だが、耳を含め、全体が均一的な食感と味に感じる。
　トーストすると、先ほどの印象が大きく様変わりし、食べ応えの無さを感じてしまうほど、ふんわり軽い食感となる。口どけの良さは、そのままでも焼いてもほぼ変わらない。
　同商品の最大の特徴として感じられたのは、ミルク風味と甘味の強さ。そのため、毎朝の朝食に食べることを想定してみると、トッピングを工夫してみることが必要かと思う。
　例えば、シンプルにバターを塗ったり、ベーコンエッグなど塩気のあるおかずと合わせてしまうと、ミルク風味と甘味が、それらとけんかしてしまうような気がした。
　購入当日、開封したてであれば、焼かずにそのまま、そして何も塗らずに、お茶やコーヒーなどの飲み物と一緒に食べるだけで十分満足のいく味になる。変化を味わいたい場合は、ジャムを塗ればミルク風味が活かされてリッチな味わいが楽しめる。
　生のイチゴとヨーグルトをサンドしてみたところ、かなり絶妙な味のフルーツサンドとなった。ミルク風味や甘さが、イチゴの酸味や香りを引き立たせ、デザートを食べているかのような完成度の高い一品となった。イースト臭がないことも、フルーツとの一体感を生んだ要因だろう。
　フルーツサンドに向くことが分かった一方、意外な組み合わせとして、甘めのチャーシューとの相性が良いことも分かった。チャーシューと少しの千切りキャベツをサンドすると、不思議なことに肉まんを食べているかのような味わいになった。これには、しっかりした食感と、強めの甘味が活かされているかと思う。

「熟成生地のソーセージフランス」（税抜１８０円）

「熟成生地のソーセージフランス」の断面

「いちごチョコオールドファッション」（税抜１１２円）

「いちごチョコオールドファッション」の断面

熟成生地のソーセージフランス(税抜180円)

トーストするとハード系特有のパリッとした食感も

　店頭では、まず見た目にひかれた。ソフトな生地でなく、ハード系の生地を使用しており、袋に「じっくり熟成させた風味豊かな生地」と記載されていたからだ。
　「トーストしてさらにおいしい！」との記載もあったが、まずはそのまま食べてみると、カリッとした食感はないものの、ハード系ならではの噛み応えがあり、よく噛んで食べたくなるようなうま味も感じる。
　トーストすると、パンはカリッと香ばしく軽い食感が出て、ソーセージの風味も増した。しかし、熱で溶け出したソーセージの脂分がパンに吸収され、パンの噛み応えが激減してしまった。そのままでもトーストした場合でも、ソーセージは、もう少し脂分が少ないものの方がパンとの一体感が出てくると思う。マスタードはもう少し多いといい。
　片手に持って食べられる形と、かなり端の方までソーセージが入っているところはいいと思う。

いちごチョコオールドファッション(税抜112円)

表面も中もサクサクとした食感

　ドーナツは、レジ横にある専用ショーケースに陳列されている。その横にはコーヒーマシンがある。ドーナツとコーヒーが互いに、ついで買いを促される位置関係にある。
　ショーケースに入っているものの、一つひとつは個装されている。袋は手で簡単に開封できるので、袋を持ったまま中のドーナツを食べられる。油が手につくことがなく便利だ。
　食感は、とてもさくさくとしていて、表面だけでなく、中心部までもサクサクとしている。油っぽさもなく、あっさりとしている。そのため、揚げたてのジューシーさと、中のしっとりした生地の食感のドーナツを期待して食べると、物足りなさを感じる。
　トッピングは、ピンク色のチョコレートだけでなく、フリーズドライのイチゴも使用されていることで、イチゴ味が強調され、また、見た目や食感の変化を楽しめる。

「クラブハウスサンド（チリトマト）」（税抜２７６円）

「こだわりカスタードのクリームパン」（税抜１１０円）

「こだわりカスタードのクリームパン」の断面

クラブハウスサンド（チリトマト）(税抜276円)

ピリ辛味の温めて食べるトーストサンド

　チキンを使用したサンドイッチは、このほか定番の照焼味があったが、「新発売」の表記にひかれた。
　具材は、ピリ辛トマトソースで味付けされた鶏むね肉とタマネギ、リーフレタス、スライスチーズ、トマト、マヨネーズで、ピリ辛トマトソースのサルサ風味が主張する味わいだ。さっぱりした鶏むね肉とチーズのまろやかさのバランスが良い。
　また、「温めて食べるトーストサンド」という表記があったのは、同商品のみだった。記載通りにレンジで温めてみると、具材の風味が増し、チーズが溶けてサンドイッチというより、パニーニを食べているような味に感じられた。

こだわりカスタードのクリームパン(税抜110円)

セルクルを使って焼き上げたような形

　カスタードを使った商品は他にもあったが、スライスアーモンドのトッピングがうれしく感じ、手に取った。また、「クリームの黒い粒はバニラシードです」という表記に、本格的な味を期待した。
　小ぶりだが、セルクル型を使って焼き上げたようで、高さがあり、ボリューム感がある。中のクリームは、やや透明感のある黄色で、バニラの黒い粒が数個見られた。食べるとまず、クリームの舌にまとわりつくような濃厚さが感じられた。パンは、しっかりとした厚みがあり、余計なしっとり感や甘さがないので、クリームとのバランスの良さを感じた。アーモンドスライスは数枚だが、食感と風味のアクセントとなり、飽きずに最後まで楽しむための欠かせない存在となっている。

ファミリーマート

「もちもちくるみパン」（税抜１０２円）

「もちもちくるみパン」の断面

「大きいウインナー」（税抜１１６円）

「大きいウインナー」の断面

　ファミリーマートのパンは、「もちもち系」の商品が多く、利便性や安さ、具材のインパクトの強さなどをうまく訴求している。他企業とのタイアップ商品も充実。

噛み締めるほどに旨味を感じるような味わいの生地や素材どうしを融合させる技術力で、焼きたての新鮮なおいしさを提供できない弱みを補っているようだ。

もちもちくるみパン(税抜102円)

パンにパサつき感がなくはっきりとした甘さがある

　ファミリーマートのパン類の特徴の一つとして、「もちもち系」の商品の充実があげられる。そしてその草分け的存在といえるのがこの「もちもちくるみパン」だ。２０１５年にはカリフォルニアくるみ協会が主催する「くるみパンオブ・ザ・イヤー」で殿堂入りするなど高い評価も受け、発売から10年以上のロングセラー商品として、特に女性を中心とした根強いリピーターから支持されているという。リテールのパンが全体的に焼きたての利点を生かしたふんわり、サクサクとした商品が多いのに対して、コンビニのもちもち系の商品は常温でも飽きずに食べられる食感を追求。中でもこの「もちもちくるみパン」は保水性があり、パサつき感のない生地にはっきりとした甘さがあり、カリカリしたクルミと合わさるとなんとも味わい深い。噛みしめるほどに、ほのかな甘みとクルミの香ばしさが広がる開発の技術力とバランス感覚の良さを感じる製品だった。

大きいウインナー(税抜116円)

大きなウインナーをシンプルに訴求

　とにかく大きいウインナーの惣菜パンを食べたいというシンプルな要望に応えた製品。シンプルな商品である分、価格の安さが浮き彫りになるほか、具材のインパクトを強める事で、食べた時の味わいを想起させ、おいしさをアピールしている。電子レンジで温めて軽くトーストすれば焼きたてに近い味が楽しめておいしい。
　ただしパンよりもウインナーを食べたかったという人を惹きつけやすいかもしれない。

「ＲＩＺＡＰ（ライザップ）ブランロール」（左、税抜１０２円）、「ＲＩＺＡＰ（ライザップ）ハムチーズロール」（右、税抜１１２円）

「ＲＩＺＡＰ（ライザップ）ブランロール」の断面（左）と「ＲＩＺＡＰ（ライザップ）ハムチーズロール」」の断面（右）

「北海道産小豆のつぶあん入り　あんもちミルクホイップパイ」（税抜１２８円）

「北海道産小豆のつぶあん入り　あんもちミルクホイップパイ」の断面

ＲＩＺＡＰ（ライザップ）ブランロール(税抜102円)

ライザップとタイアップのブランロール

　トレーニングジムの運営などを行うライザップ（ＲＩＺＡＰ）とタイアップし、糖質制限を行ったふすまのロールパン。ふんわりとした食感で、味はふすま風味が残るものの、ほんのり甘みがあって食べやすい。ハムとチーズが入った「ＲＩＺＡＰ（ライザップ）ハムチーズロール」（税抜112円）もある。ＯＬなどダイエットに興味がある若年層の単身者が、会社でのランチなどで食べるのには良いかもしれない。
　ただし、糖質制限やダイエットのためには毎日食べ続けたいところだが、何店か回ってみて定番品として定着している店舗が少ないような印象を受けたのが残念。同商品をきっかけに、一般的にふすまパンの認知が高まり、糖質コントロールについて考える人が増えるかもしれないという意味では良いかもしれない。

北海道産小豆のつぶあん入りあんもちミルクホイップパイ(税抜128円)

様々な違った要素を組み合わせたハイブリッド

　サクサク、パリパリとしたパイの中に、ミルクホイップクリームと北海道産小豆のつぶあんのほか、もちも入れた商品。
　外側がパリパリしている中に対照的な食感のもちを入れる事で、インパクトがより強くなり、もちが実際より多く入っているように感じてしまう。
　素材の一つ一つはシンプルだが、それらを重ね合わせる事で不思議とクセになるような味が生まれるハイブリッド商品。しつこ過ぎず、ピンポイントで甘みを感じられるので、後味も良い。価格も食べ応えある商品なので値頃感があると感じた。また形が横に長い三角形のため、袋から出しながら食べればパラパラこぼれにくい点も評価できる。

「噛むほどに旨味広がる　ちぎれるチーズとハムのパン」（税抜１０２円）

「噛むほどに旨味広がる　ちぎれるチーズとハムのパン」の断面

「とろもっち（練乳ミルククリーム）」（税抜１２１円）

「とろもっち（練乳ミルククリーム）」の断面

噛むほどに旨味広がるちぎれるチーズとハムのパン(税抜102円)

商品の特性を消費者にしっかりと訴求

　コンビニ商品ならではの便利さや手軽さを表に出した商品。商品名を通じて消費者に商品の特性をしっかり訴求している。いつでもどこでも持ち運べて、忙しい時は小分けにして移動中にちょっとずつ食べたり、残業中に誰かと分け合って食べたりもできると思われ、用途は色々と想像できる。
　便利さのみならず味も悪くない。リテールベーカリーの商品のような焼きたての新鮮さはないが、時間が経っても「噛むほどに旨味広がる」おいしさが確かにある。
　また、電子レンジで温めてトースターで軽く焼くと、手間はかかるが、焼きたてに近い味わいが楽しめる。小腹が空いた時には重宝できる製品。

とろもっち（練乳ミルククリーム）（税抜121円）

開封後そのまま食べるのが一番おいしい

　和のまんじゅうを彷彿させる小ぶりの丸い形のパンが３個並んで包装されている商品。薄いもちもち生地の中には、とろけるような甘さの練乳ミルククリームがたっぷり入っており、噛み締めると練乳の甘さがしっかり伝わってくる。３個入りで、１つ１つは小さいが、練乳の甘みをしっかり味わいながら食べると、食べ応えのある商品。
　温めたり冷やしたりするよりも、そのままで開封後すぐ食べるのが一番美味しい。形もコンビニ商品ならではの均一感のある美しいフォルムで、もちもち生地と練乳ミルククリームの白い色の重なり合いは、見た目の美しさのみならず、味わいの組み合わせの素晴らしさも感じさせる。記者が今回試食した中では最も押したい商品だった。

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